カンジダ、クラミジア、淋病など
完治をめざす性感染症の治療
くわばら腎・泌尿器科クリニック
(神戸市灘区/王子公園駅)
最終更新日:2023/07/11
- 保険診療
性交渉を介して広がる性感染症。けれど「オーラルセックスでは感染しない」「一度ぐらいなら大丈夫だ」と、間違った知識を持っている人が多いことを心配する「くわばら腎・泌尿器科クリニック」の桑原元(くわばら・はじめ)院長。女性は性感染症に感染しても、症状として現れないことが多く、知らない間にうつす側になっていることも多いそうだ。最近、クリニックを訪れる初診患者に性感染症が増えていることや、梅毒が流行してきていることにも、桑原院長は警鐘を鳴らす。「早く気づいて、パートナーを守ってあげてほしい」と話す桑原院長に、性感染症とはどんな病気なのか、放置するとどうなるか、さらに治療方法まで、詳しく聞いた。
(取材日2023年6月15日)
目次
性交渉して初めてうつる性感染症。一度でも性交渉があれば感染のリスクがあることを知ってほしい
- Qこちらは泌尿器科ですが、性感染症の相談も多いと伺いました。
-
A
若い男性のほとんどが性感染症か、生殖器のお悩みで来院されます。女性は性感染症にかかっても症状のない場合が多いため、男性よりも気づきにくくなります。そのため、パートナーから依頼されて受診されるケースが多いですね。症状が出ていないからと放置しておくと、感染症の種類によっては最悪の場合、不妊につながるケースもあります。ここで性感染症について、私がまずお伝えしたいことは、大前提として性交渉をして初めてうつるものだ、ということです。これはオーラルセックスも含まれます。これらの性交渉が一度でもあれば、感染の可能性は十分にあります。
- Q性感染症にはどんなものがありますか?
-
A
梅毒は耳にしたことがある人もいると思います。早期に治療すれば治る病気ですが、重度になると命に係わる病気を引き起こします。最近、感染が広がっているため注意してもらいたい病気です。また、当院にはクラミジア感染症で来院される方が多く、同時に淋病にも感染していることが多いです。他にはカンジダも多いですね。これらの性感染症は薬で治療可能ですが、性器ヘルペス、尖圭コンジローマなどは一生完治せず体の免疫が落ちた時にイボのように出現します。しかし薬でコントロールが可能であまり神経質にならなくてもいいでしょう。後天性免疫不全症候群(AIDS)や、B型・C型肝炎は、キャリアの段階だと治療ができるようになりました。
- Q性感染症は放置するとどうなりますか?
-
A
性感染症は自然に治ることはないため、放置して良いことは何もありません。梅毒、淋病、クラミジア感染症は専用の薬を使って、できるだけ早めに治療を行うことが大事です。また、今後妊娠を考えている女性は、赤ちゃんが産道を通る時に性感染症に感染するリスクがあるため、なるべく早めに検査しましょう。放置していて怖いのは、例えばクラミジア感染症や淋病の場合、膣から子宮、卵管から卵巣へと体の中にどんどん侵入していくことで、腹膜炎になる可能性があります。また卵管が詰まり、不妊の原因になることも報告されています。男性は症状がある場合保険診療になり、女性も自覚症状を伝えることで保険診療が可能です。まずはご相談ください。
- Qどんなタイミングで相談すればいいのでしょう?
-
A
例えば梅毒の場合、「もしかして感染したかも?」と思ったら、接触した日から1ヵ月ほど経過すれば、検査で陽性になる可能性が高いです。女性はもともと症状が少なく、わかりにくいですが、おなかが痛いとか、おりものが増えたなど、少しでも体調に変化があれば相談に来てください。性感染症というと、嫌なもの、不潔なものと捉えられがちです。その印象が、受診を控えることにつながっていると思うのですが、薬で必ず治療できます。早く治療をすれば、パートナーへの感染を防ぐことができるかもしれません。大事な人を守ってあげられるのは自分だ、という意識を持ってもらえたらうれしいです。
- Q治療はどのように行うのですか?
-
A
基本的に抗生物質を投与していきます。服用がメインになりますが、淋病の場合は点滴で行います。筋肉注射で投与することもありますね。ただし、クラミジア感染症と淋病に限っては、症状が似ていることもあり注意が必要で、併発している可能性も頭に入れて治療することが大事です。男性の淋病は痛みがきつく、膿が大量に出るので、自覚しやすく受診率も高いです。ただクラミジア感染症に関しては、陰性かどうかの確認をしないといけませんから、当院では10日から2週間後に再度来院していただいて検査をします。そこで陰性が確認できたら治療終了となります。