全国のドクター9,257人の想いを取材
クリニック・病院 158,643件の情報を掲載(2024年4月23日現在)

  1. TOP
  2. 兵庫県
  3. 神戸市灘区
  4. 王子公園駅
  5. くわばら腎・泌尿器科クリニック
  6. 桑原 元 院長

桑原 元 院長の独自取材記事

くわばら腎・泌尿器科クリニック

(神戸市灘区/王子公園駅)

最終更新日:2023/07/14

桑原元院長 くわばら腎・泌尿器科クリニック main

神戸市立王子動物園の最寄り駅、阪急神戸本線の王子公園駅西改札口を出てすぐという便利なロケーションを得て「くわばら腎・泌尿器科クリニック」が2017年10月に開業。桑原元(くわばら・はじめ)院長は、大阪大学工学部修士課程を修了後、一度は化学系の民間企業に就職した経歴がある。グリーンを基調としたナチュラルで優しいイメージの外観や院内インテリアは桑原院長の発想によるもので、泌尿器科医院にありがちな受診をためらうハードルを少しでも下げているようだ。日本泌尿器科学会の泌尿器科専門医として専門的なスキルと経験を持ちながらも、あくまで「患者さんとの会話や説明を大切にする」と語る気さくな桑原院長に、同クリニックの姿を聞いてみた。

(取材日2018年11月26日)

寄り道しながらも医師への夢をかなえ、そして開業

王子公園駅の隣で幹線通り沿い。とても目立つ場所に外・内装ともに明るく爽やかな雰囲気ですね。

桑原元院長 くわばら腎・泌尿器科クリニック1

立地については、当初他の場所でほぼ決まっていたのですが、この場所があまりにも良いのでここに決めました。以前はコンビニエンスストアだったのですよ。オーナーさんが高齢のため辞められましたが、地元の方から親しまれるとても人気のお店だったようです。外装やインテリアについては、泌尿器科というと、どうしても暗く敷居の高いイメージがありますので、そのイメージを払拭、一新できるようにこだわりました。外から見ても一瞬「小児科?」と思えるくらい大胆に、通行する人々も優しい気持ちになっていてだけるようなデザインと若葉の色を基調としたインテリアで明るさや安心感を演出しています。

一度、研究職ではありますが会社員を経験されるという、異色の経歴をお持ちですね。

そうですね。大阪大学工学部では応用化学や有機合成化学の基礎を学び、界面活性剤やオゾンについて研究していました。そして、修士課程修了後に化学材料系のメーカー企業に就職したのです。歴史のある良い会社でしたね。配属の希望は当然、研究・開発職なのですが、入社してからしばらくは経理や営業など総合的に多職種を経験させてもらい、またその職種ごとに勤務地も変わり関東から関西、中部とさまざまな土地で仕事をしました。それは今でもたいへん良い経験だったと思います。その後は希望どおり、研究や開発の部署で勤務していました。

順風満帆のようでしたが、医師への道へ進もうと思われたきっかけは?

桑原元院長 くわばら腎・泌尿器科クリニック2

実は、幼い頃から「人を助ける仕事がしたい」つまり、医師になりたいという夢があったのです。それはいつも頭のどこかにありました。会社員になって28歳の時に、今が最後のチャンスと思い一念発起。会社を退職して大学の医学部入学への勉強を始めたのです。当時はまだ独身でしたので思いきれました。予定より1年多くかかりましたけど、無事、近畿大学医学部へ入学しました。予想はしていたのですが、机を並べて一緒に勉強したほとんどの学生はおよそひと回り歳下。でも、意外に楽しく勉強できましたね。卒業まで工学部時代を合わせると12年もの間、大学生をしていたことになります。

高い専門性と優しさに満ちた診療で街の健康に貢献

臨床研修医として、がんセンターから始まったそうですね。

桑原元院長 くわばら腎・泌尿器科クリニック3

明石市にある兵庫県立がんセンターで臨床医としての道をスタートさせました。もともと工学部で化学を学んでいたこともあり、がんのメカニズムや抗がん剤にはとても興味がありましたので、しばらくはそこでがんを専門に診療しつつ学んでいました。ただ、当たり前のことなのですが、がんセンターはがんの患者しか来ません。診断はほぼ確定されている上、多くの患者さんはどんな治療を施しても結局その余命は見えてくる……。そんなジレンマに陥り、私はもっと医師の基本である、患者さんの症状を聞いて診察して、どんな病気なのかを見つけて治療する、という医療に専念したいという思いが強くなりました。それこそが幼い頃に夢を見ていた「人を助ける」という医師の姿に近いと感じたのです。

そんな中で泌尿器科を選ばれたのはどんな理由からですか?

さまざまながん治療に携わってきて、その中には前立腺がんや膀胱がんなどの泌尿器のがんも多く含まれていました。そのような中、この骨盤内にある泌尿器に関しては、内科的治療も外科的治療も一人の医師で完結できることがわかったのです。さらに泌尿器科では、一般的な炎症系の疾患から、機能不全、感染症、そしてがんに至るまで、さまざまな病症と対峙することにもなり、その要求される多様で奥深い医療スキルの取得と向上に努められることが大きな魅力に感じられました。神戸大学付属病院での泌尿器科を皮切りにこれまで複数の基幹病院で臨床と勉強を積み重ねてきました。それからもう1つの理由として、この泌尿器科を選択される医師が少ないということもありました。「それだったら、自分がやってやる!」というような気概の部分が大きかったですね。

これまでに医療エピソードなどありますか?

桑原元院長 くわばら腎・泌尿器科クリニック4

50歳代の男性が「ちょっとおしっこが近いのが気になる」ということで受診されました。エコーを見たら腎臓が腫れており、前立腺がん用の血液検査、PSA検査で驚くようなとても高い数値が出たのです。それはもう遠隔転移や骨転移が予想されるようなレベルで、連携している総合病院へ大至急行くようにと紹介しました。一方、大正生まれの100歳に近いおばあちゃんが頻尿を気にして来院され、診察の結果は病気ではなかったのですが、尿漏れや頻尿には筋肉を鍛えることをアドバイスさせていただき、今でも筋力トレーニングに励んでおられますよ。泌尿器科への受診は少し抵抗があるとは思いますが、気になることがあれば少しでも早く来院されることを強くお勧めします。

患者に寄り添い、優しさにあふれる地域診療を実現

このクリニックへはどのような方々が受診されていますか?

桑原元院長 くわばら腎・泌尿器科クリニック5

一番多いのは、やはり頻尿や尿漏れなど尿に関する受診・相談が多いです。病名的には過活動膀胱や膀胱炎が多いのですが、ただ同じ尿に関する症状でも幼児と高齢者など年齢によって潜んでいる病気はまったく違うことが多く、さらに重大な病気が隠れたりもしているので常に細心の注意を払っています。ですから症状など患者さんの話をよく聞くことは本当に大切です。次に多いのは性感染症です。近年増えているという報告は各方面から入ってきますが、実際に肌で感じています。特に若い方の梅毒が多いです。

診療に際して心がけていることや読者へのメッセージをお願いします。

とにかく患者さんの話をよく聞き、こちらが説明する時でも患者さんが納得できるまでわかりやすく、知り得ることのすべてをしっかり説明することを大切にしています。それから泌尿器科はセンシティブな話が多いのでプライバシーを尊重すること。男性の場合でも性的な話の時は、扉をしっかり閉めて看護師に席を外してもらいます。このように細かな配慮を心がけ、患者さんとのコミュニケーションや信頼を築くことはとても大切で、診療の成果を左右するものだと思っています。泌尿器科の門はくぐりにくいものでしょうが、治療が遅れるとその分治る時間が長くなったり、場合によっては命に関わることにもなりかねませんので、少しでも「なんかおかしいな」などと感じたら、早めに受診してほしいと思います。

開業から1年が過ぎて、今どのように感じられていますか?

桑原元院長 くわばら腎・泌尿器科クリニック6

開業医は孤独だとつくづく感じます。病院勤務ならチームで取り組んだり、治療にあたって横との連携が必要だったりして、他の人との治療上のコミュケーションがありましたが、今は全部一人で考えて判断して行動してという毎日。そして責任も全部一人で背負うので、ふっと孤独感を味わうことがあります。しかしその分、勤務医のように会議や書類作成、そして勤務地によっては通勤などに時間を取られることなく、時間のほとんどは自分でコントロールでき、診療に集中できるのがうれしいですね。開業して忙しくはありますが、今はとても充実しています。何より子どもと一緒にいられる時間が増えたのがうれしいですね。

Access