膀胱炎、頻尿、尿失禁
女性に多い泌尿器の悩みに寄り添う
くわばら腎・泌尿器科クリニック
(神戸市灘区/王子公園駅)
最終更新日:2023/07/11
- 保険診療
怖い検査をされるかもしれない、洋服を着たまま診察が受けられるのかなど、女性にとって受診にハードルが高い泌尿器科。だが「尿の悩みは放置せずに、早めに相談をしてほしい」と話すのが、神戸市灘区に開院する「くわばら腎・泌尿器科クリニック」の桑原元(くわばら・はじめ)院長。年配になると、夜中にトイレに起きるのが当たり前という感覚に慣れてしまっているケースも多く、その後ろにがんなどの重大な病気が隠れていることもゼロではないそうだ。そこで今回は、尿に関する悩みで多い膀胱炎、頻尿、尿失禁にスポットを当て、その原因から対処法、治療について詳しく聞いた。
(取材日2023年6月15日)
目次
女性に多い膀胱炎、尿失禁。 夜中にトイレに起きることを当たり前と思わずに早期に治療を
- Q女性はどんな疾患や症状で泌尿器科を受診しますか?
-
A
最も多いのは膀胱炎です。当院に来られる方の7割がこの疾患で、特に若い女性が圧倒的です。年配の方になると少し変化して、尿失禁が増えます。トイレがすごく近くて、夜中でも起きてしまうとかくしゃみをしたり笑ったりした時に尿漏れしてしまうというような症状をメインに訴えて来られます。40代、50代の方では結石症の方もたまにいらっしゃいます。腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる尿路結石症は、背中が痛くなったりすることがあります。これくらいの年代になると頻尿にまつわる症状も現れます。過活動膀胱といって、夜中に3回、4回とトイレに行く回数が増えますが、「年齢のせい」と我慢しておられる人が多いです。
- Qどの年代の方が多く相談に来られますか?
-
A
頻尿の相談ですと、60代後半から70代、80代ぐらいの方が多いですね。女性は筋肉量が少ないため、夜になるにつれて下半身に水分がたまります。そして就寝時間になると体を横にするので、心臓から足までがフラットになってむくみが解消されます。すると、たまった水分がおしっことして体の外へ出て行く。だから夜間の排尿回数が多くなるのです。また、夜間に濃いおしっこをつくってぐっすり眠れるように信号を出す、抗利尿ホルモンの分泌量低下も関係しています。薄いおしっこで量も増えるため、トイレの回数が増えるのです。ホルモン量を戻すことはできませんから、足湯で体を温めたり、日頃から下半身の運動をしたりするのがお勧めです。
- Q若い女性に多いという膀胱炎について教えてください。
-
A
膀胱炎は膀胱に大腸菌などの細菌が入り、膀胱の粘膜に炎症を起こすことで発症します。女性は尿道と肛門、膣口が近い場所にあり、男性に比べて尿道が短いことから膀胱内に菌が入ってきやすいです。排尿時の痛みや、頻尿や残尿感のある人もいます。仕事のストレス、家事の疲れ、睡眠不足などで体の免疫力が低下したり、トイレに行くのを長時間我慢したりして膀胱の中で細菌が増えると発症しやすいです。菌が腎臓にまで達すると腎盂腎炎になってしまいますので、抗菌薬の処方や点滴治療を行います。ですが若い人はもともとの免疫力が高いですから、症状緩和に向けて、お水を多めに飲んで早めに寝ることを心がけて生活してみてください。
- Q尿失禁についても教えてください。治療はできますか?
-
A
尿失禁は疾患ではなく症状です。膀胱炎がひどくなって起きることもありますし、全然違う病気が後ろに隠れていることもありますので、そこを診察することが大切です。原因もさまざまあり、笑ったりくしゃみをしたりして失禁するのは、腹圧性尿失禁です。出産や筋力の低下で起こる尿失禁のことです。お産が長時間にわたると、骨盤の中の臓器を支える骨盤底筋が緩むので、産後に尿漏れが続くことがあるのです。骨盤底筋体操という、おうちでもできる簡単な体操をご紹介するほか、膀胱訓練の指導も行います。それでも無理、という方には骨盤に振動を与えて運動させる機器を院内設置していますので、気軽にご相談ください。
- Q診察する際に気をつけていることはありますか?
-
A
初めて泌尿器科を受診されるという方は「何をされるのか?」と不安でいっぱいかもしれませんが、検査は検尿だけということがほとんどです。診療時には診察室の扉を閉めてプライバシーに配慮していますし、検査も個室のトイレで済みますから何も心配はありません。あとは、いつから症状が始まったのか、今どんな状態かなどを問診させていただいたら終了です。若い女性の初診の場合は、ほとんどが膀胱炎ということもありますし、尿を顕微鏡で確認した後は、いくつか質問して答えを伺ったら、だいたいの状態は把握できます。お薬を処方する場合も、必要最小限をお渡しするだけで、診察は終了となります。