畠山 卓弥 院長の独自取材記事
亀戸畠山クリニック
(江東区/亀戸駅)
最終更新日:2024/07/12

JR中央・総武線の亀戸駅から徒歩約5分の医療ビル内にある「亀戸畠山クリニック」。院長の畠山卓弥院長は東京大学医学部を卒業後、長年にわたって心臓以外の血管外科に関する研鑽を積んできたベテランドクターだ。総合病院の院長職を経て開業に踏み切ったのは「自分のペースで専門を生かせる場所をつくりたい」という思いが根底にあったから。診療では、透析治療のシャントの作成、検診、トラブルの治療を血管専門の検査を行うスタッフとタッグを組んで提供している。取材時には自らコーヒーを入れて小さなクッキーもそっと添えて取材陣をもてなしてくれた畠山先生。さりげない心遣いと笑顔に、診療での緊張がほぐれた患者も多いのではないだろうか。温かな雰囲気の院内で診療にかける思いなどをじっくりと聞いた。
(取材日2024年2月7日)
人工透析のシャント作成など、専門性の高い分野に注力
まず、医師をめざしたきっかけを教えていただけますか?

私は一人っ子で小動物や昆虫と戯れることも多かったのですが「こんな小さな体に命が宿っているのは不思議だな」と、命への興味を抱いたのが最初のきっかけかもしれません。それから受験勉強をするような年齢になると、人の精神に興味を持つようになりました。よく冗談で「そんなに勉強しすぎると狂ってしまう」なんて言いますよね。それを聞いて、「ではその『狂う』っていうのは何なのだろう」と不思議に思うようになったんです。ちょっと漠然とした理由ですが、それが医学の道の出発点になりました。多くの科がある中で外科の道に進み、最終的には心臓以外の血管外科を専門とする医師になったのですが、血管を選んだのは偶然です。人手が足りていない分野でもあったからこそ、チャレンジしてみようという思いがありました。
亀戸で開業するまでの経緯をお聞かせください。
東京大学医学部卒業後は東京大学医学部附属病院第一外科に勤務。専門は心臓以外の血管手術でしたが、その後は日立総合病院、三楽病院を経て、清湘会記念病院では院長を務めました。そして「自分の専門を、自分のペースでやれるようなクリニックを始めたい」と考え、亀戸畠山クリニックを開業したのです。実は、私自身は宮城県石巻の出身で、「いつか故郷に」という思いもあったのですが、長年この地域の患者さんと歩んできたこともあり、最終的にはここで開業することを決めましたね。当エリアは病院やクリニックが多く、以前の勤務地でもあるので、多くの先生方と連携を取り合っています。他院で専門的な治療が必要だと診断された患者さんが当院に来て、治療を希望される方も少なくありません。
現在はどんな患者さんが来院していますか?

多くは、人工透析のための針を刺す部分であるシャントの作成と検診、シャントトラブル治療の患者さんです。私はシャント手術を専門としてきたので、他院からの紹介でいらっしゃる難しい手術が必要な患者さんも多いですね。シャント手術は一般的に痛みを伴う手術ですが、当院では麻酔と鎮静剤を使用して患者さんが苦痛なく受けられる治療をめざしています。ただ、どんなに良いシャントを作ってもトラブルでシャント内が細くなると十分な透析ができなくなってしまうため注意が必要です。しっかりとチェックして、詰まりがあればカテーテルによる拡張術や人工血管を用いた再建手術なども行っています。当院では血管を専門とする熟練の検査スタッフが常勤し、血管の検診にも力を入れています。超音波でシャントの詰まりを調べるシャントエコーなど、定期的な検査にもぜひご活用ください。
綿密な血管管理で健康寿命の延伸をめざす
血管の検診について、詳しく教えてください。

私は血管を大切にすることが健康長寿の要だと考えています。普段、血管について考えることは少ないかもしれませんが、命に関わる事態を引き起こす要因になることが多々あります。だからこそ日頃から血管を気にかけて、検診を受けるようにしていただきたいです。簡易的な検査でも血管の状態はわかります。例えば動脈硬化については、両手首、両足首に専用の器具を巻いて血液が全身に行きわたるまでの時間を測定する血流検査を行います。全身の血流を測ることで、血管の状態がある程度把握できるのです。他にも血管のエコー検査では、詰まっている箇所や膨らんでいる箇所もわかります。検査結果をもとに生活改善をアドバイスするなどして、最悪の事態にならないように予防していきたいです。
どのような自覚症状があったら検査を受けるべきですか?
動脈硬化のリスク要因を持っている方ですね。具体的には、糖尿病、高血圧症、高脂血症、喫煙、運動不足などがあるようでしたらご注意ください。加齢によって動脈は硬化していくので、日常生活で何らかの違和感があるご年配の方は、一度検査をお勧めします。その他、手足の冷え、しびれがある方、足先が変色する方なども診察の上、血流の検査が必要になることがあります。血管に原因があるとわかった場合は、患者さんのご希望をふまえて、運動療法、お薬、カテーテル治療などの手術から、治療法を選択いたしますので、まずはお気軽に検査を受けていただきたいです。当院の血管専門の検査スタッフは大学病院時代からの同僚で、後進の指導にもあたっているエキスパートですから、信頼してお任せいただければと思います。
新たに肛門外科の診療も開始されたそうですね。

なぜか肛門の診察を希望する方が非常に多く、2023年の9月から肛門外科も標榜しています。始めてみてこんなにお悩みの方がいたのかと驚くとともに、少しでもお役に立てたらという思いを強くしました。肛門疾患に関しては主に投薬治療を行っていますが、手術が必要な方は大学で同級の専門医師の方が近くにいらっしゃるので、紹介させていただきます。
スタッフさんについても伺います。
長く勤務してくれているスタッフが多くありがたいですね。以前は内科、皮膚科も力を入れて診療していましたが、スタッフから「オーバーワークはいけません」と叱られてしまい、今はできることを無理のない範囲で行っています。私に対する意見、時には苦言などもざっくばらんに言えるような(笑)、風通しの良い働きやすい環境づくりにも配慮しています。
専門性を生かした診療を無理なく末永く続けたい
今後、こちらをどのようなクリニックにしていきたいですか?

透析が必要と言われると、ショックを受けお悩みになる患者さんがほとんどです。初めに良いシャントをお作りするのが大切と考えており、安定した透析を受けていただいて、お仕事に専念したり、人生をエンジョイしていただけますよう、お力になれますよう努めています。また、シャントトラブルで来院される患者さんも少なくありません。シャントトラブルの治療は時に難しいことがありますが、良い治療の鍵は正確な検査と診断にあると考えており、常に最良のパフォーマンスができますよう、心がけています。お悩みの患者さんには、お気軽にご連絡いただけましたら幸いです。
お忙しい毎日をお過ごしですが、リフレッシュ法などあれば教えてください。
春から仕事帰りに卓球に通おうと思っています。小学生の頃にお世話になっていた病院に卓球室というのがあったんですよ。以来、中学、高校、大学と卓球部でしたが、全然上達しませんでした(笑)。私の場合、卓球ではなく「ピンポン」と言ったほうがしっくりくるのですが、下手ですが、ゲーム感覚で体を動かせるので、大好きなんですよ。休みの日の過ごし方でいうと、故郷の石巻に足を運ぶこともあります。東日本大震災とその後の復興で、すっかり様変わりしましたが、慣れ親しんだ牧山という小さい山はむかしと変わらず、その「ミニ登山」も帰郷の大きな楽しみとなっています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

日本で透析治療が一般化した約50年前には、溶連菌感染などによる慢性糸球体腎炎が原因の方がほとんどでした。そういった方々は血管の状態が比較的良好なのでシャントも長持ちすることが望めるんですよ。ところが、現在の透析は糖尿病が原因となっているケースが大半なので、血管がたいへん傷みやすくなっています。若くして動脈硬化が進んでしまい、すでにシャントが作りにくくなっている方も珍しくありません。だからこそ、専門性の高いクリニックでシャントの作成と検診、トラブルの治療までをしっかりと行っていく必要があります。できるだけ長持ちするシャントを作成し、血管専門の検査スタッフと力を合わせてきめ細かに管理していくのでぜひご相談ください。