南 克浩 先生の独自取材記事
栄アイ歯科クリニック
(名古屋市中区/栄駅)
最終更新日:2025/04/25

栄駅から歩いてすぐの場所にあるのは、2017年に開業した「栄アイ歯科クリニック」。向かい側に位置する「栄駅前矯正歯科クリニック」は本院にあたり、必要に応じて互いに連携を取りながら治療にあたっている。今回取材したのは2023年に赴任した日本口腔外科学会口腔外科専門医の南克浩先生。同院では、親知らずや矯正に伴う抜歯、インプラント治療、その他口腔外科疾患も専門的に診療し、多くの患者が来院している。大阪大学歯学部附属病院および愛知学院大学歯学部附属病院の口腔外科で先天異常や顎矯正の治療に長年従事してきた経歴の持ち主。そんな南先生に、クリニックの特徴や自身の診療モットーなどたっぷりと語ってもらった。
(取材日2025年3月10日)
対面に立地する矯正歯科とスムーズな連携体制を構築
最初に、クリニックの特徴をお聞かせください。

当院は「栄駅前矯正歯科クリニック」と連携するクリニックとして2017年に開院した一般歯科クリニックです。矯正中に虫歯治療が必要な場合や、矯正終了後に欠損部に歯を入れたりかぶせ物を見直す場合、当院で治療を行います。スタッフ全員がローテーションで両院を担当し、患者さんの状態や検査結果、治療方針もカンファレンスで共有しています。スタッフが患者さんの状態をしっかり把握して対応することが、患者さんの安心につながると考えます。また、矯正歯科と一般歯科の診療は連携が必要なので、向かい合わせにクリニックがあるのは、歯科医師にとっても患者さんにとっても都合がいいのです。良い連携のためにはスタッフの力も欠かせませんが、勉強熱心な歯科衛生士や歯科助手が集まっており、とても恵まれていると思います。
力を入れている診療がありましたら教えてください。
虫歯や歯周病など部分的な治療にとどまらず、顎や骨格の状態、噛み合わせ、そして姿勢など全身の状態を考慮した診療を行っています。歯のトラブルが繰り返し起こるケースでは、なぜ虫歯になりやすいのか、なぜなかなか良くならないのかと原因を探ることが重要です。噛み合わせが悪く歯に負担がかかりすぎていたり、合わないかぶせ物が使われているため歯に力がかかりすぎているといったケースも考えられます。その場しのぎの治療だけでは、疾患を繰り返してしまいかねません。患者さんの歯の悩みの本当の原因となっている部分を探して改善を図れるような治療をめざしています。一般歯科と矯正歯科を必要に応じて合わせて行うことで、歯に悩まない生活を送ることができるようサポートしていきたいと思っています。
先生ご自身はどのような患者さんを担当されていますか?

本院の栄駅前矯正歯科クリニックで歯列矯正を受けられていて、抜歯が必要となった方はもちろんのこと、歯列矯正を受けていない方の治療にも応じています。他の一般歯科からのご紹介をはじめ、当院のホームページをご覧になった方も受けつけています。お仕事帰りの方だけでなく、名古屋市内の各地から電車で来られる方も多いのは、休日も診療を行っていることや、栄駅近くというアクセスの良さからでしょうね。年齢層は10代から高齢者まで幅広く、親知らずの抜歯やインプラント治療はもちろん、顎関節症や舌や唇にできる袋状の病変である嚢胞の治療、開窓けん引と呼ばれる埋もれてしまった歯を機能させるための治療、歯の割れや欠けなどの外傷に対する治療など、さまざまです。補綴などの一般歯科を担当する歯科医師とも連携をしながら、治療にあたっています。
衛生面にも配慮し、安心の治療を心がける
治療をする上での心がけはありますか?

歯科口腔外科の手術にはリスクがつきものですので、事前の計画や説明が重要だと考えています。そのため、計画段階では必要に応じてCT撮影を行い、精密な骨格データを取得し、手術の計画を立てる際に役立てています。患者さんへの説明では、説明事項を書面でお渡しすることで、伝え漏れや誤解が生じないよう配慮しています。手術に臨むにあたり、患者さんは緊張されると思います。こちらとしても表面麻酔を行うなど痛みを軽減するよう努力していますが、完全にゼロにはできないのですね。不安な気持ちを取り除きたいと思っていますが、自分があまりに怖い表情をしていても不安にさせてしまうし、かといっておちゃらけていてもいけないですし、難しいところです。おそらく僕は、手術となるとそちらに神経を集中するタイプだと思うのです。そこで患者さんに対する声かけなどが十分にできない分、スタッフが代わりに優しく対応してくれていて、助かっています。
CTのほかに、活用されている医療機器について教えてください。
まず一つに、超音波切削機器です。抜歯や埋伏歯の開窓、インプラント関連手術の際に用いています。従来の機器と比べて軟組織や神経、血管へのダメージを抑えることができます。また、歯科用CTと口腔内スキャナーのデータから3Dプリンターを活用して、より3次元的に仕事を進めています。この技術を使うとラボとの連携もスムーズで、重宝しています。他にも3Dプリンターを使用してシミュレーションすれば外科処置が短時間で済み、患者さんの負担も減り、治療者側の理解やイメージの齟齬も減ることにつながります。さらに、口腔内カメラと顕微鏡の機能のあるデジタルマイクロスコープを導入しています。これによって、精密な手術を行えるだけでなく、これまで見えていなかった部分、見落としていたかもしれない部分を拾い上げることができるようになりました。
設備面がとても充実しているのですね。そのほかに注力されている点はありますか?

外科処置専用のスペースを備えています。口腔外科処置に関しては安全や衛生の面でも外部と遮断された空間は必須です。僕自身、病院勤務が長かったこともあり、衛生管理はクリニックレベルではなく、病院に近い水準で行うことを意識しています。器具の滅菌を徹底することはもちろんですが、たとえ費用がかかったとしても可能なものは使い捨てのものを優先的に使用しています。オペ時には患者さんにドレープをかける、治療中に滅菌ガウンを着用するなど、基本的な感染対策も手を抜かずに行うことで、患者さんにとって安心、安全な環境で治療を受けていただけるよう尽力しています。
かつて治療した患者の成長を見られることが喜び
先生のご経歴について伺えますか?

大阪大学歯学部を卒業後は同大学院へ進学し、歯科口腔外科を専攻しました。学生時代に仲良くしていた先輩が口腔外科に所属していたのがきっかけで、自分も同じ道へ進みました。入局後に出会った僕の恩師は、手術が早くて仕上がりもとてもきれいで、まさに職人と呼ぶにふさわしい方でした。当時はまだ今ほど一般的ではなかった、骨切り術とも呼ばれる「顎矯正手術」を恩師は執刀されていて、僕も手術に参加して腕を磨くことができました。最初の勤務先であった大阪大学歯学部附属病院には2005年まで勤務し、その後は愛知学院大学歯学部附属病院へと移りました。
病院で勤務されていた頃のご専門はどのような分野だったのですか?
病院時代には、顎変形症の患者さんや先天異常のお子さんを専門に診ていました。先天異常とは具体的には、口唇や口蓋、上顎に裂け目がある病気のことです。手術を担当した当時、小さかったお子さんが今や立派な大人に成長していることを思うと感慨深いものがあります。愛知学院大学歯学部附属病院には、2023年の3月まで勤務していたのですが、ちょうど子どもの誕生というプライベートでの大きな変化があるタイミングでしたので、勤務形態を変えたいとの思いもあり当院へ移りました。大阪時代の患者さんが、治療を受けに名古屋まで訪ねてきてくれたこともあるのですが、何十年という長いお付き合いになっていることはうれしいですね。現在は滋賀県の大津市に住んでいて、名古屋まで新幹線で通勤しています。お休みの日には、琵琶湖の周りをよく散歩しています。
今後の展望をお聞かせください。

当院は、小さなお子さんから高齢者まで、それぞれの世代ならではの口腔問題を改善することで地域の皆さんの健康寿命につながる「健康創造産業」をめざしています。老後の豊かな人生を過ごすための歯科治療を強化し、お子さんには悪い方向へ行かないための予防に力を入れます。中高年世代は、どうしても仕事や家事、育児が優先され、ご自身のことを忘れがちになりますが、少ない回数でも適切な治療を提供できるよう努めていきます。患者さんのお困り事を何とか解決して差し上げたいと思っていますので、ぜひ一度、相談にお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療
診断料(CT含む) 2万円
フィクスチャー埋入 20万円
アバットメント 5万円
上部構造 13万円