西尾和彦院長の独自取材記事

小倉オリーブ歯科・矯正歯科

(北九州市小倉南区／下曽根駅)

最終更新日：2024/07/17

「その場しのぎの処置ではなく、末永くお口の健康を維持していくための治療を提供していきたい」と話す、「小倉オリーブ歯科・矯正歯科」の西尾和彦院長。下曽根駅の目の前のショッピングモール1階にある同院は、悪くなっているその歯１本だけを診るのではなく、口の中全体を総合的に診査・診断するのが信条。診療を可視化し、歯に対する患者の意識向上にも注力する。シンボルマークはフクロウとオリーブ。カフェのような雰囲気の院内には先進の医療機器をそろえ、保険診療・自由診療問わず、幅広い治療に対応できる体制を整えている。ゆっくり、はっきりとした言葉で説明を尽くす真摯な姿勢が印象的な西尾院長に、同院がめざす歯科診療について語ってもらった。

（取材日2024年6月11日）

末永く、口の健康を維持するために腰を据えた関わりを
治療の選択肢をすべて提示し、患者の選択をアシスト
予防こそ大事だと、歯に対する意識の変革を

末永く、口の健康を維持するために腰を据えた関わりを

こちらにはどのような患者さんが多く来られていますか？

ショッピングモール内という環境ですので患者さんは比較的若い方が多く、30～50代の方とお子さんがメインです。お子さんの場合は親御さんが定期的に連れて来てくださいますし、30代以降は何かしらお口の環境で気になることが出てきて来院されるようになる方もいますが、心配なのは10代後半から20代の方。痛くなってから慌てて駆け込んで来られるような患者さんが多く、一部の方は痛くなくても何もなくても定期的に歯科に通ってケアを受けるというイメージをお持ちでない印象です。30代以降の歯周病コントロールにもつながることなので、若いうちからぜひ定期検診を受けていただきたい。予防歯科の重要性を伝え続けるのも、私たち歯科医療従事者の役割だと思っています。

土日も診療され、利便性の良さから平日忙しい方でも通いやすそうですね。

通いやすさには心を砕いています。しかしその半面、特に平日夜や週末は急な飛び込みの患者さんが来られることがあり、きちんと事前に予約して当院を信頼して通っていただいている方をお待たせすることが増えていて、非常に心苦しく思っています。「他の歯科医院でつけた仮歯が取れたのでとりあえずつけてほしい」「他の歯科医院で治療してもらったところが痛むから薬だけほしい」など、気になるからちょっと診てほしくて、開いている歯科医院を探して来られるのは致し方ないことなのかもしれませんが、当院は救急の外来ではありません。その場しのぎ、対処療法のような治療は行っていませんので、そのような処置はお断りすることがあります。どうかご了承ください。

その場しのぎの処置には、基本的に対応しないということですね。

歯科医院の数は多く、日曜診療をされるところも増えてきました。応急処置に対応してくださる歯科医院もあるでしょう。当たり前かもしれませんが、歯科医院にはそれぞれの診療方針があり、どこに行っても同じではありません。当院がめざすのは、末永くお口の健康を維持できるような診療です。悪くなっている1本の歯だけでなく、口の中全体を総合的に診査・診断し、治療とメンテナンスを行っていきます。例えば、奥歯が痛いと来院された場合でもそこだけ治療して終わりではなく、「原因は別のところにあるのでそちらも治療を進めましょう。歯ぎしりもありそうです。全体的には歯周病が進んでいるのでその治療もしていきましょう」という具合です。患者さんと腰を据えて関わり、治療後も定期的に検診に通っていただけるようなクリニックでありたいですね。

治療の選択肢をすべて提示し、患者の選択をアシスト

口の中全体を丁寧に診るために、初回の診療時間はどれくらいかけられますか？

新患の場合は1時間は予定していただいています。エックス線検査などからお口全体の状態を診査して、患者さんに今の状態をわかりやすくご説明し、痛みがあればそれを取り除くための治療も行います。治療の説明をする時は保険診療・自由診療問わず、まず治療の選択肢をすべてご提示するのが私の義務だと思っています。そこからご自身がどのような治療を受けるのか、選ぶのはあくまでも患者さんです。私の役目はそれぞれの治療法の特徴やメリット・デメリット、将来の話をして、患者さんが納得して選べるようアシストすることです。

全診療台に口腔内カメラが用意されていますが、どのように使われているのですか？

1回の治療の中で4～5枚は口の中の様子を撮影して、治療前・中・後の経過をお見せするようにしています。「ここに虫歯があって、これだけ削ったら、ほらこれが神経の管です」というふうに。多くの方が歯科治療を受けたことがあるでしょうが、具体的にどんな治療を受けたかを把握している人は一握りではないでしょうか。私は、患者さんがわからない治療は絶対にしたくないのです。診療を可視化し、自分の歯のどこがどんな状態だったのか、どんな治療を受けたのか、自分がどういう選択をしたのかを含めて知っておいていただきたいという強い思いから、このような工夫をしています。もちろんデータとして残るので、数年後にもしまたトラブルが起きたとしても詳細な経過を確認することができ、その後の治療計画を考えるにあたって非常に有用です。

かかりつけ歯科を持つ大きな利点ですね。

当院に限らず、自分の歯のデータを1箇所に蓄積していくことはとても重要で、そのことを皆さんにもぜひ知っていただきたいですね。相性の良い歯科医院を見つけたら、基本的にそこに通い続けることが結局患者さんのメリットになるはずです。根管治療をされている方には、そのかかりつけの歯科医院の次の予約がなかなか取れないからと、その間に他の歯科医院に消毒をお願いしたいと思われることもあるでしょう。しかしながら、それは誰のメリットにもなりません。歯科治療は綿密な計画に基づいて進められているので、途中で見ず知らずの歯科医師が手を出すとせっかく立てた計画を狂わせることになりかねませんし、患者さんにとっても治療回数はさらに増えてしまいます。歯科医師それぞれに治療の癖がありますから、他の歯科医師の治療の続きはやりやすいものではありません。ぜひかかりつけ歯科を持ち、信頼できる歯科医師に出会ってください。

予防こそ大事だと、歯に対する意識の変革を

患者さんと接する時に心がけていることは何ですか？

その日の不安はその日のうちに解消していただくこと、そして何でも話しやすい雰囲気を大事にしています。患者さんの方からは聞きづらい、言いづらいことがあるかもしれないので、説明の途中で「ここまでの話でわからないことはありませんか？」、治療後には「今日のうちに聞いておきたいことはありませんか？」など、こちらから必ず伺うようにしています。私自身、小さい頃から虫歯が多く、よく歯科医院に通っていました。あちこちに詰め物をしていますし、神経を取った歯もあれば、インプラントも1本入っています。虫歯の痛さや治療のつらさがよくわかるからこそ、患者さんにはできるだけ安心して治療に臨んでいただきたいのです。だから痛みを最小限に抑えた治療に努めたいという思いが強いのかもしれませんね。

特に歯周病治療に注力されているそうですね。

はい。歯周病に関しては積極的に研鑽を積んできました。重度の歯周病であっても、歯周組織再生療法のような治療も含め、お一人お一人に合わせた治療を提供し、できるだけ歯を残すことをめざしています。難しい場合はインプラントにも対応しますが、それは選択肢の一つ。必ずしもインプラントが適切だとは限りませんので、他の治療方法も提示します。矯正に関してはたいへん申し訳ないのですが、現在、新規の受付・相談をストップしています。矯正専門の歯科医師が月2回診療に入っていますが、患者さんの数が増えすぎてキャパオーバーの状態です。再開のめどが立ちましたら、ホームページなどでお知らせします。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

私は歯科医師として虫歯や歯周病、インプラントなどの治療をメインに取り組んでいますが、本当はそういう治療をせずとも、患者さんの健康なお口の状態を維持できるのに越したことはないと思っています。悪くなってしまったらより良い治療を受けていただきたいのですが、大前提として、そうならないように予防するほうがもっと重要です。日本の歯科医療は諸外国に比べて進んでいる面もありますが、患者さんのお口の健康に対する意識については先進国とはいえません。この記事が、少しでも多くの方の歯に対する意識を変えるきっかけになればと期待しています。