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大迫 靖子 院長の独自取材記事

momウィメンズクリニックおおさこ

(豊中市/少路駅)

最終更新日:2024/06/12

大迫靖子院長 momウィメンズクリニックおおさこ main

豊中市緑丘、ショッピングセンターの一角にある「momウィメンズクリニックおおさこ」。院長を務める大迫靖子先生は、明るい笑顔と快活な口調が印象的だ。子どもを育てながら仕事を続けてきた先生は、2006年の開業以降、婦人科がんの検診をはじめ、思春期や更年期の患者を対象とした外来など、女性の健康の悩みに幅広く応える。周囲には高い専門性を持つ病院も多く、異常が見つかった場合には迅速な連携を心がけているとのこと。「自分だけは大丈夫、は全然大丈夫ではないんです」と検診や性教育の重要性を訴える大迫先生に、自身の歩みを反映した現在の診療内容について語ってもらった。

(取材日2024年3月25日)

女性の健康を支える「母ちゃん」のクリニック

ショッピングセンター内にあり、通院にもとても便利ですね。

大迫靖子院長 momウィメンズクリニックおおさこ1

この近辺はマンションや戸建て住宅の林立する、子育て世代の多い住宅地です。クリニックはショッピングセンターの2階ですが、エレベーターやエスカレーターがありますし、目の前には平面の広い駐車場があるので、車も止めやすいと思います。また、当院はクリニックエリアの一番奥にあり男性の入室はお断りしていますので、人目を気にせず通えるかもしれませんね。クリニック内は完全なバリアフリーですので、診察室まで段差はありません。車いす利用者も通院してくださっていますよ。内診台の他に昇降するベッドもあり、移動の負担が軽くなるように工夫しています。婦人科の受診に抵抗を感じる方もおられるかもしれませんが、自分の体のためには必要な場所。少しでも通院しやすくなればと、完全予約制にしてウェブやメッセージアプリから予約できるようにしています。みんな毎日忙しいですから、忙しい中でも気軽に通えるようになればと思っているんです。

先生も、子育てで忙しい毎日を過ごしながらの開業だったそうですね。

ええ、産婦人科の女性医師が仕事を続けようと思うと、病院に勤務するか非常勤か、あるいは開業かを選ぶことになります。病院勤務では当直がつきものですし、非常勤の勤務であっても子どもの急な事情でそうそう休むわけにはいきません。子育てをしながら産婦人科の医師を続けるためにどうしようと考え始め、一番下の子が5歳の時に開業しました。だから「momウィメンズクリニックおおさこ」の「mom」は「母ちゃん」ってことなんですよ。

現在の診療内容について、教えてください。

大迫靖子院長 momウィメンズクリニックおおさこ2

一番多いのは各種の検診です。豊中市の子宮がん検診や市民健診を行っています。また、開業当初から超音波と触診で乳がん検診をしていましたが、2017年にはマンモグラフィの設備も導入し、検査の幅が広がりました。より詳しく調べる必要があれば近隣の病院をご紹介しています。この地区は乳腺が専門の医師が多く、アクセスも良いので、患者さんはとても恵まれていると思いますよ。当院では分娩を受けつけてはいませんが、分娩のできる施設と連携しながら妊婦健診も行います。その他にも、もちろん婦人科疾患全般を診ています。最近はご高齢でも元気に活動されている方が多いので、尿漏れや子宮脱のご相談が増えています。もともと私は内分泌領域が専門ですので、思春期の摂食障害の診療や更年期のホルモン補充療法なども行っています。女性の病気なら、まずは何でも診るのがモットーです。

定期的に検診を受ける大切さを知ってほしい

乳がん検診を受ける方は増えていますか?

大迫靖子院長 momウィメンズクリニックおおさこ3

開業当初から行ってきた乳がん検診ですが、患者さんが増えてきたのはこの3年ほどです。有名人で乳がんを公表する方が相次ぎ、30代でも乳がんになるとリアルに感じた若い世代が、検診を受けてくださるようになりました。ただ、子育て真っ最中の女性は日々忙しくてご自分のことは後回しになりがちですし、公費が出ない検診には消極的です。しかし、2006年に当院が開業した頃は18人に1人だった女性の乳がんの罹患率は、今では9人に1人といわれています。乳がんは決して特別な病気ではないのですが、早期に発見できれば生命への影響は少ないとされています。乳がんが増えていること、そして検診の必要性をもっと認識してほしいですね。

子宮がんでは、検診とともに子宮頸がんワクチン接種も重要ですね。

残念なことに、不正出血などの自覚症状があるのに検診を受けていない人が少なくないです。若いとどうしても「私は大丈夫」と思いがちでしょうが、いざ罹患すると大丈夫ではないことも多い病気です。また、大半の方は行政の補助に合わせて2年に1回しか検診を受けないのですが、毎年受けることが大切だと感じます。「行政の検診は病気になる人口を減らすための検診、ご自分のためにはお金をかけてでも毎年受けてほしい」とお話ししています。そして子宮頸がんワクチンに関しては、以前副反応に関する報道もあって、日本ではなかなか積極的な接種が進みません。しかし高い予防効果が期待できますし、私は医療従事者の一人として、女性の人生を守るためにワクチンは必要だと考えています。当院では、ワクチンの必要性が理解できて接種した記憶も残る、中学3年生~高校1年生頃の接種を勧めています。そのぐらいの年齢なら注射の痛みも我慢できますからね。

内診や検査への不安もあるかと思います。

大迫靖子院長 momウィメンズクリニックおおさこ4

婦人科の診察の不安は、それは本当によくわかりますよ。ですからできる限りの配慮をしています。例えば検査の器具も小さなサイズを用意していますし、何をされるか見えないのも怖いかなと思うので、内診台のカーテンも開けています。次に何をするか細かく声をかけるなど、できるだけリラックスできるような雰囲気づくりも心がけて、終わってみれば「大丈夫だった」とホッしていただけるよう工夫しています。何か希望があれば、まずは気軽にリクエストしてみてください。

日々の心がけや予防が未来の健康につながる

病気の予防を考える上で、大事なことは何でしょうか。

大迫靖子院長 momウィメンズクリニックおおさこ5

特に働き盛り、子育て世代の女性を見ていると、食事の大切さを痛感します。「忙しい時は、家族のための食事は作っても自分は安売りの菓子パンを買ってそれで済ませます」という女性が非常に多いんです。菓子パン1個で軽く300キロカロリーはありますよね。確かに甘いものを食べると多幸感が得られて家族のために頑張れるかもしれないけれど、お金と時間を惜しんで安価な菓子パンで血糖値を上げてしまったら本末転倒です。血糖値が上がると、さまざまな病気の原因にもなります。最近では女性でも、脂肪肝になったり血糖値や中性脂肪が高かったりする方が増えています。食事の欧米化は、乳がんや子宮がんの増加にも影響しているといわれているんです。食事の内容で人の体は変わってしまうことを、もっと意識してほしいですね。

ところで、なぜ医師になろうと思われたのですか。

小学6年生の作文では医療系に進むと書いていました。産婦人科に進んだのは、学問的に突き詰めるよりは、手術が好きで外科系に行きたかったからです。産婦人科の医師になってからも、女性ならではの苦労はありましたが、妊娠中に非常勤で勤務していた病院で以前から興味のあった皮膚科の講習を受けたり、偶然参加した乳腺のセミナーがきっかけで乳がん検診を始めたりと、あちこちで働き続けてきたからこそ、偶然の出会いが続いて今があると思っています。上司や、タイミングにも恵まれてきたなと思いますし、すべてのことに感謝だなと感じています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

大迫靖子院長 momウィメンズクリニックおおさこ6

婦人科関連の診察は、たとえ検診であっても腰が重いかもしれません。でも最近では専門的な検査ができる女性の医師も増えていますよ。乳がんの罹患率が女性の9人に1人ということは、同じ教室にいた女子生徒の数人は乳がんになるという計算になり、それがあなた自身である可能性も考えられるのです。食事に気をつけて、年に1回は検診を受けていただきたいと思います。少子化の時代だからこそ、子宮頸がんワクチンなどの手立てを利用して、子どもたちを守る必要があると思います。日本は文化的な背景もあり、体や性について話すことに抵抗をお持ちの方も多いようです。病気を見逃さないためにも、まずはわれわれ大人が健康や性に対する意識を変える時期に来ていると思います。私たちもサポートしますので、気軽に相談してもらえればうれしいです。

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