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吉井 紀子 院長の独自取材記事

東京衛生アドベンチスト病院附属めぐみクリニック

(杉並区/荻窪駅)

最終更新日:2023/03/09

吉井紀子院長 東京衛生アドベンチスト病院附属めぐみクリニック main

荻窪駅から徒歩3分、青梅街道沿いのビル内にある「東京衛生アドベンチスト病院附属めぐみクリニック」は、2017年10月に開院した、不妊治療に特化したクリニックだ。無痛分娩に歴史がある産科を強みとする「東京衛生アドベンチスト病院」を母体とし、病診連携で子どもを望む女性をサポートしている。優しい笑顔と穏やかな語り口が印象的な吉井紀子院長は、大学病院や関連病院の産婦人科で研鑽を積み、不妊治療専門クリニックで12年間副院長を務めたスペシャリスト。同じ女性として患者の気持ちに寄り添い、一人ひとりの状態をしっかりと把握した上で丁寧な治療に取り組む吉井院長に、2022年4月から不妊治療が保険適用となり転換点を迎えた生殖補助医療や診療方針、クリニックのあり方などについて話を聞いた。

(取材日2022年12月28日)

患者一人ひとりの状態を把握し丁寧な治療に取り組む

こちらのクリニックの特徴を教えてください。

吉井紀子院長 東京衛生アドベンチスト病院附属めぐみクリニック1

当院は、「東京衛生アドベンチスト病院」を母体とする不妊治療専門クリニックです。杉並区内には高度生殖補助医療まで対応できる施設が少なく、地域の高いニーズに応える目的で2017年に病院附属のクリニックとして開設しました。将来の健康な妊娠と出産に備え、体の準備をしていくプレコンセプションケアが重要視されていることもあり、同院では婦人科的な問題のみでなく内科的合併症の有無もスクリーニングし、何かあれば速やかに東京衛生アドベンチスト病院と連携を取って、検査や投薬、必要な手術などを行っています。妊娠後は産科にバトンタッチし、妊婦健診、分娩までサポートしていますので、患者さまにも安心していただけると思います。また当院では、胚移植後の妊娠率についても重要視していて、凍結融解胚移植あたりの臨床妊娠率の向上に腐心しており、高水準を維持しています。

こちらではどのような治療が受けられますか?

タイミング療法や人工授精など一般不妊治療はもちろん、体外受精や顕微授精など高度生殖補助医療にも力を入れています。一般不妊治療においては、卵管通過障害の改善を促すための卵管鏡下卵管形成術(FT)を得意としています。これは、卵管性不妊症の患者を対象に行う内視鏡治療で、保険適用の日帰り手術が可能です。狭い卵管にカテーテルを挿入し水で加圧したバルーンで卵管を広げる治療ですが、豊富な経験と技術が必要になります。実際に治療が成功したかどうかは患者さまにわかりにくいかもしれませんが、きちんと治療ができていれば、おのずと治療成績に反映されますから、治療成績は一つの目安になるのではないでしょうか。自然妊娠を希望しているけれども卵管に問題があるという方にはご相談いただきたい治療です。

高度生殖補助医療についてはいかがでしょう?

吉井紀子院長 東京衛生アドベンチスト病院附属めぐみクリニック2

2022年の4月から不妊治療が保険適用になったことは、生殖補助医療の分野に激震が走った出来事だったと思います。費用面の負担が少なくなったことで、若い年齢のうちから体外受精にステップアップされる方も増えている印象ですね。実際、不妊治療に取り組んでいる間にも加齢はどんどん進みますから、ステップアップを早めることで、治療結果にも良い影響を与えていると思います。当院のような不妊治療専門のクリニックは、妊娠が成立した時点で卒業になります。以前は、一人の方を非常に長い間診ていることもありましたが、今後は初診から卒業までの期間の短縮につながったらうれしいですね。

スタッフ全員が患者を理解し理想のゴールをめざす

こちらの設備について教えてください。

吉井紀子院長 東京衛生アドベンチスト病院附属めぐみクリニック3

院内には卵管の通過性を確認するためのエックス線室、超音波や内視鏡、ホルモンを即日測定できる機器なども備えています。また、体外受精の重要な段階である胚の発育の観察では、一定間隔で写真撮影し、24時間観察するタイムラプス機能つきの培養システムを導入しています。このシステムにより胚の発育状況を適切に把握。正常な成長を遂げてきた胚と、そうでない胚を見分け、胚移植の際により妊娠の可能性の高い胚を選択する助けになります。当院では、成果をきちんと出して差し上げることが一番大切だと考えています。

不妊治療はスタッフの皆さんの力も大きいですね。

当院の特徴の一つとして、医師をはじめ、受付スタッフ、看護師、そして培養に携わる培養士も個々の患者さまのことをとてもよく理解していることが挙げられます。すべての患者さまを同じ方法で治療すれば良いというわけではありません。例えば、今まではうまくいかなかったという患者さまが受診された場合も、よく分析すると見えてくる部分があるので、「治療はこのやり方で」というふうには決めつけず、この患者さまにはどういう治療法が良いのかということを真剣に考え、スタッフ全員と治療方針を共有していきます。

診療の際に心がけていることは何でしょう?

吉井紀子院長 東京衛生アドベンチスト病院附属めぐみクリニック4

患者さまの不安や迷い、ご希望がどこにあるのかを常に意識しながら、できるだけ早くゴールに導けるような診療を心がけています。不妊治療は日進月歩ですから、医師側も日々アップデートされるエビデンスをキャッチアップする努力が必要です。医師に知識がないと、患者さまを後悔のない方向に誘導することが難しくなります。また、速やかなステップアップが必要なのに「自然がいい」などの先入観で前に進めない方には、ご自身の年齢やホルモン値なども用いて、妊娠できるタイムリミットを適切に理解してもらうことも重要です。情報を提供し、最善と思われる策を提案した上で、ご本人に選択していただきます。悲しいことに、不妊治療は内診や採血、麻酔など女性にとっては嫌なことも多いです。そんな中でも「ここに来ることが楽しみ」「最後は笑って帰れる」と言われるような家庭的なクリニックでありたいですね。

積み重ねてきた実績を信頼し、安心して受診してほしい

先生のご経歴について教えてください。

吉井紀子院長 東京衛生アドベンチスト病院附属めぐみクリニック5

大学卒業後は、慶應義塾大学病院とその関連病院で、産婦人科全般の治療に携わってきました。院長就任前は、都内の不妊治療専門クリニックの副院長として12年間勤務。その間、不妊症専門クリニックに対するニーズが高まり、先進の機器や高度技術を駆使した治療を提供できるようになりました。私自身も多くの患者さまを担当し、不妊治療の臨床技術を磨きつつ患者さまの抱える問題や悩みを知るための貴重な経験をさせていただきました。しかし、その一方で規模が拡大したことで私がめざす「個々の患者さまをよく知り、丁寧に診療するスタイル」の継続が難しくなってきました。熟考の末、私がめざすのは「スタッフ全員が患者さまの情報を共有し、治療の結果が出た時はみんなで喜べるようなアットホームな診療」だと気づきました。当院はその思いをベースに、患者さまのご事情や希望をしっかりヒアリングしながら、満足のいく質の高い治療の提供に努めています。

仕事のやりがいを感じられるのはどんな時ですか?

例えば、不妊治療の結果が出て、笑顔で卒業される姿を見られたとしたら、何にも替えがたいうれしい瞬間だと思います。患者さまを見ていると、女性にとって子どもを持つことはすごく大きなイベントなんだなと実感しますね。2人目が欲しいと来てくださった方が、1人目の治療で通われていた時とはがらっと違う明るさや優しさ、強さを醸し出す雰囲気に変わっていたり、幸せそうな表情になっていたりするのを見ることができれば、やはりうれしいと思いますね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

吉井紀子院長 東京衛生アドベンチスト病院附属めぐみクリニック6

世の中の体外受精児に対する考え方が変わり、体外受精の保険診療適用も後押しして、以前よりも不妊治療を受ける精神的なハードルが下がってきたと感じています。結婚して不妊期間がないまま受診される方も増えました。不妊治療は治療を開始する年齢が重要ですので、迷った時はまず受診されてみることをお勧めします。また、タイミング法、人工授精などの一般不妊治療から体外受精などの高度な治療へのステップアップにも過剰な不安を抱かずに進んでいただきたいと思います。それが、結果的には良いかたちにつながると思います。当院は開院から5年の間にしっかりと実績を重ねてきたという自負もありますので、お子さんを望む方は、安心して受診していただきたいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養 /3万3000円

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