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伊藤 秀明 院長の独自取材記事

ぎなん皮ふ科クリニック

(羽島郡岐南町/手力駅)

最終更新日:2021/10/12

伊藤秀明院長 ぎなん皮ふ科クリニック main

国道21号岐大バイパス三宅インターチェンジの高架下にある医療モール「ぎなんメディカルスクエア」。その一角に入っているのが「ぎなん皮ふ科クリニック」だ。伊藤秀明院長は、「専門性の高い医療を気軽に受けられる場をつくりたい」と、医療モールを主導的立場で開設した立役者。先進的な医療を手がける都心の病院や地方の総合病院など、さまざまな現場で臨床経験を積んだスペシャリストで、日々の診療では乳児の湿疹から高齢者の床ずれ、乾癬やアトピー性皮膚炎の治療まで幅広い疾患を扱う。地域医療の充実、病診連携に意欲的な伊藤院長に、医療モール設立の意図や皮膚科の診療にかける想いをじっくりと聞いた。

(取材日2018年9月12日)

専門的な治療を地域に提供するスペシャリスト集団

こちらのクリニックが入っている医療モールの特徴を教えてください。

伊藤秀明院長 ぎなん皮ふ科クリニック1

この「ぎなんメディカルスクエア」は専門性を持つクリニックに地域の方々が気軽に受診できる医療の場をつくりたいという想いで開設しました。今はこの皮膚科と、私の妻が院長を務める歯科クリニック、私の同級生の心療内科・精神科クリニックの3つが入っています。多くの診療科が集まるところと言えば総合病院がありますが、現在は総合病院は先進医療を中心に行う場となり、紹介状がなければ気軽に行けない制度になっています。そうなった背景には、総合病院の勤務医が疲弊している現状があるからなんですね。しかし代わりに患者さんが気軽に行けて、なおかつ専門的な治療をしてくれる場所が新たに求められるようになりました。この施設は異なる診療分野の医師たちがそれぞれ連携して患者さんを診る場で、クリニックと患者さん、そして大きな病院をつなぐ架け橋のような役割を果たす目的で設立したのです。

患者さんにも医師にもメリットが大きい試みのようですね。

きっかけは以前勤めていた大病院で患者さんに言われた一言でした。治療がいったん終了して、「あとはクリニックに移って治療を続けてください」と説明すると、その患者さんは「私は血糖の治療も受けているので、ここを出たら2ヵ所に通わなければならなくなる。それはきつい」とおっしゃったのです。確かに2つの医療機関に通院するのは大変なことですが、だからと言って症状が安定している患者さんが先進医療を提供する大きい病院に通い続けることもできません。通院が大変だとつい足が遠のいてしまい、重篤な病気の発見が遅れてしまう危険性もあります。そういう不自由さを一挙に解消するには、いろいろな診療科のクリニックを一堂に集め、なおかつ大きな病院とも連携が取れるような仕組みをつくるのが一番だと考えたのです。今はまだ道半ばで、将来的には他科にも入ってもらい利便性を向上させたいと計画しています。

この地域での開業を選ばれた理由は?

伊藤秀明院長 ぎなん皮ふ科クリニック2

結婚を機に岐南町に住むようになったのですが、ここに永住すると決めた時から何か地域貢献がしたいと考えるようになり、開業を決意しました。特に皮膚科専門のクリニックはこの近辺になかったので、お困りの方が多いと聞いていました。この建物は商業施設だったものを改装したのですが、待合スペースをとても広く、開放的な造りにしているのがこだわりです。具合が悪い方が多く利用されるので、周りに気兼ねなくリラックスして待っていただけるようにしたかったのです。駐車場も約160台分あって、余裕があるので大型車や車いすでの往来も楽です。また来たいと思っていただけるような、気持ちの良い環境を心がけています。

多くの臨床経験を重ね皮膚科の専門性を高める

なぜ皮膚科の医師になられたのですか?

伊藤秀明院長 ぎなん皮ふ科クリニック3

純粋に学ぶ内容が面白かったからです。診断から治療まで、すべて自分で完結できるのも魅力です。もっとも、そのためには幅広い知識を身につける必要がありますし、手術の腕も磨かなければなりません。実は皮膚科は他の診療科よりもはるかに病気の種類が多く、現代の医療技術をもってしてもよくわからない病気もたくさんあります。病名を覚えるだけでも大変ですし、この歳でも初めて診る症例も少なくありません。やればやるほど興味が湧く一方で、責任を持って診るにはかなりの知識と技量が必要となります。

皮膚科を専門とする医師は、実際はあまり多くないと聞きました。

そうですね。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医は全国で約6000人ですが、皮膚科を標榜する医療機関は1万5000あり、病院のような複数専門医がいる機関があることを考えると全体の約3割程度しか皮膚科専門医のいる皮膚科クリニックはないというデータがあります。皮膚科専門医の強みは皮膚を診るだけでなく病理などもしっかり勉強し、皮膚の赤み一つとっても、見たり触れたりすることで炎症の深さや厚みまで想像して治療できることです。私が開業したいと思ったのは医師になって3年目の頃だったのですが、大学の教授にそれを伝えると「だったら先進的な治療を行っている病院から地域の病院まで、まんべんなく勉強して経験を積んでからにしなさい」と道筋を示してくださいました。そうやって教授をはじめ先輩方から厳しくも温かいご指導をいただきながら多くの患者さんと向き合ったことで、自信を持って開業することができました。

こちらは専門の機器もかなり充実しているようですね。

伊藤秀明院長 ぎなん皮ふ科クリニック4

「ここに来れば何でも診てくれる」という状態にしておきたいので、機器は一台一台を吟味して取りそろえています。水虫などをその場で診断しながら説明できる顕微鏡もあるんですよ。患者さんの層も幅広くて、生後まもない赤ちゃんから90代の方まで、実にさまざまです。どうしても治療が難しいものや、がんなどの重篤な病気は大きな病院に紹介させていただいています。イボ、ほくろ、皮膚腫瘍などの日帰り手術も行っています。基本的には保険診療を中心にしていて、特に手術は保険適応のものに限っています。美容皮膚科も「保険診療では届かないものを都心よりリーズナブルな価格で」という考えで行っています。また、スタッフによるサポートが厚いのも当院の自慢です。スタッフは診察の段取りや治療の説明など、いろいろフォローをしてくれるので本当に助かっています。

総合病院の受け皿となる医療の場へ

特に注力されている治療を教えてください。

伊藤秀明院長 ぎなん皮ふ科クリニック5

基本的には皮膚のことなら何でも診ます。最近ではご紹介で来院される患者さんも増えました。代表的なものは乾癬です。乾癬の方は実際は多いのですが、気づかれないこともよくあるのでやはり専門の医師に診てもらった方がいいでしょう。当院では塗り薬の他、紫外線治療や生物学的製剤による治療も行っています。他にはニキビやアトピー性皮膚炎の治療にも力を入れています。肌に不調があると悩んだり外出を控えてしまったりしがちなので、ストレスを抱えないためにも早めにご相談いただきたいですね。万が一重篤な病気だった場合も、初期に診させていただいた方が治療の選択肢がたくさんあるので医師としてもありがたいです。

医療モール内のクリニックとの連携についてはいかがですか?

医科と歯科の連携は大規模病院以外ではあまりなく、情報共有することも少ないかと思いますが、実は共通する点が結構あるんですよ。例えば治療の面では、歯の金属アレルギーの方が皮膚の病気になったりもするので、症状がある方はこちらで検査をしたりして協力し合っています。またどちらも死に直結する疾患を扱うことは多くありませんが、歯の健康は「おいしく食べられる」という生活の質を大きく左右し、皮膚疾患も見た目が変わるので悩んでしまう方が多く、暮らしに影響を与えるところが似ています。心療内科も同じで、心のストレスが皮膚疾患として出てくることもあります。クリニック同士が協力し合って的確な治療を行うことによって、地域の皆さまの快適な暮らしを支え、健康寿命を延ばすお手伝いをしていければと思います。

読者へメッセージをいただけますか?

伊藤秀明院長 ぎなん皮ふ科クリニック6

よく「こんな些細なことで来てすみません」とおっしゃる患者さんがいらっしゃいますが、本当にちょっとしたことでも気軽に来ていただきたいです。特にお子さんに関しては、虫に刺されたり皮がめくれたりするだけでも心配だと思いますから、気になったら迷わず来てください。飲食店さんが地域の人たちの口に合う味を研究し、プライドをもって一杯、一皿を出すように、私たちも地域で求められている医療を追求し、自信を持って提供したいと考えています。長くこの地で診療させていただくためにも、今後も誠実に患者さんと向き合い、その方に合った医療を提供していきます。

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