大澤 亮太 院長の独自取材記事
元住吉こころみクリニック
(川崎市中原区/元住吉駅)
最終更新日:2023/10/13
元住吉駅近くの商店街のメディカルモール内に、2017年に開院した「元住吉こころみクリニック」。内科と心療内科を2本柱に、心と体を総合的にサポートするクリニックだ。内科と心療内科それぞれに専門の医師が在籍しており、複数の専門的な外来も設け診療を提供しているのが大きな特徴だ。院長を務めるのは、話す相手を和ませてくれるようなやわらかい物腰が印象的な大澤亮太先生。「高齢者やお子さんだけでなく、働く人を支えることで社会や地域に貢献していきたい」と話す大澤院長。クリニックの特徴や治療方針、スタッフと共有する思いや今後の目標など、さまざまな話を聞いた。
(取材日2020年10月29日)
心と体、それぞれに専門の医師が在籍
心と体それぞれの医師が連携して診ているそうですね。
当院は心の外来と体の外来が連携しながら診療しており、それぞれに専門性の高い診療ができる医師が在籍しています。クリニック名の「こころみ」という言葉には、「心と体」という意味に加えて、「新しいことを試みる」という意味も込められているんですよ。院内は心の外来と体の外来とでエリアを分けた設計になっており、待合いスペースにも仕切りを設けるなど、患者さんのプライバシーにも配慮しています。
このエリアに開院した理由は何ですか?
20~40代の働く世代にアプローチしたいという思いがありました。すると神奈川県内では、みなとみらい近辺か武蔵小杉エリアが適当なのではないかと考えたんです。そんなときにちょうど、武蔵小杉の一つ隣の駅である元住吉にとても良い物件が見つかりまして、開業時のメンバーに関東労災病院で勤務していた医師が複数いたので地縁を感じて開院を決めました。元住吉という街は幅広い年代の方が住んでいるので、患者さんの年齢層もさまざまですが、当院はホームページを見て来院いただける患者さんが多いので、他のクリニックと比べると若い世代の方が多いかなと感じています。
専門的な外来が複数あることが特徴的ですね。
内科だけでも総合内科分野、生活習慣、呼吸器内科、循環器内科、血液内科、貧血、禁煙、アレルギー、9つの専門診療窓口を設けています。総合内科分野では、どこに相談していいかわからないような体の不調も含めて、総合的に診療する外来です。他には、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を診る外来や、呼吸器内科では喘息やCOPDを、循環器内科では高血圧や不整脈など心臓に関する不調を診療しています。赤血球や白血球の異常を診察する血液内科は、関東労災病院の血液内科と密に連携することで治療レベルを上げています。当院では血液内科と呼吸器内科どちらも専門の医師が在籍しており、専門性の高い診療を提供しています。また心療内科とも連携し、睡眠時無呼吸症候群の診療にも力を入れています。
専門性の高い医師が複数在籍しているのは、患者さんにとって心強いのではないでしょうか。
そうですね。当院に在籍しているのは総合病院など臨床の第一線で活躍してきた医師が中心で、十分な知識と経験があります。複数の医師の意見を織り交ぜながら、バランスの良い診断・診療ができることもメリットだと思います。もちろん自分の専門に限らず、ジェネラルに診療できる能力もあります。良い医療を提供するには、医師だけでなく事務や看護師、ソーシャルワーカーなどさまざまな人の力が欠かせませんが、今は本当に良いスタッフに恵まれています。これから武蔵小杉に分院を開院する予定もありますので、さらにスタッフと力を合わせて、患者さんに誠実な医療を提供していきたいと考えています。
多職種が連携したチーム医療で患者を親身にサポート
心療内科の特徴も教えてください。
心療内科も内科と同様に、心療内科、精神科、睡眠、あがり症、メンタルヘルスと外来を分けています。こうすることで、患者さんが足を運びやすくなると思うんです。例えば「人前に立つと緊張してしまうけど、この程度で病院に行っていいのか」と迷っている方も、あがり症の外来があることを知れば来院しやすくなりますよね。ホームページで積極的に情報発信しているので、それを見た患者さんが遠方から足を運んでくれることも多いですね。あとは開院当初から、優秀なソーシャルワーカーに常駐してもらうことにはこだわりました。ソーシャルワーカーがいることで、患者さんの入院手続きや補助制度のことまでケアできますから。また、良いと思う治療は積極的に取り入れたいと考えているので、今後は脳に磁気エネルギーで刺激を与えてうつ病の改善を図るTMS(経頭蓋磁気刺激)の導入を検討しています。
時間をかけて診療することにもこだわっているそうですね。
心の治療は最初の診断が大切ですから、特に初診の患者さんには30分ほど確保し、不調のきっかけや周囲の人間関係などもヒアリングします。そうすることで患者さんへの理解が深まり、より適した治療方針を提案できることもあります。十分な診療時間を確保するために予約制を採用しており、すぐに診療できない可能性もありますが、それは良い医療を提供するためには必要なことなので、ご理解いただけるとうれしいです。再診の患者さんは、どうしても5~10分ほどになってしまうことが多いですが、必要に応じてカウンセラーとも連携して、薬だけに頼らない「心の治療」を行っています。
診療ポリシーを聞かせてください。
患者さんのニーズを大切にするために、まずは問診票にて希望を伺います。内科では、「任せる」「簡潔に診てほしい」「詳しく診てほしい」の中から、希望の診療スタンスを選択していただくんです。もちろん患者さんが簡潔な診療を希望していても、詳しく検査したほうが良いと判断した場合は医師から提案します。必要に応じてしっかりと検査・診断し、治療するという理念を大事にしています。当院は血液検査をはじめ検査体制を整えているので、検査内容によってはその日に結果をお伝えすることも可能です。心療内科では、「薬」「診断書」「カウンセリング」について、ご希望を伺います。あらかじめ患者さんの気持ちを踏まえながらお話を伺うことで、安心した治療につながればと考えています。時には多くの方を治療してきた専門家として、患者さんの希望とは異なることをお勧めする場合もあります。
社会に貢献できる医療機関をめざし、働く世代を応援
土日も夜まで診療しているんですね。
当院は「患者さんが通いやすいクリニック・働いている人を支えるクリニック」をコンセプトにしています。平日昼間は仕事をしている人のためにも、基本的には祝日を除いて9時から20時まで、日曜のみ18時まで診療しています。毎日診療するのは想像していた以上に大変な部分もありますが、頼もしいスタッフに支えられながら診療体制を組めているので、スタッフには本当に感謝しています。
先生が精神科の医師を志したきっかけは何でしょう?
最初は一橋大学経済学部に入学したのですが、将来を考える中で「人と直接関わって役に立てるような仕事がしたい」という思いが強くなりました。そんな職業は何かと考えていたときに、医学部の学生たちの輝いた表情を見て医師を志し、山梨大学の医学部を再受験しました。初期臨床研修の一環である大学の保健室診療を担当したのですが、心の悩みを抱える学生が想像以上に多いことに驚いたんです。そんな若者たちが社会に出てからも力になりたいと思い産業医学を学んできました。その後は、メンタルクリニックなどに勤務して経験を積み、2017年に当院を開院しました。開院を決めた理由は、より多くの人を助けたいと思ったこと、そして精神科領域の優秀な人材を育成する場をつくりたいという思いがあったことです。
最後に読者にメッセージをお願いします。
当院のスタッフには「2つのバリュー」を大切にしてほしいと伝えています。1つ目のバリューは、「人安心(ひとあんしん)」です。患者さんや地域の人に「この人になら安心して診てもらえる」と思ってもらえるような人材になること。2つ目のバリューは、人や病とだけ向き合うのではなく、社会的な課題を解決するような上医になることです。これは「上医は国を医し、中医は人を医し、下医は病を医す」という私の好きな言葉を軸にしています。今後も社会の生産性に貢献できる医療機関をめざし、働く世代・子育て世代を支えたいと思います。忙しいと健康をないがしろにしがちですが、失って初めてその大切さに気づくこともあると思います。不調を感じたり健康診断で異常があったりしたら、早めにご相談くださいね。