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小山 賀継 院長の独自取材記事

こやまかわせみクリニック

(本巣郡北方町/穂積駅)

最終更新日:2024/01/31

小山賀継院長 こやまかわせみクリニック main

都市開発が進む本巣郡北方町の一角に、木材と大きなガラスを組み合わせた外観が目を引く「こやまかわせみクリニック」がある。開業は2016年。院長の小山賀継先生は愛知医科大学を卒業後、大垣市民病院や豊橋市民病院の血液内科で経験を積み、名和病院の内科副部長を務めた内科医師だ。同クリニックでは内科・小児科・漢方内科を標榜し、幅広い年齢層のさまざまな症状に対応している。特に漢方の診療では、西洋医学だけでは治療が難しい患者に丁寧に向き合い改善をめざしている。「体の不調が続き、どこで診てもらったらいいかわからない、という人の受け皿になりたい」と話す小山院長に、漢方との出合いや今後の展望、個性豊かなクリニックのたたずまいに込めた思いを聞いた。

(取材日2022年2月16日)

地域医療を担い、漢方内科としても幅広い症状に対応

開業から5年たちましたが、今はどのような患者さんや主訴が多いでしょうか。

小山賀継院長 こやまかわせみクリニック1

内科、小児科のかかりつけ医として、地域の生活習慣病の患者さんや、風邪や予防接種のお子さんたちに加えて、漢方の診察に対応しておりますので、治療は一通り終わったけれど症状が続くとか、検査をしても異常がないのに不調だという相談も多いです。最近は新型コロナウイルス感染症の後遺症やワクチン接種後の副反応に悩まれている患者さんもいらっしゃいますね。北方町にお住まいの方だけでなく、県内の遠方や県外から来院される方もいますので、それに応えられるように日々勉強ですが、やりがいがあります。もちろん標準治療は必要ですけれど、一軒くらいは違う考えを持つクリニックがあってもいいんじゃないかと考えていますし、それを求めている方が結構いらっしゃるのを感じています。

クリニックの外観が個性的ですし、院内にタイプの異なる複数の待合室があり、ユニークですね。

ご縁があって、神奈川大学建築学科特別助教の方や設計士の方を含め、3人の方と何度も打ち合わせなどを行いながら共同設計してもらいました。皆さんに一ヵ所で待っていただくよりも好きなスペースで過ごしてもらいたかったんです。一般的な待合室もありますし、一人でいたい方のために通路の隅にも椅子を置いています。新型コロナウイルスの流行は想定外でしたが、待合室の一つを発熱患者さん専用にすることができて、こういうスタイルにしておいて良かったと思いました。あと当院には患者さんの中で例えばお店をされている方や、今度、講演会を主催するという方が情報を貼れる「みんなの掲示板」というコーナーを作って、暮らしの情報交換にも役立ててもらっています。症状がなくても地域の方が散歩の途中に立ち寄って、知り合いとお話しできる、そんな場所になれたらうれしいですね。

先生が医師をめざしたきっかけは何だったのでしょう。

小山賀継院長 こやまかわせみクリニック2

私の実家は土木建設業を営んでおり、高校3年の夏までは私も建築家になって家業を手伝いたいと思っていたんです。ですが、兄がすでに土木科を出て家を継ぐ予定で、母からは「兄弟で同じ職業に就かないほうがよい」と言われていました。そんな時、高校の担任から勧められたのが医学部でした。急きょ進路を変更し、医療の道に進むことにしました。そうして選んだ進路でしたが、医学部6年の時、母が重い病気であることがわかったんです。少しでも私の白衣姿を見せたかったので、研修先を母の入院先である大垣市民病院に決めました。国家試験に合格し、研修開始後すぐに母は亡くなってしまうのですが、医師としての姿を見せることはできました。その後、バブルのあおりを受けて実家の事業は廃業せざるを得なくなります。仕事があった私はなんとか家族を支えることができ、これも母が導いてくれた道だったのかなと思っています。

患者の体質を見極めて行う中医学漢方に感銘を受ける

漢方との出合いを教えてください。

小山賀継院長 こやまかわせみクリニック3

大垣市民病院に勤務した後、医局人事で豊橋市民病院に1年勤務し、その後大垣市にある名和病院で働くことになりました。介護老人保健施設が併設された病院で、それまで私が働いてきたところとはまったく違う環境でしたので、医師にできることは何だろう、今後どういう医師に自分はなりたいのだろうと悩みました。そんな時、妻が通っていた鍼灸院で私も見てもらう機会があったんです。脈に触れただけで、体のことを把握する技術に衝撃を受け、鍼灸院にお願いして勉強をさせていただくことにしました。師匠との出会いでした。私の休日を利用し、6年間そこで経験を積ませていただきました。

東洋医学の魅力はどんなところにあるとお考えですか?

東洋医学には日本漢方と中医学漢方があって、日本漢方というのは症状から対応する漢方を考えるので西洋医学の人間からするとわかりやすい考え方なんです。ですが中医学漢方というのは、例えば頭痛という同じ症状の場合でも、その人の体質や病気の質などを見極めて、その人の体に合った漢方薬を処方するんです。西洋医学では、その患者さんだけのオンリーワン治療というのは難しいのですが、中医学漢方ではいわばオーダーメイドのような感覚で治療ができる、そんなところが魅力だと思います。

女性特有の症状や小児にも漢方で対応しているのですか?

小山賀継院長 こやまかわせみクリニック4

はい。いろいろな不調に漢方で対応しています。例えば、重い生理痛や生理不順に悩んでいるけれど、まだ10代で本人も親御さんもホルモン剤や低用量ピルを使うのは抵抗があるという場合、それ以外の選択肢として漢方を用います。お子さんに多い症状ですと、中耳炎になりやすいとか夜尿症にも対応します。あと発達障害の一つでADHDと呼ばれる注意欠如・多動症のお子さんは落ち着きのなさ、衝動性などの問題を抱えていることが多いのですが、安定剤を使うのは避けたいでしょうから気持ちを整える目的で漢方を用いる場合があります。また、けがは治ったけれども痛みが続く、いわゆる古傷の痛みにも漢方をご提案しています。幅広い世代のさまざまな悩みに応えられると思いますので、相談にいらしてください。

病気だけを診るのではなく、人を見る医療をめざして

患者さんに接する際に心がけていることは何ですか?

小山賀継院長 こやまかわせみクリニック5

不調を訴える患者さんに対して「年のせい」「気のせい」としないようにしています。検査では異常が出ない場合でも西洋医学の病名がついていないだけで、不調には原因があるはずです。ですので、当院では漢方の考え方に倣い、「今、あなたの体はこういう状態なので、こういう方法で治していきましょう」と説明します。小さいお子さんには目線を合わせ、体に触れて「大丈夫だよ」と声かけをしながら診察します。親御さんにも「風邪です。薬を出しますね」で終わりにせず、「冷えが原因の風邪ですね。夏に冷たいものをたくさん飲みませんでしたか? できるだけ常温で飲ませてあげてください」といった感じで声かけをします。今の症状が治まればいいのではなく、治った後はどんな暮らしをしてほしいのかという、次につながる診察をしたいと思っています。

診療方針やモットーをお聞かせください。

大事にしているのは、「病気」ではなく「人」を見ることです。症状のつらさや原因は一人ひとり違いますから、漢方の診察では患者さんが困っていることに耳を傾け、脈を診て、体に触れて、どこに異常があるかを判断します。食生活に原因があると思われる方には、漢方の処方とともに食事内容の見直しをアドバイスしますが、毎食のカロリーや塩分を計算するのは大変ですから「乳製品や砂糖、油の多いものはできるだけ控えて、量は腹八分目くらいにしましょう」とわかりやすく言うようにしています。そして次に来院された時に成果が表れていれば「頑張っていますね。体が変わってきていますよ」と褒めることも大切です。結果的に「続けて良かった」と感じていただけるよう、患者さんをサポートしたいと考えています。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

小山賀継院長 こやまかわせみクリニック6

まだ計画段階ですが、第2駐車場として使っている土地に地域の皆さんが集まれるコミュニティーをつくりたいと考えています。例えば、アレルギーのある人も食べられるおやつを用意したり、高齢者と若い世代が交流したり、子ども食堂を運営したり、いろいろなことができる場所にしたいです。中国の古い医学書に「小医は病を癒やし、中医は人を癒やし、大医は国を癒やす」という言葉があります。病気だけを治すのではなく、人を治すことが国の力になり、国を良くしていくという教えです。私も、まずは地域を良くできればと思います。集える場所をつくって孤立や孤独を防ぎ、診療以外でも皆さんを癒やせるクリニックをめざしていきます。

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