見た目の仕上がりや費用はもちろん、強度、体への影響などを踏まえて詰め物の素材を選んでいくことが大切

Qアマルガムとはどのような素材ですか？

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▲患者の不安を取り除く説明を心がける

水銀と他の金属とでできた合金で、歯の詰め物の素材として一般的に用いられてきました。しかし、アマルガムの約50％を占める水銀が人体に影響を与えることが次第にわかってきたのです。そんな中、2016年の歯科診療報酬改定でアマルガムは保険適用から除外。詰め物に用いるケースは過去のものになりましたが、2016年以前までは広く使用されていたため、特に40代以上の患者さんは、アマルガムを用いた詰め物があるケースが珍しくありません。アマルガム修復物や、金属アレルギーにつながるとされる銀歯が体に及ぼす影響を鑑み、当院では必要に応じてこれらの修復物を、セラミックなどの素材に替えるメタルフリー治療も行っています。

Qアマルガムの詰め物が体に与える影響について教えてください。

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▲丁寧な治療が重要になる

アマルガムに含まれるのは無機水銀と呼ばれるもので、以前は人体にほとんど影響はないといわれていました。しかし最近の研究で、無機水銀が人体に悪影響を及ぼす可能性が指摘されるようになりました。無機水銀は腸内細菌の作用などにより水俣病の原因ともいわれる有機水銀へ変化していきます。また、食べ物の咀嚼、歯のブラッシングといった、詰め物の表面を摩擦する動作が加わると無機水銀が揮発しやすいことがわかってきたのです。揮発した水銀が呼吸によって肺から血液に取り込まれれば、やがて細胞や脳にも到達しかねません。一度に取り込まれる水銀は微量ですが、日常的に少しずつ体内に蓄積すると、体調に影響を与える可能性があるのです。

Q体調にどのような影響があると考えられているのでしょうか。

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▲アマルガム除去について語る杉本院長

水銀が体内に蓄積すると、糖尿病や神経痛、アルツハイマー型認知症、うつ病などの病気から、歯周病、口内炎、顎関節症などの歯科疾患を招く恐れがあります。他にも「疲れやすい」「なんだか調子が悪い」といった、いわゆる不定愁訴につながることがあると危惧されています。また、アマルガムだけでなく歯科用金属アレルギーの場合も、全身に関わる症状に関係しているのではないかという指摘があるのです。もちろん現れる症状の種類、程度は人それぞれですし、銀歯があることで必ずしも症状が現れるわけではありません。ですが、ストレスや加齢が原因と思われていた不定愁訴が、体内にある金属の影響によるものである可能性も考えられるのです。

Qこちらで行っているアマルガムの除去方法を教えてください。

A

▲水銀の影響を最小限にできるような処置を進める

処置時は酸素吸入器、酸素飽和度や血圧などを測定する生体モニターを装着してもらい、診察台に上がったら体が露出しないよう全身を手術用ドレープで覆います。そして、ラバーダムを使い、治療中に露出しているのは処置する歯のみの状態にします。空気清浄を徹底した診察室で実施し、除去時は口腔外バキュームをフル活用。術者側は防護服・防毒マスクを装着しますし、除去で使用する器具類はすべて使い捨てです。細心の注意を払い、患者さんはもちろん術者に対する水銀の影響を最小限にできるよう処置を進めます。ただ、アマルガム除去は本来、重金属デトックスの一環であるため、体内の重金属濃度を検査で把握しながらの処置をお勧めしています。

Q詰め物の詰め替えで使用できる素材にはどんなものがありますか？

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▲メタルフリー治療に注力している

現在、保険診療で主流になっているコンポジットレジンのような白い見た目の素材や、金銀パラジウム合金もあります。ですが、虫歯の再発を表す二次カリエスや金属アレルギーのリスクを踏まえると、自費のセラミック素材も選択肢に入れるのが望ましいと考えます。例えばセラミックであれば、メタルフリーであることはもちろん、二次カリエスのリスクも少なく、見た目にも自然な仕上がりをめざせます。修復治療を行う場合は、金属アレルギーのリスクが少なく、歯の健康を守るのにも役立つような素材を選ぶことが重要です。アマルガムなど金属の詰め物を除去した場合は、除去後に採取した型をもとに作製し、次回診察時に装着できるようにします。