西大須 伊藤内科・血液内科

西大須 伊藤内科・血液内科

伊藤達也院長

頼れるドクター

医療トピックス

家族と過ごす在宅医療(往診・訪問診療)と
専門の医師の在宅輸血

西大須 伊藤内科・血液内科

保険診療

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高齢社会にあって、家にいながらにして定期的に診療やケアが受けられる在宅医療のニーズが高まっている。内科疾患に対する在宅医療は徐々に普及しつつあるが、輸血を必要とする病気については血液製剤の取り扱いの困難さもあり在宅ではほとんど行われていないのが実状だ。「西大須 伊藤内科・血液内科」の伊藤達也院長は日本血液学会血液専門医であり、24時間体制で輸血の処置、しかも赤血球だけではなく管理が難しい血小板製剤の輸血も行う訪問診療に取り組んでいる。そもそも訪問診療とはどんなものか、輸血の処置はどのように行うのか、本人や家族にとってどのような意義があるのか、詳しく教えてもらった。(取材日2017年6月3日)

輸血が必要な患者にも在宅医療をとの思いで、専門家ならではの診療と24時間体制のサポートを実現

往診と訪問診療の違いや、対象の患者について教えてください。

1 ▲車で患者宅へ。訪問診療のため決まった時間に来てくれる 往診は、ご要望があったときに伺って診療する単発的なもので、通院できない方だけでなく普段は通院できる方も対象になります。一方、訪問診療は、通院が困難な方のご自宅へ定期的に伺うものです。もともと通院していたけど高齢になり足腰が弱って通えなくなった方、麻痺や神経の難病で動けない方、呼吸不全の方、認知症の方も対象です。入院されていた方であれば、退院時に主治医や担当看護師、ケアマネジャー、訪問看護師、作業療法士とミーティングをして訪問診療の詳細を決めます。各市町村の「いきいき支援センター(地域包括支援センター)」や自治体の福祉担当の課に相談すると、当院のような在宅療養支援施設を紹介してくれると思います。

先生は血液内科が専門でいらっしゃいますね。

2 ▲問診・触診・聴診などを行い、その日の体調を確認し記録する はい。なので一般的な訪問診療に加え、輸血療法ができることが大きな特徴です。例えば難治性貧血の方で、状態は安定しているけれども定期的に頻回な輸血が必要な方や、ご高齢で輸血に通うのは大変という方の場合、在宅で輸血が可能となるメリットは大きいと思います。また白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など悪性疾患の方で、長期間の大変な治療にもかかわらず残念ながら治癒が困難となった厳しい状況で、望まれても輸血がネックとなり在宅での緩和ケアが叶いづらい状況でした。それを何とかクリアしたいというのが私の強い思いで、輸血に加え、モルヒネや麻薬系の薬を使いながら苦痛緩和に努めるなど、病院と同じようにケアしています。

在宅での輸血は専門の医師でないと難しいことなのですね。

3 ▲患者宅で輸血を調整し施せるのは、伊藤先生の訪問診療ならでは 輸血は通常の点滴と違って血液細胞を体に入れる行為なので、移植の一種と考える医師もいるほど専門性が高いです。副作用への対応だけでなく製剤の管理や安全性の担保も含め、輸血療法に精通した医師でないと在宅で実施していくことは難しいと思います。私は血液疾患の方の“在宅療養への思い”にも応えたいと考えたので、赤血球だけでなく血小板輸血も行っています。特に血小板は有効期限も短く、午前に血液センターから届いた製剤は当日午後に輸血しなければなりません。しかも活性が低下しないよう振盪(しんとう: 振り動かすこと)させる必要があります。こうした取り扱いの煩雑さからも、在宅での血小板輸血はほぼされていないと思います。

訪問診療の頻度や内容や費用について教えてください。

4 ▲血小板も扱える先生。患者は安らげる我が家で治療を受けられる 頻度は患者さんの容態やご要望にもよります。血小板の数が減ってしまった方は、口腔内や消化管など全身に出血傾向が出て、輸血をしないまま頭の中で出血が起きたりすると命にかかわります。赤血球と違い、血小板は細胞が壊れやすいので、多いと週2~3回の輸血が必要になります。時間は赤血球だと2時間ほどで血小板だと1時間ほど。開始して最初の30分~1時間は診察をします。副作用が出るとしたらこの時間帯が多いので、処置が必要な場合は行います。赤血球の場合、途中で私は失礼して、輸血が終わる頃に看護師が来て点滴の針を抜いて処置をします。私たちがいない間もすぐ連絡が取れる体制にしていて、費用は通常の保険診療と同様です。

訪問診療の準備や受け入れる家族についても教えてください。

5 ▲診療後はその日の治療を家族に説明。質問にも親身に答えてくれる 今は抗生物質も発達していますし、ご家族はよく手を洗うこと以外に特別な準備は要りません。血液の病気は感染症に弱く、症状の変化が速いケースもあるため当初は心配もあったのですが、これまでの30例以上の経験を通して、末期の方でもご自宅で輸血を行いながら、ご家族の支えのもと穏やかな生活を送ることができるということを実感しました。予想以上に良い状態を保つ方が多いです。通院で輸血すると半日ほどかかりますが、在宅だとご本人と付き添いのご家族の負担は大幅に軽減されます。訪問診療をするための大事なポイントは、まずご本人とご家族にその強い気持ちがあるかどうかです。1人暮らしでもご希望があれば積極的にサポートします。

ドクターからのメッセージ

伊藤達也院長

現在は名古屋市とその周辺で在宅医療を行っています。緊急時は夜中に呼ばれることもありますが、大体は当院の昼休みの時間帯に訪問しています。看護師はご自宅近くの訪問看護ステーションと協力しており、短時間で駆け付けられる体制です。患者さんは家へ戻られると、ぱっと表情が明るくなるんですよ。それを見てご家族も喜び、そろって大切な時間を過ごされているのを見ると、私もお手伝いができたかなとうれしいですね。血液内科の医師がサポートすれば、輸血の問題はクリアできます。在宅医療は外来や入院の診療とはまた違ったやりがいがあり、今後さらに在宅輸血のシステムを充実させていきたいと考えています。

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