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伊藤 達也 院長の独自取材記事

西大須 伊藤内科・血液内科

(名古屋市中区/大須観音駅)

最終更新日:2024/04/17

伊藤達也院長 西大須 伊藤内科・血液内科 main

名古屋市営地下鉄鶴舞線・大須観音駅から徒歩3分、住宅街の一角に2017年1月に「西大須 伊藤内科・血液内科」が開院した。同院では総合内科、血液内科、女性内科など幅広い診療に対応している。「団塊の世代が後期高齢者の仲間入りをする2025年問題もすぐそこまで来ています。病気になっても通院できない高齢者が増加し、終末期の看取りも含めた在宅医療体制の整備は、今後の地域医療の喫緊の課題です」と地域医療に警鐘を鳴らすのは院長で理事長の伊藤達也先生。日々の医院での診療に加え、自身が専門とする血液内科の領域においての訪問診療体制の充実に心血を注いでいる。今回は、地域医療の課題解決に積極的に取り組む伊藤院長に、医師を志した経緯や医院での取り組み、在宅医療の課題までたっぷりと話を聞いた。

(取材日2017年4月20日/情報更新日2024年4月12日)

「血液内科」の治療の提供を地域内で実現

開院までの経緯をお聞かせください。

伊藤達也院長 西大須 伊藤内科・血液内科1

もともとは、道路を挟んだ向かいにある「成田病院(現・成田産婦人科)」の内科部門の医師として2011年の4月からこの地域で治療を行っていたのですが、2017年1月にクリニックとして独立し、開業することになりました。私の専門である血液内科の病気は悪性疾患が多く、通常は専門の医師がいる大きな病院で治療することが多いため、クリニックとして開業するのは珍しいといわれていますが、どうにか開業することができました。当クリニックは「成田産婦人科」の内科部門が独立した形で開業をしており、遠方への移転・独立では、通院中の患者さんに不便をかけることになるため、近くで探していたところ、調剤薬局だったこの建物が空いたのでここに決めました。今後も「大きな病院に行かずとも血液の病気を治療できるクリニック」として、地域のお役に立ちたいですね。

どんなきっかけで医師をめざしたのですか?

父が薬剤師だったので、子どもの頃から医療環境になじんで育ちました。また、小さい頃から困っている人に手を差し伸べるということを、苦にせず恥ずかしがらずにやっていました。例えば、重そうな荷物を持って駅の階段を上っているおばあちゃんがいたら荷物を持ってあげるとか、当たり前のようにやっていました。今から思うと、命や健康を大切にしたいという志向性が子どもの頃からあったと思います。医師という職業は、直接人助けにつながる仕事ですから、そうした性格の自分が医師をめざすようになったのは、ある意味自然の成り行きだったのかもしれませんね。

血液内科を専門分野に選んだのはなぜですか?

伊藤達也院長 西大須 伊藤内科・血液内科2

学生時代から免疫療法に興味があり、また卒業後は安城更生病院で研修を行ったのですが、そこで化学療法に情熱をもって取り組んでいる先生方の姿に影響を受けました。血液の病気は、病状が早く変化し、いきなり末期に進行することもあります。そんな中でも、改善が見込めるケースもあります。また、消化器内科などの場合は、診断は内科、手術は外科と分かれて治療にあたりますが、血液内科の場合は、最初の診断から寛解まで自分たちで完結していかないといけません。それがほかの科とは対応が異なる点です。リスクと完治が薄皮一枚で隣り合わせのところで病気と闘う過酷な世界なのですが、それだけに病気を克服できたときには大きな喜びを感じられると思います。

在宅輸血の医療体制整備は地域社会の「喫緊」の課題

在宅医療に力を入れているそうですが、何かきっかけがあったのでしょうか?

伊藤達也院長 西大須 伊藤内科・血液内科3

きっかけとなったのは、母が病気を患ったことです。手術後、母が強く在宅での治療を希望し、その希望をかなえるために在宅医療を初めて行い、最期は私が在宅で看取ったのです。母は私の1人目の在宅患者なのです。私自身が主治医であり家族だったこと、健康だった父が深い愛情で母を支えたことも、満足のいく在宅医療ができた要因だと思います。例えば、高カロリーの点滴をしていたため入浴は週1回でしたが、父と楽しそうにお風呂に入っていました。お風呂場から幸せそうな母の笑い声が聞こえてきた時には、在宅医療の良さをしみじみ感じました。そして、「少しは親孝行ができたかなぁ」と、心が晴れたことが忘れられません。それから、本格的に在宅医療の大切さや終末期医療の在り方を考えるようになりました。

血液内科でも在宅医療は可能なのですか?

血液の病気は輸血の依存性が高い患者さんが多く、基本的には輸血は病院でしかできないため在宅に移行しにくいのです。そのため、血液の病気だけ在宅医療から取り残されるような時代が続いていたのです。最初はどこまでできるかわかりませんでしたが、「できるところまで自分でやってみよう」との思いで、赤血球だけでなく血小板の輸血にも取り組み、入院中と近い診療体制を在宅で整えることからスタートしました。血小板の輸血までやると、基本的には入院と変わらないサポートができるんですね。現在は看護師も24時間体制で、酸素が必要なら在宅での酸素供給もできますし、高カロリーの点滴も可能なところまで、徐々に診療体制が整ってきました。

在宅輸血へのニーズは一層高まると思いますが、今後の医療体制の整備についてはどうお考えですか?

伊藤達也院長 西大須 伊藤内科・血液内科4

命に関わる重篤な病気ではなくとも、高齢の方で輸血依存性が高い患者さんは多いんですよ。例えば骨髄異形成症候群など、難治性貧血の患者さんたちにとっては、通院は身体的に大きな負担がかかりますので、在宅輸血での治療が有用なのです。骨髄異形成症候群や多発性骨髄腫などは、年齢とともに増加していく疾患で、高齢者によく見られます。高齢化社会が進むこれからの時代には在宅で支えなければいけない患者さんも増えますので、輸血を含め総合的にサポートする地域医療体制づくりが必要な時代だと実感してます。輸血だけでしたら一般の内科の先生方でも十分対応できますので、患者さんやご家族への啓発活動なども含めて、多くの医療従事者と協力して血液内科の在宅医療体制の充実化を図っていきたいですね。

系列病院との連携で地域医療の先陣を担いたい

患者層の特性、そして診療時に心がけていることなどはいかがですか?

伊藤達也院長 西大須 伊藤内科・血液内科5

患者層は近隣の高齢者が多いですが、マンション建設も進み、若い方も徐々に増えてきました。疾患は生活習慣病をはじめとする一般内科が中心ですが、最近は地元のご高齢の在宅患者さんも増えていますね。また、系列の成田産婦人科との連携から、女性の方も多いです。診療の際には、まず最初に患者さんが思っていること、欲していることをよく聞いて把握した上で、患者さんの立場で治療方針を立てるようにしています。そして、診断をつけるだけではなく、納得していただくまで病気の説明を行います。医師だけでなく看護師などのスタッフ一同、患者さんとの良好なコミュニケーションを取ることが大事で、患者さんに信頼感を持っていただかないといけませんね。医師の一人相撲にならないよう、患者さんと呼吸を合わせながら診療することが大切です。

系列の2つの病院との連携についてはどうお考えですか?

大須地区には当クリニックのほかに成田産婦人科が、名駅地区には「セントソフィアクリニック」という系列のクリニックがありますので、当クリニックを含め3院が連携すれば、3本の矢の例えではありませんが、地域医療体制の充実に向け大きな力になると思います。成田産婦人科は婦人科と不妊症専門の外来を中心に、セントソフィアクリニックはそれに内科も加えた体制で、そして当院は血液内科を中心に内科一般と在宅医療で、それぞれが連携を密にして、この地域の医療を支えていきたいですね。

出産前後のミセス層の患者も多いと思いますので、その時期のアドバイスをお願いします。

伊藤達也院長 西大須 伊藤内科・血液内科6

妊娠中は自身の体だけでなくおなかの胎児への影響を、そして出産後は授乳を通じての赤ちゃんの健康への影響を考えなければいけませんね。「妊娠中は薬を飲んではいけない、注射をしてもいけない」と思い込んでいる方も多いようですが、実は飲んでも大丈夫な薬、打っても大丈夫な注射もあるのです。系列の「成田産婦人科」「セントソフィアクリニック」は婦人科が中心ですので、両院と情報を共有しながら「妊娠そして出産前後の方たちが安心してかかれる医療機関」として、妊娠しても服用できる薬を処方し、接種しても大丈夫な注射を案内しています。いたずらに薬や注射に過敏になっては、治療にも支障が生じます。自分でわからないこと、不安に思うことがあれば気軽に相談に来てください。

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