糖尿病の治療の継続へ
適切な投薬と、無理のない食事や運動が大切
もり糖尿病クリニック
(吹田市/吹田駅)
最終更新日:2025/01/16
- 保険診療
厚生労働省の「国民健康・栄養調査報告」において、糖尿病・糖尿病予備軍の患者は2016年には日本で約2000万人いると推計されている。忙しい毎日で、おいしい食べ物があふれる現代では運動不足や食事の乱れが起きやすく、糖尿病患者にとって長く続く治療や病状コントロールは容易ではない時も少なくない。糖尿病とはどういう病気か、またどのように治療していけばいいのか。糖尿病を専門とし、豊富な診療経験をもつ、「もり糖尿病クリニック」の森久也院長に話を聞いた。
(取材日2021年4月3日)
目次
4つのタイプがある糖尿病。腎臓や心臓、目や歯にも影響する合併症に注意が必要
- Q糖尿病とはどのような病気ですか。
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A
糖尿病は、インスリン作用が不足する中で慢性の高血糖症が起こります。インスリンは膵臓から分泌されますが、分泌の減少や働き不足で発症します。糖尿病には4つのタイプがあります。「1型糖尿病」は免疫などが原因のものや、理由が特定できない特発性のものがあります。「2型糖尿病」は遺伝因子や過食、肥満や運動不足が原因で、インスリンの作用など相対的に不足するタイプのものです。「妊娠糖尿病」は妊娠により体にインスリン抵抗性が強まり発症するもので、巨大児や低体重児の原因にもなります。その他、膵臓や肝臓の悪化が原因で発症するタイプがあります。
- Q糖尿病の合併症はどういうものがありますか。
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A
糖尿病コントロールが悪いと3大合併症とされる、網膜症、腎症、神経障害の危険が高まります。心臓や脳の動脈硬化、足や指の壊疽、歯周病を合併される方も増え注意が必要です。腎症は定期的に尿検査を行っていますが、一度に懸念される合併症を検査するのは難しく、特に目については、内科で診療時に観察するだけではなかなか気づくことができないこともありますので、見逃さないようなるべく眼科に紹介するようにしています。
- Q糖尿病の治療はどんなことを行うのでしょうか。
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A
基本は食事の注意です。栄養指導をして1ヵ月後、食事療法を実施しても、十分な改善がみられない場合は投薬治療に進みます。ただし、診断時にすでにHbA1c(過去1~2ヵ月の血糖の平均値、コントロールの指標)の値が高い場合は、食事の注意をしてもらいながら最初からお薬で治療を開始することもあります。最初からインスリン投与を行うことは少なく、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬などさまざまな治療薬があり、複数の治療薬から適したものを処方します。また、HbA1cの値が非常に高く、状態が良くないと判断される場合は、提携する基幹病院に最初から紹介することもあります。
- Q診断後、定期的な通院や検査が必要でしょうか。
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A
低血糖を起こさずに、糖尿病をコントロールすることが大切ですので、投薬も最初は少ない用量から始め、経過を観察し、徐々に分量を変更していきます。診断直後はHbA1cの値を月に2回計測できますが、安定するのに時間がかかることもあるので基本的には1ヵ月に1度の来院を続けていただき、コントロールができているようであれば、2ヵ月に1度の来院とする方もおられます。当院ではHbA1c値の測定がすぐにできる検査機器を設置していますので、1度の来院時で検査と処方が可能です。
- Q日常生活や食事で気をつけることはありますか。
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A
食事については、栄養指導を行いますが、糖尿病治療には、無理なく続けていける方法が何より大事だと考えています。食事については、腹八分目、ゆっくりよく噛んで食べる、脂っこい食べ物や甘い食べ物を控えて、脂質や糖質が低いもの心がけ、野菜など量から比較してカロリーの低いものを多く摂取することを心がけてください。運動については、激しい運動ではなく、ゆっくり歩く、ウォーキングをするなど運動を生活の中に取り入れることをお勧めしています。万歩計やスマートフォンアプリなど、今はさまざまな歩数計測がありますので、ぜひ活用していただき楽しく続けていく方法を考えてもらいたいです。