矢後 尚文 副院長の独自取材記事
きりんウィメンズクリニック武蔵野
(武蔵野市/三鷹駅)
最終更新日:2025/11/14
三鷹駅から徒歩7分。井の頭通り沿いにある「きりんウィメンズクリニック武蔵野」は、大きなキリンの像が目印の産婦人科のクリニックだ。2022年に名前も含めてリニューアルし、武蔵野市でお産のできる医院として、地域の力になっている。大学病院や総合病院、同グループ内のクリニックで婦人科診療や産科医療に携わってきた副院長の矢後尚文先生は「クリニックでのお産は時間が短く、スムーズな場合が多い印象です。その大きな理由が妊婦さんの安心感だと思います」と話す。同クリニックでは、よりリラックスして出産に臨めるよう、こまやかな配慮のもと診療を実施。クリニックの特徴や、どのような思いで産科医療に取り組んでいるか、矢後先生に話を聞いた。
(取材日2024年2月28日/更新日2025年11月12日)
武蔵野市でお産のできる数少ないクリニック
クリニック名が印象的です。

この場所はもともとは地域の方が多く働く製菓会社の倉庫だったそうです。取り壊してマンションにという話もあったようですが、元のオーナーさんのお気持ちもあって、地域に寄り添う産院として2016年に開院しました。さらにより親しまれるクリニックをめざして、キリンをトレードマークに、2022年7月に院名を含めてリニューアルしました。産科では妊婦健診から普通分娩、無痛分娩、帝王切開などの産科手術まで、婦人科では月経困難症や更年期障害などの婦人科疾患の診療、がん検診やその後の精密検査にも対応しています。より高度な医療が必要な場合は、杏林大学医学部付属病院、武蔵野赤十字病院をはじめ、近隣の病院と連携して治療にあたっています。患者さんは武蔵野市を中心に、広く多摩エリアからおみえです。スタッフも徒歩や自転車で通える範囲の者が多く、まさに地域密着型のクリニックですね。
先生のこれまでのご経歴について簡単に教えてください。
帝京大学を卒業後、同大学医学部附属病院の産婦人科に入局し、産科医療を重点的に診療してきました。周産期母子医療センターの立ち上げや重症患者さんの出産などを担当し、その後入職した総合病院では、がんの診療や手術などにも携わってきました。2005年に当クリニックが江東区・東雲に分院を開設して分娩にも対応するということで、大学の先輩でもある池下先生からお誘いを受けて、東雲院の院長に就任しました。以来、約16年間、東雲院で数多くの分娩を取り扱ってきました。近年の出生数の減少に伴って分娩を葛西院に集約することとなり、2022年1月から葛西院に移動。2025年11月からは武蔵野院の副院長として務めています。
がん検診では、コルポスコピー検査も行っているそうですね。

がん検診は婦人科の医師であれば誰でも行えますが、やはり腫瘍を専門的に診療してきた医師の検査は背景の力が違うと思っています。例えば、子宮頸がんの検診にしても、子宮頸がんを実際に診たことのない医師より、診断や手術を含めた治療をして豊富な経験を持つ医師のほうが、患者さんはより安心できるのではないでしょうか。子宮がん検診で要検査となった場合、精密検査であるコルポスコピー検査も当院で行うことができます。対象となる方は遠慮なくご相談ください。
母親と赤ちゃんの安全を第一に考える
こちらの産科の特徴を教えてください。

お母さんと赤ちゃんの安全を第一に、お母さんが安心してお産を迎えられることを大切にしています。そのために医師による妊婦健診の他に、助産師がカウンセリングを行い、お母さんの話をしっかり聞いて不安や疑問の解消に努めています。またお母さんのバースプランを助産師と一緒に検討して、前向きに出産に向き合うきっかけをつくることを心がけています。出産後は原則として母児同室ですが、お母さんが「ゆっくり休みたい」と希望なさる場合には赤ちゃんをお預かりすることもできます。同じ建物内に小児科のクリニックがありますので、そちらと連携して新生児の健診を行っています。
無痛分娩にも対応なさっていますね。
近年患者さんからのニーズが高くなっていますので、それにお応えしていく必要があると考えています。当院の無痛分娩は、何より患者さんの安全を大事にし、経験豊富な麻酔科医師による硬膜外麻酔を実施しています。薬剤を本格的に投与する前に少量を投与し、問題なく麻酔が行えるか安全性を確認しながら、分娩を行っています。無痛分娩は、お母さんにとって負担を少なくお産を乗り切り、赤ちゃんとの新生活をスムーズにスタートさせるために有用な方法です。ご興味のある方はぜひご相談ください。ただ、無痛分娩にはメリットとデメリットがあるので、状況に関して事前に十分にご説明し、最終的には患者さんに選択していただいています。
入院中の食事にも力を入れているそうですね。

食事は当院の自慢です。「見て良し、食べて良し」の料理で、入院中はきっと満足していただけると思います。出産後にお出しするお祝い膳は、お母さんだけでなく、お父さんも一緒に召し上がっていただけるんですよ。母親学級やベビーマッサージなど診療以外のプログラムも充実しています。顔見知りのスタッフに相談したり、同じ立場のお母さん方と交流したりすることで、お母さんのメンタルの安定も期待できると思います。
クリニックの診療方針を教えてください。
常に安全に十分配慮した医療を提供することですね。当院は産科医療が中心ですから、お母さんも赤ちゃんも元気ということを大切にしています。スタッフ含め、赤ちゃんを産み育てるお母さんや、女性特有の悩みや不安を感じている患者さんに寄り添い、親身に対応していく方針が浸透していますので、これからもチームで対応していきたいと思います。近年は家族や周囲のサポートが受けられず、孤立した患者さんもおられますので、当院では1ヵ月健診の時に、お母さんのメンタル面のチェックも必ず行い、お母さんの心の問題も慎重に見守っています。
地域に親しまれる存在に
診療で大事にしていることは何ですか?

患者さんに満足して帰っていただくことを心がけています。少子化が進み、今1人の女性が一生の間に産む子どもの数は1人か2人になっています。そうなると、出産は人生の一大イベント。そのイベントに心から満足して、お産をして良かった、子どもを持って良かったと思っていただけるようにお手伝いをしていきたい。そのためには患者さんは診療に関してわがままであっていいと思うんですよ。産科でも婦人科でも「こんなことを言ったら変に思われる」などと遠慮せずになんでも話していただければうれしいですね。
ところで先生はなぜ医師をめざされたのですか? 産婦人科を選んだ理由もお聞かせください。
父が浅草で産婦人科を開業していましたので、子どもの頃から産婦人科は身近な存在だったのです。赤ちゃんは複雑なシステムで生まれてきます。それをもっと深く研究していきたいとも思いました。これまで長くお産に携わってきましたが、出産が困難な状況の方ほど、医師としてやりがいを感じます。実は、産科の仕事は力仕事なんですよ。意外と腕の力が必要なことを実感する時も多いですね。
お忙しいとは思いますが、プライベートはどのようにお過ごしですか? 趣味なども教えてください。

アコースティックギターの弾き語りが趣味です。好きな楽曲は1970年代の日本のフォークソングです。ちょうど青春時代を過ごした時期で、良い曲が多いですよね。あとは健康維持のためにジムに通ったりしています。
今後の展望をお聞かせください。
最近、安くて、おいしく、地元の人に愛される町中華が人気ですが、当院も町中華のように、地元の方に愛される親しみやすいクリニックをめざしたいですね。受診のハードルが高いと思われがちな産婦人科ですが、ざっくばらんになんでも話していただける、“町中華のおやじ”のような医師でありたいです(笑)。私が敬愛するある先生が「婦人科医は女性の健康の総合的門番」だとおっしゃっていますが、そのとおりで、この症状はどこで診てもらえばいいんだろうと悩んだら、まずご相談ください。適切な道筋をつけて、お力になりたいと思っています。

