内視鏡検査と先進の治療法で
炎症性腸疾患のコントロールを図る
下村哲也内科クリニック
(京都市伏見区/伏見桃山駅)
最終更新日:2025/09/08


- 保険診療
多くの人が経験する腹痛や、便秘・下痢など腹部の不調。症状が続く場合は胃がんや大腸がん、炎症性腸疾患などが隠れていることもあるが、それを調べるには専門的な検査や診断技術が必要となる。「下村哲也内科クリニック」の下村哲也院長は、長らく地域の中核病院で消化器疾患の診療に携わり、内視鏡検査部門の設立や発展にも貢献した消化器内科の専門家。現在は診療の場を地域医療に移し、日常的な疾患や生活習慣病とともに専門性に基づく消化器診療を行っている。苦痛の少ない内視鏡検査に注力し、専門とする医師が限られる炎症性腸疾患にも診断から新規治療薬の導入を含めた先進の診療を展開。患者数が右肩上がりに増えている炎症性腸疾患の症状や検査・治療内容、地域のクリニックで専門的な診療が受けられるメリットについて、下村院長に聞いた。
(取材日2023年6月30日)
目次
苦痛の少ない内視鏡検査に努める。高い専門性と先進的な治療で、炎症性腸疾患の症状のコントロールをめざす
- Q炎症性腸疾患とはどのような病気ですか?
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A
▲大規模病院と同水準を意識し、消化器疾患の専門的な治療を届ける
腸内に炎症が起こることで大腸の粘膜が傷つき、ただれたり、はがれたりする病気を炎症性腸疾患といいます。免疫の異常が原因の一つとされていますが、はっきりとしたメカニズムは解明されていません。日本の罹患者数は過去には少なかったのですが、年々増加していて今では珍しくない病気です。発症すると腹痛や下痢、血便、発熱などの症状が現れます。炎症性腸疾患には主に2種類あり、大腸に炎症が起きる「潰瘍性大腸炎」と、小腸や大腸などさまざまな消化管に炎症が起きる「クローン病」があります。どちらも国の指定難病で、一度発症すると根治することは難しく、症状が再発する可能性も高いため継続的な治療が必要です。
- Q炎症性腸疾患は、どのような患者さんに多いのでしょうか?
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A
▲痛みの少ない内視鏡検査にこだわり、研鑽を積んでいる
がんのような悪性疾患は加齢に伴って発症も増えます。潰瘍性大腸炎は思春期の若い患者さんでも見られますし、ご高齢の患者さんもいて、あらゆる年代で起こり得る病気です。年齢だけでは判断できませんので、下腹部痛、血便、下痢などが続くようであれば放置せず、受診してほしいと思います。また以前、潰瘍性大腸炎の治療をしていたが、症状が落ち着いていて、治療を中断している方も要注意です。潰瘍性大腸炎関連の特殊な大腸がんが生じる可能性があります。そのため、現在治療を中断している方にもぜひ受診していただきたいと思います。
- Qどのような検査を行いますか?
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A
▲潰瘍性大腸炎など、専門的治療が必要な病気にも対応
炎症性腸疾患の確定診断には内視鏡検査を行います。腸管内を直接観察することで、粘膜の炎症などの特徴的な病変の有無や程度、範囲、重症度といったさまざまな情報を確認するために有用です。場合によっては、病変が疑われる組織を一部採取して顕微鏡で詳細を調べる検査や、ポリープを発見した際に、それを内視鏡で切除するといったことも行います。同検査でかかる時間については、観察のみであれば個人差はありますが20~30分ほどです。内視鏡を受ける際は特有の違和感や痛みが生じがちですが、当院では苦痛の少ない検査をめざしています。経験に基づいた丁寧な内視鏡操作、声かけ、鎮静剤の使用など工夫しています。
- Q炎症性腸疾患の治療法について教えてください。
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A
▲早期発見、早期治療が重要な分野だという
根治に導く治療法がない疾患ですが、専門家のもとで定期的な検査と治療を行うことで、症状を抑え、再発が起こらないようコントロールすることは可能だと考えます。基本的には薬物療法で、薬剤は病気の種類や重症度、症状によって異なりますが、過剰な免疫の働きを抑制するためのステロイドや免疫抑制剤、消化管の炎症を抑えるための5-アミノサリチル酸製剤などが主に用いられます。近年、潰瘍性大腸炎では治療薬の開発が目覚ましく、新しいメカニズムの治療薬も使えるようになりました。当院でも大規模病院と同水準の治療を積極的に取り入れています。また定期的に内視鏡検査を行い、粘膜状態を把握することも大切です。
- Q専門的な診療がクリニックで受けられるのはメリットですね。
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A
▲これからも幅広い地域ニーズに応えていきたい、と話す下村院長
規模の大きい病院では、診察する医師と検査を行う医師が違うこともあり、その医師の担当日に合わせて受診しなければなりませんが、当院では私が責任を持って診察から検査、診断、説明、そして治療まで対応します。当院では平日忙しくて受診できない方のために、土曜も内視鏡検査を実施しています。また、生活習慣病などで日頃から通院している方であれば、必要に応じてこちらからも内視鏡検査をご提案できますし、慣れた環境で治療まで完結できるというメリットは大きいと思います。ややハードルが高く感じられる検査や専門的な治療でも、日常生活に近い環境の中で手軽に利用してもらって、早期発見・治療につなげてほしいと思います。