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稚田 仲啓 院長の独自取材記事

狛江外科胃腸科医院

(狛江市/狛江駅)

最終更新日:2022/05/12

稚田仲啓院長 狛江外科胃腸科医院 main

狛江通り沿いに「狛江外科胃腸科医院」が開院したのは1965年。3階建ての広々とした同院は、開院当時の院内の雰囲気を大切にしながら、清潔感と明るさを重視してリフォームを重ねてきた。受付のカウンターには桜の一枚板が使われており、その堂々たるたたずまいが訪れる人に安心感を与えてくれるだろう。近隣のみならず、遠方からも患者が訪れる同院を先代の父から引継いだ稚田仲啓院長。先代とともに手術室に入ることを夢見て同じ胃腸科の道に進み、漢方治療を取り入れることで新たに自らの診療方針も打ち出してきた。親しみやすい笑顔が印象的な稚田院長に、同院が注力する内視鏡検査や痔の手術、漢方医療などの話を聞いた。

(取材日2021年8月10日/更新日2022年5月12日)

長年の経験と技術を生かし、痛みに配慮した内視鏡検査

とても雰囲気の良い院内ですね。歴史のある医院と伺っています。

稚田仲啓院長 狛江外科胃腸科医院1

ここは、僕が生まれた翌年に父が開院しました。父の代から通う患者さんなどは、とても落ち着くと言ってくださいますね。昨年は11台分の駐車場と駐輪場を整備し、今年はトイレや手すり、2階の床、診察室も改装しました。リフォームする際は、清潔感と明るさを意識し、同時に以前からの雰囲気も大切に残しています。以前、ここの3階に自宅があったので、僕にとっては思い出深い建物でもあります。僕も父も外科出身で、父の代では、胃や大腸の手術を院内で行っていました。現在は外科の開腹手術は行っていませんが、痔核、痔ろう、切れ痔の手術を中心に、胃がん、大腸がん、ポリープ、腫瘍を含めた日帰りの内視鏡下での手術を行っています。トイレつきの個室も完備され人目を気にせずに検査を受けられます。

先生が胃腸科の道に進まれたのはやはり先代の影響ですか?

父に憧れて、一緒に手術室に入りたいという思いがありました。そこまでの夢はかないませんでしたが、同じ時期に外来で診療することができたので、半分夢がかなったといっていいかもしれません。小さい頃に、父がオペ中の手術室に入って怒られたことを今でも覚えていますし、小学校3年生ぐらいの時には、「僕は将来医者になる」というような作文を書いていたと父から聞いたことがあります。大学卒業後7年目から当院を手伝い始め、5年以上父と一緒に診療を行っていました。仕事に対しては厳しい父で、患者さんへの接し方など、医学の教科書には載っていない大切な部分を勉強させてもらいました。

内視鏡検査を受ける方が多いそうですね。

稚田仲啓院長 狛江外科胃腸科医院2

内視鏡検査を行うために大切なのは経験だと思います。その経験が、検査時の痛みの少なさにもつなげていけると思います。大腸内視鏡検査の場合、腸をぐいぐい押さないようにすること、空気を入れないようにすることも心がけています。僕自身が検査を受けた時にすごくつらかったので、患者さんにはそういう思いをさせたくないんです。例えば、検査をするときにうまく内視鏡が入っていって、「先生、もう入っちゃったの?」などと言っていただけたら励みになりますね。また、当院にはお手洗いつきの個室があり、検査の前後や手術の際に利用していただいています。人の目を気にせず検査を待っていただけると思いますよ。

食欲不振や倦怠感などの不定愁訴に漢方医療を活用

特に力を入れている診療は何でしょう?

稚田仲啓院長 狛江外科胃腸科医院3

僕が院長に就任したタイミングで漢方を診療に取り入れています。例えば食欲がない、ちょっと下痢をする、なんとなく体がだるい、イライラするなど、西洋薬ではなかなか改善へと結びつけていくのが難しいような日常によくある症状、特に不定愁訴に適していると考えています。中でも六君子湯(りっくんしとう)は、幅広い症状に適応していく漢方薬でしょう。主に胃腸の働きを助けていく役割があり、みぞおちのつかえ、食欲不振、消化不良、胃炎などに用いています。副作用もほとんどないとされていますので、使いやすい薬ですね。勉強会に参加した時にこの漢方薬を知って使い始めたのですが、最近では患者さんのほうから希望される方もいらっしゃいます。

他にはどのような症状の時に漢方薬を使うのですか?

痔の症状に加えて、更年期障害などがある場合は、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を処方したり、痔の症状には乙字湯(おつじとう)を処方することもあります。市販薬を買って対処していた人が、漢方薬を使うことで治療の突破口になることもありますし、西洋薬との併用をする場合もあります。風邪のひき始めに処方することが多い葛根湯(かっこんとう)は、体を温める働きがありますので、寒気を感じた時や肩こりに用いることもありますが、すでに発熱している場合は逆効果になってしまうので、麻黄湯(まおうとう)で熱を冷ましていきます。お年寄りの風邪の初期には桂枝湯(けいしとう)、病後の体力低下や元気のないお年寄りなど疲労倦怠に朝鮮人参が配合された人参養栄湯(にんじんようえいとう)を用いています。最近では抵抗力を高めていく補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が注目されています。

こちらでは、内痔核硬化療法という痔の治療も行っているそうですね。

稚田仲啓院長 狛江外科胃腸科医院4

内痔核硬化療法は、痔を切らずに注射で内痔核硬化療法剤を注入することで、脱出を伴う内痔核の治療を行っていく方法で、希望される患者さんが年々増えています。患者さんの間ではよく知られていて、この治療を希望されて来院される方もいらっしゃるほどです。日本に導入されてまだ15、6年くらいなのですが、治療部位を切るような手術ではないので治療後の痛みが少なくて済みますし、日帰りで行えるため次の日から普通に出社できるでしょう。妊娠、分娩に伴う痔の治療で来院される方も多く、父の代からのご縁で、遠方から治療を受けに来られる方もいらっしゃいます。

地域のニーズに合わせた幅広い診療をめざして

先生が診療で大事にしていることを教えてください。

稚田仲啓院長 狛江外科胃腸科医院5

患者さんは病気で来られているので、看護師、事務員にも「笑顔を絶やさないこと」「上から目線で話さないこと」をお願いしています。無表情でいると、僕の顔が怖いと言われがちなことも笑顔を心がけている理由の一つです(笑)。おじいちゃん、おばあちゃんは、どうしても同じ話を繰り返し話してしまいがちですが、そのような場合でも、上から押さえつけるような言い方をしないよう医院全体で心がけています。また、良い医療機器を導入することが、患者さんの健康にも反映すると考えているので、常に新しい機材を導入するようにしています。内視鏡はハイビジョンを導入することで、細かい部分の病変に関しても見逃しのないようにしています。

地域にとって、どのような医院でありたいと考えていますか?

当院の創設者である父は、医療に対して非常に前向きでした。夜、父の仕事が終わって家族団らんでご飯を食べている時でも、急患があれば診療に駆けつける。そんな父を見て育ってきているので、僕もできる限り患者さん第一の診療をしていきたいと考えています。僕自身も急患の際には、近くの自宅からすぐに駆けつけています。この地域に長く住んでいますので、顔見知りも多く気軽に声をかけてくれる患者さんもいらっしゃいます。そういうコミュニケーションは大切にしたいですね。これからも地域に根づいた形で、患者さんのためになれるような医院でありたいと思います。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

稚田仲啓院長 狛江外科胃腸科医院6

昔から来られている患者さんの中には、歩くことが困難になり通院できなくなってしまったけれど、当院で診てもらいたいという人も多くいらっしゃるので、在宅医療にも注力しようと計画を立てています。兄嫁はケアマネジャーですし、僕の家内は看護師なので、院内に訪問診療、訪問看護のための部門をつくることも考えています。当院には、父の時代から長く通い続けてくださるご高齢の方から、ストレスに悩む若年層まで、幅広い年齢層の患者さんがいらっしゃいます。病気の説明をする時には、オリジナルの説明書を使うなど、今後もできるだけわかりやすく伝える努力をしていきたいですね。今ある設備や人材を生かしながら、今後も患者さんのニーズに合わせて診療の形や幅を広げていきたいと思います。

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