虫歯・歯周病の原因にも迫る
バランスを考慮した噛み合わせ治療
松本歯科医院
(狛江市/狛江駅)
最終更新日:2025/05/12


- 保険診療
時間をかけて虫歯や歯周病を治療しても、再発を繰り返してしまってはいないだろうか。家族に就寝時の歯ぎしりを指摘されたり、起床時の口元のだるさを感じたりする人もいるだろう。「これらすべての原因として、悪い噛み合わせが考えられます。噛み合わせの悪さは口腔内、ひいては全身のバランスを崩し、口腔筋の緊張による歯痛や、虫歯、歯周病の再発などにつながってしまうと考えられます」と話すのは、狛江市「松本歯科医院」の松本拓也院長。長年の診療経験から噛み合わせの大切さを実感し、噛み合わせを考慮し、口腔内のバランスをトータルで調える治療を実践している。そんな松本院長に、歯ぎしり、食いしばりとの関係やその悪影響から検査や治療まで、噛み合わせについて気になる点を詳しく解説してもらった。
(取材日2025年3月11日)
目次
虫歯・歯周病の再発や原因不明の歯痛など、原因として噛み合わせの悪さを疑ってみる
- Q噛み合わせが歯ぎしりや食いしばりの原因になると聞きました。
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A
▲気になることがあれば、まずは気軽に相談してほしいと話す院長
噛み合わせの良い歯では、噛んだ際にすべての歯にバランス良く圧がかかるのに対し、噛み合わせの悪い歯では、一部の歯にかかる圧力が集中してしまいます。全体のバランスが崩れることで、口周りの筋肉のバランスも安定せず、動きが悪くなったり、緊張状態が続いたりしてしまうのです。これが、歯ぎしりや食いしばりを引き起こす原因となります。歯ぎしりや食いしばりは、誰にでも起こるものです。しかし、過度になると歯や口はもちろん、全身に悪影響を及ぼしてしまいます。昨今、歯ぎしりや食いしばりのひどい方は増加傾向で、歯科医師としても懸念しているところです。
- Q歯ぎしりや食いしばりは口腔内にどのような影響がありますか。
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A
▲明るい印象の院内で、リラックスして治療に臨める
一部の歯に力が集中してしまうことで、歯に小さなひびが入ったり、歯が割れたりしてしまいます。歯の割れ目やマイクロクラックと呼ばれる小さなひびから菌が侵入することで、虫歯や歯周病を引き起こしてしまうのです。虫歯や歯周病をピンポイントで治療したとしても、その原因となる菌の侵入口が次々につくられ続けてしまうのでは、また再発してしまいます。原因を考え、噛み合わせから見直すことが重要なのです。また、私は「口は体のバランスの中枢」と考えます。噛み合わせの悪さが全身のバランスに波及し、肩凝りや頭痛などにつながることもあります。常に圧力がかかることで歯に痛みを感じるケースもあり、原因に迫る診療が必要です。
- Q歯ぎしりや食いしばりが起こりやすいケースはあるのでしょうか。
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A
▲患者が納得できるよう、丁寧でわかりやすい説明を心がけている
幼少期からの歯並びによるところはありますが、噛み合わせは一定のものではなく、年齢を問わず誰にでも噛み合わせトラブルは起こり得ます。子どもの頃から歯並びが良いからと安心していると、いつの間にか噛み合わせが悪化しているということもあるのです。お口の中では奥歯が生涯削られながら調和をめざしており、5年もたてば噛み合わせは絶対変わってきます。経年の変化を追うことが欠かせません。また、過去に矯正治療を受けたことがあるという方は、後年に噛み合わせへの影響が出やすいので注意してください。特に、大人になってからの矯正治療は、5年後、10年後に高確率で噛み合わせへの影響が出やすいことを知っておきましょう。
- Q噛み合わせが悪くならないように、できることはありますか。
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A
▲自身も子育て中の院長。鼻呼吸の習慣が顎の発達には大切と話す
ひどい歯ぎしりや食いしばりがあっても、自分ではなかなか気づけないものです。虫歯や歯周病の再発を繰り返していたり、逆に虫歯や歯周病がないのに歯に痛みを感じたりするなら、一度噛み合わせの検査を受けることをお勧めします。普段は問題なくても、体調不良時の痛みや朝起床時の口元の重だるさを訴える方もいらっしゃいます。また、お子さんの場合は歯が正しく並ぶしっかりとした顎へと発達を導くため、鼻呼吸の習慣をつけることがお勧めです。鼻呼吸になると鼻腔が広がり、上顎骨が広がるのにつれて下顎も広がるのです。舌や口腔筋の発達も望め、口呼吸より多くの酸素を取り込めるため、脳や体の発達にも良い影響を期待できます。
- Q噛み合わせの検査・治療について教えてください。
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A
▲説明に模型を用いるなど、視覚的にも理解できるよう工夫を凝らす
まず、エックス線撮影を行い、診察により口腔内の状態を確認します。歯ぎしりや食いしばりを自覚している方は少ないですが、前歯にクラックがあったり、舌の横に歯型がついていたりするのですぐにわかります。ご自身にもこうした様子を見ていただき、現状を理解していただくことが大切です。原因となるストレスや疲れなどは避けることを勧めながら、必要に応じて治療を行います。治療はマウスピースを使う方法と、負担のかかっている歯を少し削ってバランスを整える方法があります。就寝時に装着する保険適用のマウスピースは通常上の前歯数本のみを覆う物で、奥歯をごくわずかに浮かせることで歯や顎を休ませる効果が期待できます。