松本 拓也 院長の独自取材記事
松本歯科医院
(狛江市/狛江駅)
最終更新日:2024/11/01
狛江駅から徒歩10分ほどの場所にある「松本歯科医院」は、40年以上の長きにわたり、地域に根差して診療を続けてきた。2014年より松本拓也先生が診療に携わり、2021年に先代である父の後を継ぎ院長に就任。歯周病や虫歯の引き金になりやすい、歯並びや噛み合わせの不具合を調整することに力を入れている。患者の歯を長持ちさせることが歯科医師の使命だと考え、トラブルを早い段階で発見するためにも、狛江市の制度を利用した無料の歯周病検診も積極的に受け入れている。また、歯科医院が「怖いところ」にならないように子どもの予防歯科にも注力。いつも爽やかな笑顔を絶やさず、早くも近隣住民との信頼関係を築いている松本院長に、診療方針や予防歯科について話を聞いた。
(取材日2024年8月27日)
丁寧な噛み合わせ治療で虫歯や歯周病を防ぐ
近年は狛江市が実施する歯周病検診の実施に尽力しているそうですね。
歯周病菌は「サイレントキラー」とも呼ばれ、感染していることに気づきにくい病気です。しかし「歯がグラグラする」などの異変を自覚する頃には症状が深く進行しており、歯を抜かざるを得ないケースは少なくありません。歯が欠損したら義歯を入れることができますし、最近ではインプラントを取り入れる歯科医院も多いですが、私の治療方針は患者の歯を長持ちさせるために予防に力を入れることです。そこで当院は、狛江市が40歳以上の市民に無料で実施している歯周病検診を重要視しており、積極的にお声がけしております。歯周ポケットの深さや出血の有無を調べるシンプルな検診なので5分前後で終わりますし、痛みもありません。ほかのトラブルの早期発見にもつながるので、ぜひご利用いただきたいですね。
歯周病や虫歯の予防について、先生のお考えを教えてください。
歯周病や虫歯には、歯並びや噛み合わせも大きく関わっています。毎日ちゃんと歯を磨いていても1ヵ所だけ歯周病や虫歯が悪化してしまったという場合は、噛み合わせのバランスが悪く、上下の歯に強い圧力がかかっている可能性があります。すると歯に細かなひびが入り、細菌が進入して虫歯や歯周病になってしまうわけです。治療の際にはその問題を考慮しないと再発リスクがありますし、新たなかぶせ物や義歯を入れるとまた噛み合わせが変わるので、今度はトラブルが違う部分に飛び火するかもしれません。歯科医師が余計な火種をつくってしまうのは本末転倒ですよね。そのため、診療の際に患者さんの主訴に対応しながら、必ず歯並びや噛み合わせなどチェックし、将来的に問題になりそうな箇所があれば早めに状況をお伝えするようにしています。お口全体のバランスをトータルで見ることで、歯周病や虫歯になりにくい状況をつくることをめざしています。
予防重視の治療方針に影響を与えた出来事を教えてください。
まだ歯科医師として駆け出しの頃、自分が担当した患者さんが2、3年後に再治療で戻ってくることがありました。その時に、ただ目の前の治療だけをするのでは駄目で、原因を見つけてフィードバックしていかなければならないと気づき、そこから噛み合わせ治療について意欲的に学ぶようになりました。また、勤務医の頃は歯科医院の方針でインプラント治療を担当することも多かったのですが、当院では推奨しないことにしました。1本でもインプラントを入れると、前後の歯が抜けてしまった際に入れ歯を使うことが難しくなりますし、インプラントは介護士さんがメンテナンスすることもできないため、将来的にさまざまな不都合に直面する可能性があると考えているんです。だからこそ、当院は予防や検診に注力して「歯が痛くなくても通える歯科医院」でありたいと思っています。
数十年後を見据え、小児の予防歯科・矯正歯科に注力
子どもの予防歯科にも力を入れているそうですね。
過去のトラウマが原因で大人も歯科医院が苦手な方は多いと思います。そうなる前に、子どもの頃から予防歯科に通っていただくと、痛みを伴わないうちに治療ができて苦手意識を減らせます。親御さんも虫歯の治療よりも、クリーニングに連れて来るほうが気が楽なのではないでしょうか。予防歯科で通院に慣れると、いざ治療が必要となったとき、子どもも協力的です。また、私は長年審美面をメインとする歯科医院に勤務していましたが、どれだけ良い素材を使っても天然の歯に勝るものはありません。自分の歯を長く保つためにも、子どもの予防歯科の重要性を伝えていきたいと思っています。子どもの歯は1歳~3歳半と、生え替わりの6歳くらいをポイントに、12歳くらいまで食生活や生活スタイルが変わるため、それぞれの時期に合ったアプローチが必要です。歯科医師と一緒に口腔ケアを学んで、予防歯科に努めていきましょう。
先生が重視する歯並びや噛み合わせは、子どもの頃から対策が必要ですか?
小児矯正は重視したい分野です。歯並びが悪いと清掃管理がしにくく、虫歯になりやすい環境といえますが、逆に噛み合わせが良くなれば虫歯のリスクも減り、10、20年後を考えたときにも良い状態を保てる可能性が高まります。矯正治療で歯並びを整えていくことは予防の観点から見ても意味があるのです。1歳~3歳半くらいの間でも受け口だったり、顎が小さそうだったりする場合には相談に来てください。当院では主に5、6歳くらいの子を対象に拡大装置を用いた矯正治療を行っていますが、矯正治療が必要ならその時期にもう一度口腔内を診断したいことをお伝えします。お子さん本人はもちろん、親御さんにも不安がないように進めていきます。
患者さんが気軽に通いたくなるように、心がけていることはありますか?
患者さんに口腔内の状態を知ってもらうこと、そして治療方針をわかりやすく説明することで、歯科医院に通うモチベーションを上げていきたいと考えています。それと同時に、歯科医院全体にポジティブな雰囲気が漂っていることが大事だと思うので、スタッフを採用する際には基本的に明るい人柄を重視しました。今は役職や年齢を気にせずお互いに冗談を言い合えるくらい仲が良いですし、チームが一丸となって楽しみながら働くことで、前向きな気持ちが患者さんに伝染したらうれしいですね。ちなみに、待合室には治療を頑張ったお子さんに遊んでもらえるカプセルトイを設置しています。本当はゲームセンターみたいにたくさん設置したいのですが、我慢しています(笑)。
気兼ねなく通える歯科医院をめざす
現在、どのような患者さんが多いですか?
当院は父が1980年に開業した歯科医院で、2021年に私が院長を引き継ぎました。父が診療をしていた頃は高齢の方が中心でしたが、私が戻ってきてからは子どもを連れていらっしゃる若い方も増えました。私の治療方針が徐々に浸透して、予防や歯科検診を希望される方も増えてきましたね。狛江市では福祉施設で小児のフッ素塗布を行っていますが、感染症の流行で実施が制限されたことも関係して、市内の小児歯科を探されて当院を選んでくださった方も多いようです。検診やメンテナンスを希望する患者さんを受け入れられるように、2024年から歯科衛生士も勤務しています。
歯科衛生士さんとの連携を強化することを心がけているそうですね。
例えば、クリーニングの最中に患者さんが治療方針について歯科衛生士に質問した際に、「それは先生に聞いてください」と答えられたらモヤモヤしてしまいますよね。そのため、日頃から私の考え方や患者さん一人ひとりの状況をこまめに伝えるようにしています。実は新たに入った歯科衛生士は、以前当院に勤めていた歯科助手の娘さんなんですよ。そのため加入してからすぐに歯科医院になじんでくれましたし、長く通われている患者さんとも信頼関係を築いてくれています。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
今後も歯並びや噛み合わせの治療に力を入れて、大がかりな治療が必要ない状態に導いていくことに尽力していきたいですね。10年後や20年後に、検診の際に問題が見当たらなくて、私が「今回も問題ないですね」とお伝えするだけで終わってしまうような状況になることが理想です。もし銀歯を白い材質のものに変えたいなど、患者さんからの希望があれば、今までの審美歯科の経験を生かした専門性の高い治療も提供できます。今後も、地域の方々のニーズに合った予防や治療、検診を行っていきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックインレー/4万4000円〜、小児矯正/16万5000円〜