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宮島 慎介 院長の独自取材記事

クリニックフラウ栄

(名古屋市中区/矢場町駅)

最終更新日:2019/08/28

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名古屋市中区の中心街、百貨店や大型商業施設が立ち並ぶ大津通。その通り沿いに建つオフィスビルの3階に乳腺外科と産婦人科を診療する「クリニックフラウ栄」がある。今年の1月に開院したばかりのクリニックに入ると、ベージュとアイボリーを基調としたシックでクリーンな空間が広がる。待合には一人がけソファーがゆったりと並び、診察前の緊張をリラックスさせてくれそうだ。院長の宮島慎介先生は、丁寧な受け答えと爽やかな笑顔が印象的なドクター。乳腺外科の専門医であると同時に産婦人科医でもある。「乳腺と産婦人科をいっしょに診療する医師はほぼいないかもしれせん」と宮島先生。なぜそれら2つを診療科目としたのか、また日々の診療で感じていることなどをじっくりと話を聞いた。
(取材日2016年8月1日)

乳腺も診療できる、数少ない産婦人科医

ここで開業した理由を教えてください。

1

栄にこだわっていたわけではないのですが、人通りの多い街中に開業したいと考えていました。診療科目に乳腺外科と産婦人科を挙げていますが、乳腺外科はまだ目新しい診療科目なのです。愛知県内全体をみてみも、乳腺外科を診療科目としている開業医は少ないのではないでしょうか。新しいだけあってまだ認知度は低く、知っていてもハードルが高いというか、気軽に行きづらいというイメージを持たれていように感じています。でしたら人が多く集まる街中に開院して、乳腺外科という診療科目を広めることから始めようと、挑戦する気持ちを持っています。名古屋市出身ということもあり、名古屋駅前や金山なども考えましたが、地下鉄の矢場町駅から歩いて2分と交通アクセスのいいこの場所がちょうど見つかり、開院を決めました。

「乳腺外科」はいつごろできた診療科目なのですか?

ここ10年くらい前だと思います。それまでは、消化器外科の中の一部に乳腺を扱うグループという感じで設けられていました。乳腺はかなり専門性が強い分野です。消化器外科では乳腺の一貫した治療をすることが難しいという状況になってきて、一つの科として分離したのだと思います。でも、まだまだ知らない人は多く、乳がん患者さんの多くは、ファーストコンタクトとして産婦人科を選んでいるのが実際のところです。ところが、多くの産婦人科では授乳時の乳腺炎以外のことは基本的に外科へ行くように促します。産婦人科では乳腺の診療ができないことが多いのです。そのことに、非常に違和感を持っていました。

とういうことは、先生は最初、産婦人科医になったのですね?

2

そうです。研修医のころから、なるなら産婦人科医、それか外科医と考えていました。自分の手で行う手術が、患者さんの症状を改善したり、命を救うことに直結したりする外科にもとても興味がありました。産婦人科は、産科的なことだけでなく、ホルモンやがんに関連するような内科的な診療もあり、診療範囲は多岐にわたるといわれる科ですが、それが自分にとっては非常に魅力的に思えて。なので、大学卒業後は名古屋市立大学病院の産婦人科に入局しました。1年で一宮市立市民病院に転勤となり、6年間産婦人科に勤務していたのですが、先ほどお話しした「産婦人科で乳腺を診療しないことへの違和感」を覚えたのはこの時期です。そんな違和感を抱きつつ、もともとオペが好きだったこともあり、次の藤田保健衛生大学病院への転勤では思い切って外科に転換。これが乳腺外科の専門にもなったきっかけです。

患者の話をじっくりと聞き、トータルな診療をめざす

外科に転向してから乳腺外科を専門にするまでの経緯をお聞かせください。

3

外科では基本的にはがんの診療が中心で、一般的な外科の知識を得ながらさまざまながんの治療に携わりました。その中で突き詰めていきたいと思ったのは、やはり乳腺であり、乳がんの治療でした。外科の中でも産婦人科にきわめて近い乳腺外科を生涯の仕事にしようと決心し、開業するまでの6年間は藤田保健衛生大学病院などで乳腺外科の診療をしていました。その間、産婦人科から離れていたわけではありません。週に1回、他病院で診療することになっていたので、迷わず産婦人科に出向きました。最初に産婦人科医として医師になったので、外科のときも、乳腺外科のときも、産婦人科のことは常に頭にあり、産婦人科診療を途切れることなく続けてきましたから、このクリニックが開院できたのだと思っています。

乳腺外科と産婦人科、この2つを診療科目として開院した思いを教えてください。

当たり前のことですが、大学病院の乳腺外科では乳腺に関連する疾患だけが診療対象です。ところが患者さんは、乳腺の診察をしているときでも「ちょっと出血があって」などと話すことはよくあります。また、乳がん患者さんがホルモン治療をすると副作用で不正出血をすることがありますが、それが副作用の不正出血なのかどうかの判断は産婦人科の領域で、乳腺外科にいると診断できません。自分個人は産婦人科医でもあるにもかかわらず、病院勤務時は「産婦人科へ行ってください」と言うしかなかったのです。乳腺外科をメインとして自分のやりたい医療の実現には、産婦人科もまた欠かせなかったので、この2つをトータルで診療するクリニックにしようと決意したのです。

クリニックでの診療で、最も心がけていることは何ですか?

4

総合病院はどこでもそうでしょうが、勤務医をしていた大学病院も多くの外来患者さんが押し寄せ、12時間休憩なしで診察することも珍しくありませんでした。患者さんからの話をしっかり聞きたいとは思っていましたが、時間が限られている中での対応です。症状をゆっくり聞くこともできない、医師として詳しい説明をしたくても時間がなくて満足にできないという状況でした。そのことに心苦しさをずっと抱えていました。ですから今は、患者さんの話をじっくりと聞き、こちらからの説明はできる限り丁寧にわかりやすくすることを何よりも心がけています。一人ひとりとしっかりと対応したいので、ある程度時間を確保するために、当院では基本的には完全予約制としています。

患者と良い関係に、医師としてのやりがいを実感する

印象に残る患者とのエピソードなどはありますか?

5

勤務医のときは乳がんを含む多くのがん患者さんの治療にあたりましたが、私の転勤が多く、患者さんに異動を伝えると「先生がいなくなったらどうしたらいいの」と言われたり、中には涙ぐまれてしまうこともあったり。乳がんは術後10年ホルモン治療などのフォローが必要になってきていると、最近言われているので、患者さんとは長い付き合いになります。信頼関係を築けるように努めていますが、涙を流すほどの思いで自分を頼ってくれている患者さんを目の当たりにすると、医師になって本当に良かったと思います。高校時代、人のためになる職業につきたいと医学部をめざしました。医師となった今、患者さんを助け、患者さんに喜んでもらえる、とてもやりがいのある仕事であると実感しています。

休日はどのように過ごしていますか?

実は、遠出ができるような休日は医師になってからほとんどありません。産婦人科は24時間体制でしたし、外科のときは手術をした患者さんがいれば土日も診に行きました。今も、近隣や近郊の産婦人科からの依頼で、当直に行ったり夜中に緊急帝王切開に走ったりしているので、家にいて横になれるときは横になっています。体力に自信があるわけでもありませんが、何とか43歳の今日まで元気にやってこられました(笑)。一人でも多くの患者さんを診て、診療を拡大していくためにも、医者の不養生とならないよう、そろそろ健康にも気を使わないといけないな、と最近思っています。

最後に、乳腺外科医として読者へ一言メッセージをください。

6

乳がんは早い段階で治療すれば、多くの方は根治可能です。そのためには何よりも早期発見が肝心となります。2年に一度検診しているから大丈夫というわけではなく、検診と検診の間にがんに罹患することが乳がんには時々みられます。特に30代~40代は、がんになってしまった場合、進行が早いこともあるので注意が必要です。当クリニックとしては、1年に1度チェックすることをおすすめしています。乳がん患者さんは30歳頃から増えていき、最も多いのは40代~50代ですが、ちょうど育児や家事、仕事にと頑張っている年代でもあり、自分のことは後回しにしがちです。乳腺外科は決して高いハードルではありません。ちょっとでも違和感を覚えたら、気軽に専門医を受診してください。

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