星加 義人 院長の独自取材記事
草加きたやクリニック
(草加市/獨協大学前〈草加松原〉駅)
最終更新日:2026/03/24
「クリニックに関わるすべての人を元気で幸せにしたい」という理念を掲げ、星加義人(ほしか・よしと)院長が2016年に開業した「草加きたやクリニック」。越谷市立病院の呼吸器科医長として勤務していた星加院長は、呼吸器専門のクリニックや高血圧症・糖尿病などを気軽に相談できる先がこの地域に不足している状況を打開したいと考え、開業に踏み切った。患者は近隣のみならず遠方から足を運ぶ人も多いという。2025年10月のリニューアルでは、新たに栄養指導室を設けて、CTを導入。CTは診療放射線技師が検査を行い、結果はすぐに確認可能だ。日本呼吸器学会呼吸器専門医として、また内科医として、大学病院や多くの基幹病院でキャリアを磨いてきた星加院長に、同院の特徴や呼吸器疾患について、話を聞いた。
(取材日2025年12月29日)
身近なかかりつけ医と呼吸器専門医の両面を担う
こちらでは、どのような症状で受診する人が多いのでしょうか?

高血圧症や糖尿病といった生活習慣病の相談の他、睡眠時無呼吸症候群ではないかと心配になって来られる方もいますし、風邪だと思っていたが咳が治まらないという方も少なくありません。喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの疾患にお悩みで、呼吸器を専門とする医師を探して、草加市外からも足を運んでくださる方がいるのはありがたい限りです。咳が出ているときは、咳止めを服用すればいいとお考えの方も多いと思いますが、喘息の場合はそれだけでは咳は止まりません。検査で原因を突き止め、治療していくことが大切なんですよ。来院数は年々増えていますが、地域のかかりつけ医として、わかりやすい説明など患者さんに寄り添う姿勢は曲げたくはありません。現在は二診体制で診療を行ったりと、受診しやすい環境づくりにも力を入れています。
咳の原因はさまざまで、見極めることが大切なのですね。
咳の症状一つでも、原因は多岐にわたります。特に1~2週間以内の咳は感染症と呼吸器疾患の両方の可能性があるので診断が難しいのですが、1ヵ月以上続く咳の場合はある程度病名が絞られてきます。まずはエックス線検査で肺の状態を確認してから、呼気中の一酸化窒素の濃度を調べます。マウスピース型の検査器具をくわえてふーっと息を吐くだけですぐに数値が出て、その値によって喘息やアレルギー性の炎症かどうかがわかる検査です。ただし、これらの検査だけでは判断しにくいものもあり、その場合にはCT検査などを行います。例えば長引く咳症状に対してCT検査を行うことで、エックス線では確認できなかった肺の小さな影が見つかることも考えられます。
CT検査は院内で受けられるのでしょうか?

これまでは外部の医療機関にお願いしていましたが、2025年10月のリニューアルに伴い増床した2階でCT検査を受けられるようになりました。診療放射線技師が検査を行い、結果はすぐに確認可能です。AI機能を搭載したエックス線、心臓や腹部の状態を確認できるエコー、そしてCTと、一通りの検査が院内でできるようになったのは大きいですね。CT検査は呼吸器疾患だけではなく、頭部や腹部などの状態確認にも有用で、症状や部位によっては他科と協力してダブルチェックを行っています。リニューアルではその他にも1階の待合室を広くして、2階には新たに栄養指導室を設けました。複数フロアとなりましたが、患者さんをお待たせすることのないよう、スタッフがインカムで連絡を取り合って誘導しています。
毎日の生活を見直すことが治療の第一歩
睡眠時無呼吸症候群についても教えてください。

睡眠時無呼吸症候群は30~50代の働き盛りの世代の男性に多く、睡眠中に何度も繰り返して一時的に呼吸が止まってしまう病気です。血中の酸素が不足するため眠りが浅くなり、心臓・脳・血管に負担がかかってしまいます。バスやタクシー会社では、睡眠時無呼吸症候群の検査を2年に1回実施するところが多く、そこで引っかかって当院に来られる方もいますが、自覚症状が現れにくいため、ご本人は病気という認識がありません。ご家族から「いびきがうるさい」と指摘されて来られる方も多いですね。不規則な生活習慣などが原因に挙げられ、肥満傾向だったり、糖尿病や高血圧症を併発していたりする方が検査を受けると、約8割が睡眠時無呼吸症候群と診断されます。マウスピースやCPAP治療が必要な場合もありますが、軽度であれば、まずは食生活や運動習慣の見直しから始めます。
生活改善のアドバイスで工夫している点はありますか?
ただ単に「食事に気をつけてくださいね。運動しましょう」だけではうまく伝わらないので、まずは自分のことから話します。糖尿病の方の食生活は、糖分の多い果物を取りすぎていたり、食事回数を減らして逆に血糖値が上がったりと、誤った方法でかえって不健康な食生活になっている場合もあるんです。まずは「私はこうしていますよ」とお話しし、患者さんの食生活をお聞きしてその問題点を丁寧に説明し、正しい情報をお伝えするようにしています。その他、管理栄養士がしっかりと時間をかけて行う栄養指導などを取り入れながら改善を図っていきます。
「かかりつけ医」の役割についてどのようにお考えですか?

具合が悪くてどうしていいかわからないときに「あのクリニックに行けば、あの先生に話せば何とかなる」と思ってもらえるような存在でありたいと考えています。私は呼吸器内科が専門ですが、内科医としてのキャリアも長いので、遠慮せずに頼ってください。内科的な疾患ではなかったり、他の専門の疾患であった場合には、適切な医療機関におつなぎします。私は、この地域に、呼吸器専門のクリニックや高血圧症・糖尿病などを気軽に相談できる先が不足している状況を打開したいと考え、この場所での開業を決めました。地域医療を患者さんの一番近くで支え、「なくてはならない診療所」としてあり続けることが当院の使命だと考えています。
クリニックに関わるすべての人を元気で幸せに
スタッフさんが働きやすい環境づくりにも注力されているとか。

「クリニックに関わるすべての人を元気で幸せにしたい」これが当院の理念です。私たちが仕事にやりがいや誇りを持ち、生き生きと働いていなければ、質の高い医療は提供できませんから、スタッフが働きやすい環境を整えるのは私の役目だと思っています。その一環として月に1回、外部講師による院内勉強会を開いています。患者さんに寄り添い、おもてなしの気持ちを持って適切な対応ができるようにと接遇の専門家から学んだり、医師に言いづらいことや相談事などを気軽に話せるサポートスタッフを配置したりと、風通しの良い職場づくりに尽力しています。おいしいお惣菜を買ってきて院内ランチ会を開いたり、休日にテニスを楽しんだりと、仲が良いのも自慢です。スタッフの満足度はそのまま患者さんの満足度になると実感しています。
先生がめざすクリニックの姿を教えてください。
患者さんにとって身近な存在となれるように、心のふれあいを大事にした診療を行っていきたいです。リラックスして話ができるよう、和やかな雰囲気で診察するように心がけています。また、待合室のモニターで睡眠時無呼吸症候群や糖尿病について解説したアニメ動画を流して予防のために啓発を行っていますが、こうした、皆さんが自分の体に関心を持てるようなきっかけづくりも重要だと思っています。気軽に相談ができること、治療で元気な状態をめざすことはもちろん、これからは病気の予防にも力を入れていきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

生活習慣病も、肺がんなどの呼吸器疾患も、自覚症状が出づらいので深刻な状態になってから見つかるケースも少なくありません。リスクや症状の有無に関わらず、年に1回はエックス線検査を含む健康診断を受けて早期発見に努めてほしいと切に願っています。睡眠時無呼吸症候群も自覚症状の少ない病気ですが、ご家族からいびきなどの指摘があったら一度検査を受けにいらしてください。軽度ならば食生活や運動習慣の見直しで改善を図ることも可能です。何も症状がない時こそ、検査を受ける絶好のチャンス。病気の早期発見にもつながりますし、何もなければ健康であることを確認できますから。咳など日常的な不調も放置せず、ちょっとしたことでも気軽に相談してもらえれば何よりです。

