羽山 弥毅 院長の独自取材記事
はやま消化器内科クリニック
(杉並区/南阿佐ケ谷駅)
最終更新日:2025/02/10

阿佐ケ谷駅南口から徒歩6分。パールセンター商店街を進むと見えてくるのが、2016年6月開業の「はやま消化器内科クリニック」だ。明るい外観の基調をなすグリーンは、羽山弥毅院長が初めてクリニックを開くにあたって選んだもので、商店街を行き交うあらゆる年代、中でも多い中高年にとっても親しみやすいカラーリングとなっている。羽山院長は消化器の慢性疾患やがんの診療に豊富な経験を持ち、阿佐ケ谷のクリニックでは数少ない、上下部の内視鏡検査を行えるスペシャリスト。悪性疾患の早期発見に向け、一人ひとりの状態に合わせた定期的な内視鏡検査の普及をめざして、痛みの少ない検査の実施に努めている。そんな院長に、診療に対する考えや医師になった動機など、興味深い話をたっぷりと聞いた。
(取材日2016年7月20日)
にぎやかな商店街で専門性を生かした診療がしたい
阿佐ケ谷の商店街を開業の地に選んだのはなぜですか?

僕は同じ東京都内でも四ツ谷の出身で、この場所へ来るのも物件探しで訪れた時が最初でした。初めは開業医だった父の使っていた建物を引き継ぐことも考えましたが、消化器内科と内視鏡という自分の専門性を生かした医療がしたかったので、四ツ谷の住宅街の中よりも、もっとにぎわいのある商業地のほうが、たくさんの人に知ってもらえるだろうと思ったわけです。そして阿佐ケ谷は、内視鏡検査を行えるクリニック、特に大腸カメラの検査も提供できる施設が少ないことを知り、ここならば患者さんのニーズに応えられるのではないかと考えました。検査では鎮静剤を使うこともあるので、駅から近く、歩いて来るのに適していることも条件の一つでしたね。
大きな病院と比較して、クリニックの利用しやすい点はどういったところでしょうか?
患者さんが比較的短い時間で受診できるところが挙げられますね。例えば大学病院だと、外来の待ち時間が相当長くなってしまうこともありますが、その点クリニックでは医師の側が臨機応変に対応しやすく、患者さんが日常生活の合間に通うには便利だと思います。特に内視鏡などの検査をする場合、大きな病院では、診察して検査の予約を取ってからさらに1週間後というのも普通にあることですが、当クリニックでは、胃カメラなら当日に電話をいただいても検査が可能です。大腸カメラも、1ヵ月待ちになることも珍しくないところを、もっと早く受けていただくことができます。
初めての開業で、患者さんへの接し方に変化はありましたか?

患者さん一人ひとりの診察に時間をかけられるようになったと感じます。違いは、大学病院でよくある診察前の採血やCTなどの検査をしない代わりに、患者さんに必ず横になってもらって体に触る手順が加わったこと。それと、会話の量が増えたことですね。患者さんと話す時、僕はともすればくだけた口調になりがちなので、礼儀にかなった言葉を使うように心がけています。例えば、阿佐ケ谷もほかの街と同様にご高齢の方が多いですが、最初からおじいちゃん、おばあちゃんというような近しい態度ではなく、目上の大人を前にしていることを意識しながらお話しさせていただいています。それでも時々、つい「大丈夫?」なんて言ってしまうのですが(笑)。
定期的な内視鏡検査をもっと気軽に
内視鏡検査を受けるメリットについて教えてください。

胃カメラや大腸カメラを使った内視鏡検査というと、現状では、自治体や職場のがん検診で“引っかかった”場合のみ、しかたなく受けるという方が大半かと思います。しかし、今は胃がんや大腸がんといった消化器系の悪性腫瘍も、早期発見さえすれば、手術なしで完治をめざせる時代になりました。予防医学の観点からして、内視鏡検査で定期的に体をチェックしておくことには、大きな意味があると思います。あとは、患者さんに「あのクリニックなら、検査を毎年受けてもいいかな」というふうに信頼してもらえるかどうかです。当クリニックでは、もっと気軽に、定期的に内視鏡検査を受けてもらえるよう、痛みが少ない、つらくない検査を心がけています。
内視鏡検査は具体的にどのような点が優れているのでしょう?
例えば、男女ともに死亡原因の上位を占める胃がんや大腸がんの、早期発見の一番の手段といえるのが内視鏡だと思います。近年、この分野の機器の進歩はめざましく、画像を拡大してより正確な診断に役立てたり、さまざまな光源を用いることで病変が見つけやすくなったりもしていて、バリウムや検便ではわからないような、1cmにも満たない小さながんも発見できるようになってきています。とはいえ、鼻やお尻から体内にスコープを入れるのが怖いという方も少なくないでしょう。スコープ自体は、当クリニックで使用している胃カメラは先端径5.4mmと、非常に細いものです。それでも、患者さん個々の条件によっては多少の痛みが出てしまいますが、必要に応じて適宜、鎮静剤や鎮痛剤を使うなど、なるべく苦痛を減らせるように配慮しています。
先生の内視鏡検査に対するスタンスをお聞かせください。

先ほどの話と矛盾して聞こえるかもしれませんが、僕は、内視鏡検査は極力せずに済むようにしたいんです。いくら丁寧に行っても患者さんの体に負担をかけますし、お金もかかることですからね。そこで大事になってくるのは、1度の内視鏡検査できちんと診断すること。それさえできれば、胃カメラの場合なら、慢性胃炎や逆流性食道炎などの病気が見つかった人には、がん化のリスクがあるので毎年の検査を勧めますが、そうでない人には「次は2、3年後でいいですよ」とペースを緩めることも可能です。大腸カメラの場合も、がんになりそうなポリープがないクリアな状態とわかれば、次回の内視鏡は3年先にして、それまでは検便だけで様子を見ることもできます。いずれにしても、40代を迎えたらまず1度、内視鏡で胃や腸の中を見ておいて、その結果を受けて、今後の方針を医師と相談するのが良いと思います。
消化器に限らず内科の初期診断に幅広く対応
先生はなぜ医師になろうと思われたのですか?

消化器外科の医師を父に持つ環境でしたが、僕には最初、父と同じ医療の道に進むつもりはありませんでした。大学も一度は医学部ではないところに入ったのですが、軌道修正したきっかけは、その父が病に倒れ、先に医師になっていた姉が、父の主治医になったことでした。専門職として真剣に、しかし冷静に治療にあたる姉の姿を見ていて、やはり医師の仕事というのはいいものだな、と思ったのです。患者が身内かどうかは関係なく、誰かの病気を自分の手で治すことができたら──。そんな素朴なイメージが頭に浮かんだ途端、それまでなかった医療に対する情熱がふつふつと湧き上がってきて、それからですね、今につながるスタートをきったのは。
休日はどのように過ごしていますか?
もともと自然の中に身を置くのが好きなので、時間がある休日は朝3時や5時に起きて、近県の山や川のある渓谷まで、家族と日帰りで出かけます。山梨を流れる川などはすごくきれいですよ。ストックを手に道なき道を1日中歩き回ると、体はヘトヘトに疲れますが、仕事の緊張がほぐれてリフレッシュできますね。本当は気に入った車を買って目的地に向かいたいところですが、開業するにあたって設備などもろもろに大きな投資をしたばかりなので、今は我慢。5年、10年かけてクリニックを軌道に乗せたその時は、堂々と買おうと思っています(笑)。
最後に、読者に向けてメッセージを。

クリニックの名前にも消化器内科と入れたとおり、消化器系の診断や難しい病気の早期発見に特化したクリニックです。しかし、だからといって、胃とその周りの不調だけが対象というわけではありません。例えば胸が苦しい場合でも、調べてみると消化器の病気が関係していることはよくあります。体はあらゆる器官が全部つながっているのです。ですから、消化器内科という看板をあまりお気になさらず、どんな病気でも気軽にご相談ください。じっくりとお話を聞いた上で、消化器であれば専門性を生かした治療や検査をしますし、風邪など一般内科の診療にももちろん対応します。さらに、心臓などほかの専門家に診てもらうのが適切と思われる場合は、東京医科大学病院や東京衛生病院、河北総合病院といった信頼できる医療機関をご紹介します。まずは第一歩を当クリニックで。ご来院お待ちしております。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃の検診コース/1万1000円、大腸の検診コース/2万2000円、ABC検診コース/2万3000円