糖尿病を正しく理解しよう
専門の医師による治療方法とは
山岸クリニック相模大野
(相模原市南区/相模大野駅)
最終更新日:2022/03/18


- 保険診療
糖尿病には、よく知られている病気という印象がある。内科医師も同じような診療をするだろうと思う人も多いのかもしれない。しかし、日本糖尿病学会糖尿病専門医の資格を持つ「山岸クリニック相模大野」の山岸貴洋院長は「糖尿病は多彩な面を持つ病気。個人に合った治療方針が必要です。新薬も次々に開発されており、新しい治療を組み合わせることも求められます」と指摘する。これほど有名な病気ではあるが、人口当たりの糖尿病専門医の開業医は実はそれほど多くはないという。専門医師による治療とはどんなものだろうか。糖尿病に関する正しい基礎知識を含め、山岸院長に話を聞いた。
(取材日2016年7月4日)
目次
自覚症状もなく、初めは怖くはなく思えるからこそ、早めの治療による改善が鍵となる
- Qそもそも糖尿病とは、どのような病気なのでしょうか?
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A
▲山岸院長は日本糖尿病学会糖尿病専門医の資格を持つ専門家だ
血糖値が上がることに付随した問題が体内で起きていくという病気です。重篤なときには足を失う危険性もありますが、多くの場合は「今後このまま放っておいたら、5~6年後に慢性合併症として動脈硬化を中心とした危険な病気が出てくる」という段階で発見されています。目が見えなくなったり、内臓が悪くなったり、動脈硬化が進んで脳梗塞や心筋梗塞になったりしないようにしていくことが、多くの糖尿病治療の基本方針になるでしょう。多くの場合、まずは食事の見直しや運動の実践によって状況の改善を図り、うまくいかない場合に薬が必要になります。
- Q疑わしい症状や、来院のタイミングをお聞かせください。
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A
▲クリニックには即日で結果がわかる血液検査機器が整う
本当に重篤な場合には口が渇いたりトイレが近くなったりという自覚症状がありますが、基本的にすぐにわかる症状は出ないと捉えておいたほうがいいでしょう。定期健診などの血糖値のデータから見つかる患者さんが多いと思われます。そのように目に見えにくい病気なので、症状が出てからというのではなく太ってきた、健診で気になる数値が出てた、という段階で診療に来ていただくとよいでしょう。30代の後半ぐらいからは気にされたほうがいい病気ですね。気がつかなかったり、放置してしまって目や内臓などに合併症が出てくると、生活の質が大きく損なわれかねない厳しい面もあります。取り組みは軽度の頃から、そして早いほど良いのです。
- Q糖尿病患者に対しては、どんな治療をしていくのですか?
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A
▲理想的な食生活を送れるように資料などを用いながら指導
一般的には、緊急に治療が必要な重篤な患者さん以外には、最初の1~2ヵ月は食事の見直しや運動の実践によって血糖値の改善をめざします。実際にそれだけで改善に向かう方もいらっしゃいます。この段階で重要なのは「カボチャやジャガイモも白米と同じく炭水化物を多く含むので控え目にする」など、正しい知識を知ることです。緑黄色野菜やキノコ、海藻類、豆腐などの大豆製品をなるべく多く食べていただくように伝えます。代謝が上がり、筋肉が増えれば同じ量を食べても血糖値が上がりにくくなるので、日に20~30分以上の有酸素運動やトレーニングもお勧めもします。数ヵ月たっても状況が良くならなければ薬を服用することになるでしょう。
- Q食事療法を行うことの良い点をお聞かせいただけますか?
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A
▲管理栄養士が日常生活において、理想的な献立をアドバイスする
薬を飲んでいればいいという姿勢は危険です。薬を飲んでいても、食べ過ぎて高血糖の状態が長く続けばインスリンも効きにくくなり、また年齢を重ねれば代謝も落ちやすく、薬だけの治療では限界があります。だからこそ状況に合わせた血糖値の上がりにくい正しい食事療法が大切で、それが無理のない糖尿病の改善につながります。専門家から食事指導を受けると、一般的には良いとされる栄養ドリンクや野菜ジュースが実は糖尿病にとって良くないこともあるといった誤解にも気づきやすくなります。食事の改善は糖尿病の治療において大切な基礎ですが、生活により注意するところも違うため、ぜひ一度は専門家と食事の見直しを行ってみてください。
- Q糖尿病専門医による治療方法とは何ですか?
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A
▲豊富な経験による診察が無理なく治療に取り組む大きな要素になる
糖尿病の患者さんに食事と運動の改善を勧める。これは内科の医師であれば誰もが行うことですが、さらに一歩踏み込み、それぞれの患者さんの状況に合わせて「具体的に何をすればいいのか」を細かく伝えられるのが、糖尿病専門医の強みだと考えます。「3食しっかり食べて間食をやめましょう」といった助言にとどまらず、「良いと思って食べている物の中にも、実は合わないものがある」ということまで細かく伝えられれば、食事療法の結果も出やすくなるでしょう。また、薬にも患者さんによって合う薬、合わない薬があるので、1つの薬がダメでも別の特性を持つ薬へと移行できる、知識の引き出しの多さも専門医ならではの対応だと思います。