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上杉 雄大 院長の独自取材記事

そしがや訪問歯科クリニック

(世田谷区/祖師ヶ谷大蔵駅)

最終更新日:2022/06/20

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「そしがや訪問歯科クリニック」は、小田急線の祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩1分の場所にある。2022年5月に本院である百瀬歯科医院から独立するかたちで開業し、訪問歯科診療に特化したクリニックだ。院長の上杉雄大(うえすぎ・ゆうた)先生は爽やかで聡明な印象。専門の摂食嚥下を中心にさまざまな口腔内の悩みに寄り添い、食生活も含め患者の健康を包括的にサポートする。本院の「地域住民の口腔内環境の向上」という理念のもと、同クリニックでは訪問歯科診療を通して通院できない患者の口腔内の健康を後押しする。ケアマネジャーや主治医といった多職種との連携を密に、自宅でも質の高い歯科医療が受けてもらえるような体制をめざす。地域の医療の底上げに寄与したいと話す上杉院長に訪問診療へのこだわりを語ってもらった。

(取材日2022年5月27日)

訪問診療で「歯科医師が家に来る」ことを当たり前に

まずはクリニックの特徴から教えてください。

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当院は2022年5月2日に開業しました。訪問診療に特化していることが特徴で、砧地域を中心に患者さんのもとにお伺いして治療にあたっています。患者さんの担当のケアマネジャーから依頼を受けることが多いですね。診療の流れは、電話やファクスで問診票を送ってもらい予約をとります。初診では飲み込みの評価を含めた口腔内評価を行い、患者さんのスケジュールに合わせて治療計画を決定します。治療が一段落ついた後は、定期メンテナンスと3ヵ月に1回以上の検診に移行する流れです。

患者層や依頼の内容はどんなものでしょうか。

患者さんはご高齢の方がほとんどです。訪問診療という特性上、通院が難しい方の対応が多いですね。近くに国立成育医療研究センターがあり、難病をお持ちのお子さんを治療することもありますが、ほとんどは老人ホームやご自宅にいらっしゃる高齢者です。以前は通院されていたものの、入院やケガのために訪問診療に移行するケースもあります。ご依頼の内容はさまざまですが、歯の痛みがある、入れ歯が合わないといった生活に支障のあることが多いですね。基本的には治療計画どおりに定期的に診療するのですが、場合によっては急患対応として往診も行っています。

診療体制が充実していらっしゃるようですね。

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現在、スタッフは常勤の歯科医師が私を含めて4人、非常勤が4人、歯科衛生士が9人の体制です。訪問歯科のクリニックとしてはスタッフの数もかなり充実していることが強みだと思います。往診車は5台あって治療機材や材料を積んで訪問しています。具体的には、嚥下内視鏡検査用電子スコープ、ポータブルユニット、ポータブルエックス線撮影装置を搭載して、できるだけ通院するのと同等の治療を受けていただけるよう診療体制の充実を図っています。外来診療と同じようにエックス線写真を撮ったり、入れ歯を作ったり、歯を削ったりといった一般歯科の治療に加えて、私の専門である摂食嚥下の診療にも対応しています。

食生活を支える歯科医師でありたい

歯科医師をめざされてから開業までの経緯をお伺いします。

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歯科医師をめざしたきっかけは父が歯科医師だったことです。私自身は静岡県富士宮市の出身なのですが、地域医療に長く携わった父の姿に感化されて地域に根差した歯科医師になりたいと思うようになりました。昭和大学歯学部を卒業した後、大学院でも4年間学びました。その後は昭和大学病院や地域のクリニックで勤務し、本院である百瀬歯科医院でも非常勤を含めて4年間勤務し、現在は訪問診療に特化した当クリニックで院長を務めています。

先生のご専門は摂食嚥下だそうですね。

はい。大学院で摂食嚥下を研究し、今でも専門にしています。あまり聞かない言葉かもしれませんが、摂食嚥下とはものを食べることがうまくできない患者さんに対して「どう食べさせるか」を研究する分野です。超高齢社会に伴い、患者数は増えている印象があります。摂食嚥下を専門にした理由は、大学院の授業がきっかけでした。食事を取ることができなかった患者さんが「半年ぶりのおかゆだ。もう死んでもいい」と言う姿を動画で見て、心が動かされたのです。治療によって患者さんが食べられるようにサポートできるのは素晴らしいことだと思いました。ほかには、大学時代に父と同年代の教授たちを見て「この人たちと一緒に仕事がしたい」と思ったことも摂食嚥下を専門にしたきっかけの一つです。一般的な歯科で長く経験を積むよりも、人と違うことを専門にするほうが自分が成長できる近道だと考えたのです。

診療で大切にしていることはありますか?

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必ず、患者さんご本人に目線を合わせてごあいさつをすることです。たとえ寝たきりだったとしても、目線を合わせないで上から話しかけたり、ご家族やスタッフとだけ話したりするようなことは絶対にしません。治療を受けるのは患者さんご本人ですから、膝をついて目線を合わせ、世間話などを交えて心の目線も合わせて尊重の姿勢で対応します。これは、人間性を大切にする「ユマニチュード」という認知症の患者さんへのケアを私なりにアレンジしたものです。まずはご本人とお話した上で、ご家族や多職種のスタッフにも患者さんの状況をお伺いします。

地域医療の底上げをめざして

訪問歯科診療へのこだわりをお伺いします。

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訪問診療を始める前は外来で患者さんを診ていましたから、何か理由があって通院できなくなったときにはそこで治療も終わりでした。当時は通院中断後に患者さんをサポートする方法がないことをもどかしく思っていて、そこから訪問診療に興味を持つようになりました。今の私の目標は地域医療の底上げです。歯科医師が訪問診療を行うことはまだまだ一般的ではなく、ご自宅に伺うとたいてい驚かれますが、これはまだまだ私たちの力が及んでいない証拠。本来は「なんで来ないの?」と言われるくらいが医療や介護にとって当たり前の姿のはず。実際、外来に来られない人ほど重症になっている患者さんが多いです。ですから私自身は、地域医療を底上げするためには歯科医師が患者さんのご自宅に足を向けることが欠かせないという考えのもと訪問診療に携わっています。

外来と訪問診療の違いはなんでしょうか。

まず外来と患者さんのご自宅では環境がまったく違います。訪問診療の良い点は患者さんの生活に寄り添って診療できるところですね。食生活にしても生活というバックグラウンドの上に成り立っているものですから、ご自宅の環境や食生活を観察しながら患者さんの状態を評価することが大切です。歯科は医療ですが、食事は生活なのです。訪問診療で実際に患者さんの生活の場に入っていって、生活に寄り添った診療をするようにスタッフにも指導しています。訪問診療では患者さんから教えてもらうことも多く、一人ひとりの状況をよく観察してその方の生活スタイルに合った方法で治療を進めていくことが大切だと考えています。

多職種との連携について教えてください。

主な連携としては、ケアマネジャーに診療後に毎回報告をすること、介護するヘルパーに口腔ケアの指導を行うこと、主治医に患者さんの状況を聞いて薬の処方を一緒に考えることをしています。特にケアマネジャーとは密に連携しています。訪問診療の難しいところは、意外かもしれませんがスケジュール管理です。ご高齢の患者さんはデイサービスや訪問介護など忙しくされている方が多いですから、ケアマネジャーと連携をとりながら治療計画を組んでいます。ほかには、老人ホームなどの施設で定期的にミーティングなどを行って意見のすり合わせを行ったり、地域のリハビリテーション系職種の人たち向けの勉強会の講師を積極的に引き受けたりしています。食生活の面では、施設の管理栄養士に患者さんが食べられるものを伝えるなど、栄養面での連携も大切にしています。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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スタッフ一同、これからも患者さんの生活に寄り添う歯科クリニックでありたいと考えています。「そしがや訪問歯科クリニックなら、歯だけでなく食事や生活にも寄り添ってもらえる」というイメージを持ってもらえるように、患者さんの生活やバックグラウンドに合わせた診療に努めます。そして私自身は「食生活を支える歯科医師」として、患者さんの食生活に寄り添ったサポートができるよう精進します。患者さんご本人だけでなく、ご家族や担当のケアマネジャー、地域のスタッフを巻き込んで包括的に患者さんの健康のサポートをしていきますので、小さな悩みでもお気軽にご相談いただければと思います。

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