子どもの成長に新しい可能性
3歳から取り組む小児の低身長症
とびた整形外科・内科クリニック
(新宿区/神楽坂駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
子どもが周囲の同級生と比べて身長が低いとは気づいていながらも、多くの親が、身長は生まれながらに決まっていて、無理に伸ばすことができないと諦めている。しかし、そんな考えを覆す先進の治療法がある。それが、成長ホルモンを補っていくことで、子どもの成長を促していく成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療方法だ。大人になってからも、日常生活に影響したり、目標への障害になってしまうこともある低身長。子どもの将来の可能性を広げてくれる小児低身長症に対する成長ホルモンを用いた治療方法が期待されている。今回は、小児低身長治療についての著作もある、「とびた整形外科・内科クリニック」の飛田健治院長に話を聞いた。
(取材日2016年3月10日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q身長を伸ばすために、成長ホルモンを補給していくのですか?
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A
3歳頃から分泌され始める成長ホルモンの量には、個人差があります。その量が少ないと、周囲と比べても明らかに身長が低いなど、成長に大きく影響が出てきます。成長ホルモン分泌不全性低身長症と認められたお子さんに対し、一定の基準を満たす量まで成長ホルモンを補い、身長の成長を促してあげていくのが、成長ホルモン製剤を用いた治療法です。今のところ、目立った副作用もほとんどないといわれています。
- Q治療はいつから開始するのがベストですか?
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A
最も身長が伸びやすい3歳から思春期が始まるまでの時期が適しています。この身長の伸び率が高い思春期の時期というのは、お子さんそれぞれで異なりますが、一般的に10歳を過ぎて身長の成長の勢いが止まってからの治療ではあまり成長が期待できないでしょう。そのため、お子さんの身長にお悩みでいらっしゃるなら、9歳までにご来院いただき、治療を始めていくのが好ましいかどうか判断するために、検査をお受けいただくのが良いと思います。
- Q変化が出る時期は? また、治療は何歳まで続けるのですか?
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A
多くのお子さんは、治療を開始して始めの1年間に変化を感じていただけるでしょう。それ以降は、1年目ほど変化は見られないかもしれませんが、治療をやめてしまうよりも続けたほうが良好な成長へとつながっていく可能性もあります。いつまで治療を続けるかは、その作用と体質などによってさまざまです。目安は、「骨端線」という成長線が閉じてしまう骨年齢が男子17歳・女子15歳とされています。治療中は月に1回の通院をしていただき、その都度治療を継続するかどうかの検討をしていきます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1まずは身長と体重の測定
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初診時は、低身長症に対する治療がどんな治療なのかという説明を受ける。そのときに悩みや不安点をすべて聞いておこう。内容に納得できたら、治療が好ましいかどうかの適性チェックに移る。まずは身長・体重を測定し、治療を受ける一定の基準値を満たしているかを調べる。この時、基準値に近い場合には2年間の成長の伸び率を予測して、治療するか否か判断となることも。
- 2手のレントゲン撮影で骨の発達度合いをチェック
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身長・体重の測定で「見た目の成長」を検査したら、次に手のレントゲン撮影を受ける。骨の発達度合いを評価し、「骨の成長」を確認するためだそう。骨の成長の基準値と照らし合わせながら、骨の形や隙間の大きさなどを確認。これによって思春期がくる時期を推測し、最終的な身長を予測。表や写真を見せながら説明してくれる。
- 3検査結果とカウンセリングで治療への適正を評価
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検査結果をもとに、どのぐらいまで身長が伸びるか、そして低身長治療を受けるのが好ましいかどうかを評価。低身長症と診断された場合、さらに詳細な検査を受けることも。低身長の原因となる病気が隠れていないかの検査と、成長ホルモンの分泌量を調べる検査だ。成長ホルモンが分泌されやすい状態を作り出し、それでも基準値に満たない場合には、低身長症の治療へと進むかどうかを決めることになる。
- 4成長ホルモン注射の説明を受ける
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低身長症の治療は、1日1回自宅で成長ホルモン製剤の注射をするというもの。成長ホルモン製剤の入ったカートリッジを専用のホルダーに取りつけて行う注射だ。極細の注射針を使用するので、痛みもほとんど感じず、慣れれば短時間で行うことができるそう。注射の打ち方や注意点などは丁寧な説明がある。日課として子どもに慣れてもらえるように、きちんと説明を聞いて治療を続けよう。
- 5月1回の通院で変化を確認
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治療中は月に1回来院し、進捗度合いを記録する。「しっかり続けているか」「困ったことはないか」といったカウンセリングも含め、治療に対する疑問や不安点も相談できる。子どもが治療を嫌がっているときにも、治療の成果を確認することでモチベーションを高めてくれる。3ヵ月に一度は採血も。治療による体の影響を検査していく。成果や採血の結果を確認しながら、治療の継続を随時検討していく。