渡邉 亨 院長の独自取材記事
渡辺内科クリニック
(京都市伏見区/醍醐駅)
最終更新日:2023/07/07
「渡辺内科クリニック」は、京都市営地下鉄東西線「醍醐」駅から徒歩1分、駅直結のショッピングモールのすぐ南側にある。通勤途中にも立ち寄りやすく、駐車場も確保されているので車でもスムーズに通院が可能だ。院長の渡邉亨先生は、総合病院の消化器内科や一般内科でおよそ20年にわたって経験を積んだ後、現在の場所で開業した。病気の早期発見・早期治療に結びつけるべく、専門とする内視鏡検査に力を入れ、検査に伴う患者の負担をできる限り軽減することを大切にしている。また、地域に根差した内科クリニックとして、生活習慣病の診療にも注力。渡邉院長に、クリニックの診療ポリシーや内視鏡検査についてのこだわりなどを聞いた。
(取材日2022年5月17日/情報更新日2023年6月14日)
医師として地域の健康に貢献したい
消化器内科を専門に選んだのはなぜですか?
大学生の時に内視鏡を目にして、画面を通して体の内部を見られることに感動したのがきっかけです。内科の医師が自分で診断して、ある程度治療ができるところにも魅力を感じました。大学卒業後は地元京都の病院で研修を受け、国立京都病院(現・京都医療センター)、京都大学医学部附属病院、京都逓信病院などで経験を積みました。専門は消化器内科ですが、京都逓信病院では一般内科での診療も経験しています。およそ20年間、病院で診療したのですが、医院経営など新しいことに挑戦したいという思いがあり、現在の場所で開業しました。父は産婦人科、母は小児科の医師で、この醍醐エリアで開業していたので、医師としてこの地域に貢献したいという思いもありました。専門とする内視鏡検査で早期に病気を見つけることが、地域の方々の健康を守ることにつながると考えています。
とてもリラックスできるクリニックですね。
医療機関というよりも、できるだけ「家」に近い空間をイメージして設計しました。明るい雰囲気のクリニックにしたかったので、待合室は吹き抜けにして光がたっぷり入るようにしています。また、当初から内視鏡検査に力を入れる予定だったので、内視鏡検査室はもちろん検査後に休んでいただけるリカバリールームの設置を最優先し、患者さんとスタッフの動線が重ならないようにレイアウトを工夫しました。ちなみに、クリニックのロゴマークは、大腸の形とハートを組み合わせて自分でデザインしたんですよ。
どんな患者さんが来院されますか?
内科のクリニックなので幅広い年齢の方が来院されますが、とりわけ現役世代の方が多く、およそ半数が65歳以下の仕事を持っておられる方です。駅が近いという立地の影響もありますが、内視鏡検査を行っているので会社の健康診断で要再検査となった現役世代の比率が高くなっています。
診療の際に心がけていることを教えてください。
専門用語をできるだけ使わず、わかりやすい説明を心がけています。専門的な用語を使わないと説明できない場合は、その用語の意味をしっかりとお伝えするようにしています。また、複数の医療機関で治療を受けておられるケースもあるので、継続中の治療やお薬についても詳しく尋ねるようにしています。特にご高齢の方の場合、ご本人もご自身の病状について正確に把握されていないこともあり、お薬の内容などから状態を判断することもあります。お薬については、できるだけ処方量を少なくすること、服用期間を短くすることを心がけています。高血圧など長期間にわたって投薬が必要な場合以外は、最小限の使用にとどめています。
新しい検査機器を導入し、患者の負担軽減に努める
内視鏡検査のこだわりを聞かせてください。
胃と大腸の内視鏡検査に対応しており、検査時に患者さんが感じる苦痛を少しでも軽減できるように工夫しています。検査が苦痛だと、次の検査を受けるのがおっくうになってしまいます。病気の早期発見・早期治療を実現するためには、適切なタイミングで検査を受けていただくことが必要なので、負担の軽減が大切なんです。胃カメラの場合、患者さんが特につらさを感じるのは、内視鏡が喉を通過する際の嘔吐反射だと思います。このため、経鼻内視鏡検査だけでなく、鎮静剤を使用した内視鏡検査も行っています。最近では、大部分の方が鎮静剤を使用した経口での内視鏡検査を希望して来院されます。
胃カメラではピロリ菌の検査も行えるのですか?
検査で慢性胃炎が認められた場合は、ピロリ菌検査を行っています。ピロリ菌が見つかった場合は、飲み薬を1週間服用していただき、2ヵ月後に除菌できているか確認します。当院では、除菌の確認のために尿素呼気試験が行える機器を導入しているので、検査を含めおよそ30分で結果がわかります。実は消化器疾患を専門的に診ているクリニック以外では、この装置を備えているところは多くありません。また、検査会社に検査を依頼した場合は一定の日数がかかるのが通常なのですが、受診回数を少なくしてあげたいと考え導入を決めました。
先進的な内視鏡を導入されているそうですね。
はい。2023年5月末に新しい内視鏡検査機器を導入し、より精密な診断ができるようになりました。内視鏡には画像強調機能に加えて拡大観察機能を備えています。拡大すると表面の模様がよくわかり、光の波長を変えることで血管の性質もくっきりと見えるのが特徴です。これらの機能を生かせば、ポリープなどが悪性なのか良性なのかその場である程度判断できます。かつての内視鏡検査では、組織を採取して病理診断を行い、良性か悪性かを判断していました。その点、当院の内視鏡なら、手間をかけることなく患者さんに結果をお知らせできます。また、大腸内視鏡検査でポリープが見つかった場合は、大きさや個数に制限はありますが、その場での切除を行っています。このような新しい機器を用いることで、患者さんの負担を少しでも減らしていきたいと思います。
内視鏡はどんどん進化しているのですね。
年に数回、研究会などに出席して新しい情報を得ています。これらの会では新しい機器や器具が紹介され、当院でどのようなものを取り入れるかを検討する機会にもなっているんです。もちろん、クリニックで使えるものは限られていますが、新しい機械や器具を見るのが好きですね。
受診しやすい環境を整え生活習慣病の治療にも注力
土曜日にも検査をしておられるんですね。
検査を受けやすいことも、患者さんの負担軽減につながると考えています。胃カメラは毎日対応しており、大腸内視鏡検査は、月・水・金の午後に加えて、土曜の午後にも受けていただけます。仕事を持っておられる方の中には、平日の受診は難しい方もおられますからね。当院は駅近で、専用駐車場も4台分用意しているので、アクセスの良さも活用いただければと思います。なお、スムーズに検査を受けていただけるよう、検査はすべて予約制としています。
医療技術の進化も目覚ましいものがありますね。
クリニックで対応できる内視鏡検査の技術は、現在までにほぼ確立されていて、現時点では大きな変化は見られない状況です。ただし、病院で行われる内視鏡治療については、今なお進化を続けています。患者さんを病院に紹介する際に、新しい検査や治療について知っておく必要があるので、勉強会などで知識をアップデートするようにしています。
一般内科で力を入れている治療を教えてください。
病院に勤務していた時に、一般内科で血圧や軽度の糖尿病の患者さんを多く診させていただき、診療の奥深さに興味を持つようになりました。当院を開業後も高血圧の診療や、内服薬で治療可能な糖尿病、軽い喘息などの診療を行っています。また、コレステロール値が高い方に対しては、心電図の検査や動脈硬化を調べるために頸動脈エコーも行っています。生活習慣病の場合、食事や運動といった生活習慣の改善が欠かせません。しかし無理な改善は長続きしないので、その患者さんが無理なく続けられる方法を考えて提案します。
最後に、読者にメッセージをお願いします。
技術の進歩により、内視鏡検査の負担は大きく軽減されました。不安や仕事が原因で検査を遠ざけると、リスクの高い病気の発見を遅らせることがあるので、ぜひ恐れることなく受診していただければと思います。当院は土曜日も検査を行っているので、仕事の関係で時間が取れない方も検査の機会を逃さないようにしていただきたいですね。また、気になる症状がある場合、自己判断は禁物です。医療機関を受診していただき、医師の診断を受けることが大切です。地域のクリニックとしてお気軽にご相談ください。