腎機能を補い体への負担を減らすための
5時間週3回の人工透析
じょうとく内科クリニック
(西条市/伊予西条駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
血液をろ過して体に必要なものと不要なものを分け、老廃物を尿として出すことによって体を正常な状態に保つ働きを持つ腎臓。何らかの原因で腎臓の働きに異常を来し、健康な人の10分の1以下まで機能が低下した状態になった場合に必要になるのが人工透析だ。一般的に、人工透析が必要な状態の慢性腎不全では腎機能の回復は見込めないとされている。今回は、人工透析を受ける患者の負担ができる限り少なくなるよう力を尽くし、通常よりも長い時間をかけて行う血液透析を提供している「じょうとく内科クリニック」の城徳昌典院長に、血液透析の詳細や腎疾患につながりやすい症状や習慣、日々の生活で気をつけることなどについて詳しく教えてもらった。
(取材日2020年12月22日)
目次
人工透析は同じことの繰り返しだからこそ、患者の顔を見て、直に触れ、小さな体調の変化を見逃さないように
- Qそもそも、人工透析とはどのような治療なのでしょうか?
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A
腎臓は体の中の毒素をきれいにする器官で、その機能が下がると腎不全になります。腎臓の機能が健康な人の10分の1以下になった場合に行われるのが人工透析です。その中で血液透析は、血液を体から出して機械を通し、バランスの崩れた血液成分を正常なバランスに近づけ、再び体内に循環させることを図ります。通常、血液透析は4時間週3回で行われることが多いのですが、当院では5時間かけて行います。4時間週3回というペースは血液透析が必要になったときの状態の腎機能を保つために適しているとされます。一方、透析時間を延ばすことで、より多くの老廃物の除去や除水をめざせるなど腎臓機能を補助しやすいため、体の負担軽減が図れます。
- Qどのような症状が腎臓の疾患につながると考えられますか?
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A
腎臓は毛細血管の塊のようなもので、いかにきれいな血液がスムーズに血管を流れるかが大切です。腎臓病は心臓や脳の疾患と同じように、加齢や生活習慣と深く関わっています。食習慣や運動不足などの不健全な生活習慣によって引き起こされる生活習慣病、中でも糖尿病や高血圧症は腎機能に大きな影響を及ぼします。また、血管を傷つける喫煙も危険因子です。ですから、腎臓病につながるリスクや現象をどれだけ早くに食い止めるか、そしていかに血管をきれいに保つかが重要になります。
- Q症状の悪化を防ぐためには、何に気をつければいいのでしょうか?
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A
食生活では必要な栄養素をしっかり摂取し、バランスの良い食事を心がけること、そして必要以上に食べないことが大切です。特に炭水化物の取りすぎには注意が必要です。体を動かすことが生活習慣病の予防につながりますので、そのために必要なエネルギーを体に取り入れる。使うエネルギーの分だけを食べ、その食べた分を使う。余った分は不要なものとして蓄積され体調の悪化を招くと考えます。定期的に健康診断を受けて体調管理を継続しましょう。また、腎臓疾患は免疫疾患と関連しているものも多いので、風邪やインフルエンザなども含め、感染症に気をつけることも大切です。
- Q人工透析の患者さんのために工夫していることはありますか?
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A
5時間という長時間にわたる透析が苦痛にならない環境づくりを心がけ、患者さんがリラックスして治療を受けられるようにしています。ずっと仰向けになる患者さんの目に入る光がまぶしくないように間接照明にしたり、23床あるベッド間の仕切りを工夫し、飛沫対策をするのと同時にスタッフが機器をはっきりと見られるようにしています。また当院は、一人ひとりの患者さんのライフスタイルに合わせ、午前・午後・夜間の3パターンの中から透析時間を選んでいただけます。夜間透析は月・水・金曜日の23時まで、お仕事帰りに透析治療を受けることができ、シャワー室も備えています。
- Q循環器を含め、内科全般を診療できるのは強みですね。
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A
循環器を含め、内科全般の診療をしていますので、医療の窓口としての役割も担いたいと考えています。体調が悪くてもどこに行けばいいかわからないという場合も気軽に来院していただけたらと思います。人工透析では、患者さんの顔を見て、直接触れることで得られる情報は多く、体調の変化を知ることができますので、患者さんに針を刺すのはできる限り私が担当しています。透析は同じことの繰り返しですから、ちょっとした体調の変化にも注意が必要です。患者さんに起こっている異常を見逃さないようにコミュニケーションをしっかり取っています。