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山本 康人 院長の独自取材記事

桃山こどもクリニック

(名古屋市緑区/神沢駅)

最終更新日:2021/10/12

山本康人院長 桃山こどもクリニック main

名古屋市の中でも子どもの人口が多いとされる緑区。住宅街が広がる桃山二丁目交差点前に「桃山こどもクリニック」は位置する。院長の山本康人先生は、親の一途な気持ちに寄り添いながら診療にあたるよう心がけている。日本小児科学会認定小児科専門医である院長は小児科の一般診療だけでなく、検尿異常や夜尿症などの腎臓領域を専門とするのも特徴だ。腎臓領域のお子さんの診療には予約制を導入しており、診察や説明に時間をかけられるように環境を整えている。院内は小児に配慮した工夫がなされ、クリニック全体でお子さんが親しみやすい雰囲気づくりに取り組んでいる。研修医時代のエピソードやクリニックの診療理念などについて聞いた。

(取材日2016年6月13日)

何でも気軽に相談してもらえるクリニックをめざして

こちらへ開院された経緯などをお聞かせください。

山本康人院長 桃山こどもクリニック1

建築設計士の父から言われた、「一生涯で家を建てない人はいるが、病気にならない人はいない」という言葉に心を動かされました。私は幸いにも生来健康に恵まれ丈夫でしたが、それでも風邪を引いて学校を休むことや、スポーツでケガをするなど、医療機関のお世話になる機会が幾度となくありました。そういった経験から、医師はさまざまな業種の中でもより多くの人と関わりを持てる仕事と考え、志すようになりました。開院地を探すにあたって一定の駐車台数を確保できる敷地面積にこだわりました。具合の悪いお子さんを公共の交通機関で連れてくるのは大変だと思いますから。こだわりに合った場所と幸運にも巡り合うことができ、開院する運びとなりました。

小児科を選択した理由は何ですか。

お子さんには、その後の将来が何十年とあります。健やかで充実した人生を歩んでいただくために、小児に携わることに大きなやりがいを感じるとともに、小児科は全身を診る総合診療科である点にも魅力を感じました。振り返れば、私が理想とする医療の在り方に小児科が合っていたのだと思います。お子さんが元気になったときは、当然のことながら親御さんも喜んでくださる。そういった場面に触れるとこちらも満たされた気持ちになり、小児科医でよかったと思えます。これまでそのような経験を何度もさせていただきました。小児科医として15年になりますが、これまで「小児科を辞めたい」と思ったことはありませんでした。

先生の得意とする診療分野について教えてください。

山本康人院長 桃山こどもクリニック2

お子さんの体全体を診療する中でも、特に腎臓疾患について興味を持ち、自らの専門として診療にあたってきました。小児期で頻度として多いものに、検尿異常・夜尿症・ネフローゼ症候群・腎炎・膀胱炎・尿道炎などがあります。検尿は3歳児健診、学校検尿などで実施されており、腎炎の早期発見に有用です。もし再検査で異常を認めた場合、放置しないことが重要です。一方、夜尿症は5~15歳で約80万人が罹患しているとされ、治療を行うことで治癒率が2~3倍になるとの報告があります。外泊を伴うイベントが増加してる現代では治療の需要が増していると感じます。必要に応じて、尿検査、血液検査、超音波検査などで診断しながら治療を進めます。お子さんの経過や疾患の種類によっては、よりきめ細かな診療が必要になる場合もあるため、予約診療をおすすめしています。

親が感じる「いつもと違う」は正しい

診療時に心がけていることはありますか?

山本康人院長 桃山こどもクリニック3

親御さんから見て、お子さんが「いつもとどう違うか」を大事にしています。特にお母さん方の感覚は鋭く、いつもと違うという感覚は当たっていることが多いです。症状がひどくないように見えても「子どもの様子がいつもと違う」との訴えがあるときはより慎重な対応を心がけています。お子さんだけでなく保護者の方々にもなるべくリラックスしていただけるように、院長を含め全スタッフが白衣を着用せず、子ども目線の対応や声かけを意識するなど、できるだけ親しみやすい雰囲気づくりに取り組んでいます。

子どもの異変に気付いた時、どうすれば良いですか?

些細であっても、普段とは違う様子が見られ心配があるときは遠慮なく、気軽に相談していただきたいですね。結果的に問題がなければそれでいいわけですから。可能な限り、受診していただくというのが大事だと考えます。お子さんは様子をみているうちに状態が急激に悪化してしまうことがあり、状況によっては同じ日に2回診察をさせていただくこともあるくらいです。医療機関を受診する際は、「いつから」「どんな症状か」をお伝えいただけることがより正確な診断につながる一歩となります。

印象に残っている患者さんとのエピソードをお聞かせください。

まだ知識も経験もない研修医の頃、担当した患児のお母さんに「診察に来てほしくない」と言われたことがありました。今思えば当時の私はお子さんを想う親御さんの気持ちに十分な配慮ができていなかったのかもしれません。また、同じく研修医時代のことですが、救急外来で発熱のお子さんを診察する機会があり、自分の診断と対応をご説明したところ、私が小児科医でないことを理由に患児のお母さんに納得していただけず、偶然院内で仕事中だった小児科の先生に対応をお願いしたことがありました。小児科の先生と私は同じ見解でしたが、小児科の先生から説明を受けた親御さんは安心した様子で帰宅されました。これらのエピソードは私にとって小児科を強く意識させるとともに、真摯に向き合うきっかけともなった印象深い体験でした。

研修医時代の経験は小児科医となった今、どのように受け止めていますか?

山本康人院長 桃山こどもクリニック4

親御さんとの接触に緊張した時期もありました。しかし、研修期間を終えて小児科医として歩み出してからは、むしろ親御さんにありがたいお言葉をかけていただくことがしばしばあり、その経験は自分にとって喜びに包まれたものでした。時が経つにつれて、研修医時代の体験はお子さんの回復を願うひたむきな想いゆえの言動だったのだと気づかされました。そのとき、医師と患児のご家族は決して敵対する関係ではなく、目の前のお子さんを治したいという共通の目標を持った「同志」であると感じたことを鮮明に覚えています。それ以降は自分の心持ちが劇的に変わり、親御さんとコミュニケーションを取ることに楽しさすら覚えるようになりました。この心境の変化は、自分の小児科医人生において大きな出来事であったと思います。

気軽に受診、相談を

こちらのクリニックならではの取り組みはありますか?

山本康人院長 桃山こどもクリニック5

コミュニケーションアプリを使って情報発信を行っています。登録も簡単ですし、診療案内や臨時の情報提供に加えて忘れ物のお知らせにも活用しています。特に忘れ物の場合は画像も添付できますので、重宝しています。また、不定期ですがインストラクターを招いて赤ちゃんとのスキンシップを楽しんでいただけるベビーマッサージ教室を開催しています。

幼少期はどんな子どもだったのですか?

野球に夢中でした。夏休みは高校野球中継にくぎ付けで強豪校の校歌をカセットテープに録音して覚えたり。野球選手になる方法を子どもなりに考えたりしていました。野球は小・中学生が軟式球、高校生からプロ野球と同じ硬式球になります。硬式野球部がある中学校のことを親から知らされ、入学するために中学受験をしました。受験勉強が必要という時点で「おかしい」と気が付けばよかったんですが(笑)。何とか入学でき、念願の野球部に入部したのですが、ちょうど私が入学した年から学校の方針で軟式野球部に変わってしまいました。今となってはいい思い出であり、笑い話です。

読者へのメッセージをお願いします。

山本康人院長 桃山こどもクリニック6

遠慮がちに受診されるお母さん方は、「この程度で受診していいのかな」という想いをお持ちなのだと思います。しかし、親御さんにとって宝物ともいえるお子さんに関われることは、小児科医からすればたいへんありがたいことです。「遠慮せず気軽に」「毎日でも」診せに来ていただきたいと思います。お子さんに関する心配事や疑問・不安を解決することにより安心して子育てをしていただける、そのお手伝いができるよう培ってきた経験を活かし、その知識を刷新しながら邁進していく所存です。地域のこどもかかりつけ医としてお力になれるよう精進を重ねつつ、誠心誠意診療にあたっていきたいと考えています。

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