抜歯を要する矯正中も審美性の維持を
目立ちにくい「裏側矯正」
青山クオーツデンタルクリニック
(渋谷区/渋谷駅)
最終更新日:2025/07/16


- 自由診療
審美性と機能性を兼ね備えた理想的な噛み合わせをめざす「矯正治療」。表側にブラケットを装着する手法がよく知られるが、近年はニーズに応じて治療法を選択できるようになってきた。その一つが、ブラケットを歯の裏側に装着する「裏側矯正」。矯正のデメリットとしてイメージされやすい、「装置が目立つ」「歯磨きしにくい」といった側面の軽減が図られているという。しかし「裏側矯正を体系的に学べる場は少なく、矯正専門の歯科医師の全員が対応できるわけではないのです」と「青山クオーツデンタルクリニック」の中井丈生先生は話す。院長は東京医科歯科大学名誉教授でもあり、歯の保存と審美面を両立させる治療を長年追求してきたスペシャリストだ。多分野の歯科医師が在籍する同院をけん引する院長に裏側矯正の基礎知識や流れについて聞いてきた。
(取材日2021年4月20日/情報更新日2025年7月1日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qさまざまある矯正方法の違いを教えてください。
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A
矯正には、大きく分けてブラケットを使う方法、マウスピース型装置を使う方法、そして予防的な側面から行う矯正があります。予防的矯正は、最近当院でも力を入れている子どものための矯正のこと。小さいうちに将来的な歯並びを予想し、日中1時間と就寝時のみマウスピース型装置を着けることで良い歯並びになるよう成長を促します。乱れた歯並びを治すより、肉体的にも経済的にも負担が少ないのが特徴ですね。ブラケット矯正とマウスピース型装置を用いた矯正は乱れた歯並びを治すためのもので、基本的には歯が生えそろう12歳以降に行います。歯の表側にブラケットをつけるのが、従来から行われてきた表側矯正。裏側につけるのが裏側矯正です。
- Q裏側矯正ができる歯科医院はそう多くないと聞きます。
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A
舌、顎、歯肉の状態などを総合的に診て、通常の矯正が適応できると診断された症例には表側矯正も裏側矯正も同じように行えると考えていますが、大学などにも裏側矯正を体系的に学ぶ機会はほぼなく、セミナーなどに参加しなければ技術に習熟することは難しいのが現状です。そのため選択肢に裏側矯正がなかったり、対応できる症例が限られていたりする歯科医院もあるでしょう。一方当院には、裏側矯正に精通する歯科医師だけでなく、矯正専門の歯科技工士もおり、両職種が意見交換を重ねることで治療精度を高めています。矯正方法も幅広く用意し、例えば、ニーズに合わせて上の歯は裏側矯正、下の歯は表側矯正のコンビネーションもご提案可能です。
- Q裏側矯正のメリット・デメリットは何ですか?
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A
最大のメリットは、歯の裏側にブラケットを着けるので、口を開けても目立ちにくいこと。見た目が気になる方にはお勧めです。治療中の審美性という意味ではマウスピース型装置を用いた矯正も良いと思いますが、前に出ている口元を改善するために前歯を下げたい場合など、抜歯が必要なケースでは使えません。そうしたケースで審美面を重視した矯正を望む方には、裏側矯正が選択肢に挙がるでしょう。デメリットとしては、わずかですが滑舌に影響が出る可能性があることです。また、ブラッシングにコツが必要で、慣れるまでは歯磨きがしづらいかもしれません。当院では専用の歯ブラシを毎月差し上げており、上達にお役立ていただいています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1カウンセリングで矯正を受けるかじっくり検討
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初診では問診の後、顔と口の中の写真を撮影。カウンセリングルームへ移動し、撮影画像を見ながら、適合する矯正の種類とそれぞれのメリット・デメリット、治療方針や費用などについて説明を受ける。この時、要望や疑問があれば遠慮なく相談し、十分に納得してから矯正に進むことが大切。もちろん、いったん帰ってじっくり考えてからでも問題はないそうだ。
- 2精密検査で口の中のデータを収集
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矯正を受けると決定したら、口の中の状況をより正確に把握するための精密検査を受ける。顎や骨、歯根の状態などをくまなく調べ、矯正に向けたデータをそろえることが目的だ。エックス線や歯科用CTによる画像撮影が行われるため、妊娠中の人や妊娠の可能性がある人は事前に申し出ること。検査の結果によっては方針を修正することもあるという。
- 3検査結果をもとに口腔内部を診断
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口腔内の状態や治療期間、完成予想など、担当の歯科医師が綿密に用意した計画を画像とともに確認。虫歯などの問題がないかチェックを受け、裏側装置を使う矯正を選択することが決定したら、口腔内の型採りを行う。虫歯があると正しい歯型が採れないので、まずは虫歯治療が完了してから型採りという流れになる。装置を着けた状態でうまくブラッシングができるように、歯磨き指導も行われる。
- 4オーダーメイド装置を入れて矯正を開始
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裏側矯正では口腔内スキャナー、歯科用CTなどのデータをもとに、予測模型を歯科技工士が作り、オーダーメイドの装置を作製していく。およそ1ヵ月後に仕上がり、いよいよ裏側矯正装置の装着へ。ブラケットをつけた後、ワイヤーが通される。説明を入れると所要時間は1時間から1時間半ほど。食事はその日から普通にすることができ、装着直後の違和感も自然と気にならなくなっていくという。
- 5矯正期間中は定期的に通院
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裏側矯正の治療期間は抜歯が必要なケースで1年半~2年半ほど。抜歯が必要なければ8ヵ月~1年ほど。同院は歯を動かすために必要な血流を阻害しないよう、絶妙な力加減で装置を調整することにこだわっている。「痛くなく、早く終わる」矯正を実現するための一環で、一般的に目安とされる期間よりも矯正開始から終了までの短期化を図っているそうだ。正確な期間は患者の状態によって異なるため、個別に調整を行っている。
自由診療費用の目安
自由診療とは上下ともに裏側矯正/126万5000円~、上が裏側矯正で下が表側矯正/104万5000円~、マウスピース型装置を用いた矯正/93万5000円~、歯列矯正/上下表:82万5000円~、小児の予防的矯正/8万8000円円~