田上 順次 先生の独自取材記事
青山クオーツデンタルクリニック
(渋谷区/渋谷駅)
最終更新日:2025/07/08

各線の渋谷駅から徒歩5分ほど、青山通りの宮益坂上交差点に面した12階建てビルが「徳真会クオーツタワー」。その4、5階にあるのが、総合歯科診療を掲げ、年中無休で診療する歯科医院「青山クオーツデンタルクリニック」だ。虫歯や歯周病の治療など幅広い診療を提供している同院には、多様な専門性を持つ歯科医師はじめスタッフが多数在籍。「痛みがある、噛みづらいなど歯に関わるお悩みを幅広くお受けし、患者さんの期待にお応えしていきたい」と語る田上順次先生は、歯科保存学のスペシャリスト。「40年にわたり大学病院で培ってきた専門性を生かした臨床を展開したい」と穏やかな笑顔を見せる。保存歯科的立場からの口腔の将来を見据えた治療について詳しく聞いた。
(情報更新日/2025年7月1日)
生涯歯を残すことをめざす、なるべく削らない治療
院長は「歯の保存」の専門家だと伺いました。

1995年から2021年まで、歯の保存治療を専門とする東京医科歯科大学歯学部保存学第一講座(現・う蝕制御学分野)で教授を務めてきました。保存歯科学では、虫歯や歯周病などの歯のトラブルに対し、なるべく歯を削らずに健康な歯質を保存し、生涯ご自身の歯を残すことをめざします。すべての分野において予防的立場から再考した歯科治療を徹底し、トラブルが起きた場合は、先進の歯科材料を用いた新しい治療法で、体への侵襲を最低限に抑えながら治療を進めます。「低侵襲」は医科においても近年重要なキーワードになっていますが、これを歯科で行っていくのが歯科保存学なのです。
具体的にはどのような治療になるのでしょうか。

従来の金属製補綴物は歯に接着することがなかったため、上からかぶせるために虫歯とその周辺を大きく削る必要がありました。対して、「コンポジットレジン」はそれ自体に接着性があり、必要以上に歯を削ることなく治療を進めていくことができます。レジンというと「樹脂」を想像されることも多いかと思いますが、歯科治療で使用するコンポジットレジンは80〜90%程度セラミック粒子を練り込んだもの。天然歯と同等の強度と、より天然歯に近い仕上がりが得られることも期待できます。歯を失ってしまった際にも、両隣の歯を削ることなくコンポジットレジンで歯を補う、ダイレクトブリッジという方法があります。この方法はインプラントや従来のブリッジに加えて、新たな選択肢として注目されています。
メリットの大きいコンポジットレジン治療を実践
コンポジットレジン治療のメリットを教えてください。

歯を削る部分を最低限に抑えることで、将来的に歯を残せる可能性が広がるのが大きなメリットです。また、歯科医療は「生活の医療」であり、QOL(生活の質)から離れたところでは決して良い治療をかなえることはできません。コンポジットレジン治療では、低侵襲に加えて高い審美性が期待できるのもメリットといえるでしょう。世界で行われている治療法であり、条件が合致すれば健康保険の適用も可能です。
従来技工所で製作していた補綴物をお口の中で直接作るイメージでしょうか。
そうですね。直接作るケースと、いったん技工士さんに簡単な型を作製してもらい、素材を流し込んで作るケースがあります。いずれにしても、お口の中で両隣の歯とのバランスを見ながら調整することで、より自然な仕上がりをめざしていきます。当院は歯科技工士との連携を強化しており、ハイクオリティーな治療の提供をめざしています。また、すべての症例をコンポジットレジン治療でカバーすることは難しいのですが、当院にはインプラント治療専門の歯科医師も在籍しており、さまざまな手法を併用して治療を行える体制です。
診療の際に心がけていることはありますか?

患者さまはそれぞれ異なる背景をお持ちで、治療に対する要望もさまざまです。できるだけお一人お一人の状況に応じた治療内容を提案することを心がけています。そのためには、対話を増やして「何を求めていらっしゃるのか」を丁寧に聞き出す作業が欠かせません。私が40年間診療してきた大学病院の保存科では、予防やメンテナンスも手がけるため、一人ひとりの患者さまとのお付き合いが長くなっていました。こちらでも、患者さまとのコミュニケーションを大切にし、話し合いを通して一緒に治療を考えていくスタイルを継続していきたいと思っています。
「歯を残すためにできること」を患者と一緒に探る診療
感染症対策についてもお聞きします。

新型コロナウイルス感染症の流行以前より、徹底した感染管理に取り組んでいます。これも当たり前のことですが器具は患者さんごとにすべて交換し、洗浄・消毒・滅菌、グローブに関しては処置ごとに破棄・交換するなどを徹底。水準にばらつきが出ないよう、専任担当者を配置して対応しています。患者さんが直接触れるユニットの消毒もコロナ禍以前よりさらに徹底しているほか、こまめな換気や除菌性能の高い空気清浄機の設置など、設備面の対策も行っております。また、月に複数回、グループ専属の清掃スタッフによる定期清掃などを実施しています。当院では初診の方と再診の方でフロアを分けており、2回目以降では予約にて待ち時間なくご受診いただける体制です。他者との接触機会も最低限ですので、安心してご来院いただけるかと思います。
今後の展望について教えてください。
コンポジットレジン治療は、一定の条件下では保険適用になりますが、治療の質を求めると自費診療での対応となることもあります。いずれにしても適切な価格での治療を広げていきたいと思っています。保険制度については私の関わるところではないのですが、自費診療には「お金持ちのための治療」といったイメージをお持ちの方も多いようで、自費での治療について説明すると次回から受診を取りやめにされるというケースも。皆さんがより良い治療を受けられる機会を広げるためにも、自費診療をもっと身近なものにしていきたいです。
読者に向けて一言メッセージをお願いします。

歯科治療は画一的なものではなく、一つの症例にもたくさんの選択肢があります。インターネットなどの情報にあたるのも良いですが、一方向に偏った情報が多いようにも思います。治療の選択肢に迷ったら、まずは専門家の意見を聞きにいらしていただければと思います。歯科では自覚症状が出る頃には症状が進行してしまっていることがほとんど。痛みなどの症状を感じていらっしゃらなくても、受診により将来的なリスクがわかれば、歯を残すためにできることをご提案することができます。例えば30代の方の「80歳まで歯を残したい」という要望にもお応えしていけると思うのです。病気は突然起こるものではなく、30代、40代といった比較的若い世代からそれぞれが「病のもと」を抱えていらっしゃるもの。ご自身の歯を守るのはご自身です。長い視点で見て、今からできることに一緒に取り組んでみませんか?
自由診療費用の目安
自由診療とはダイレクトブリッジ/2万2000円~、インプラント治療(1本)/33万円~、コンポジットレジン治療/1万5000円~