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池上 香 院長の独自取材記事

中野島小児科クリニック

(川崎市多摩区/中野島駅)

最終更新日:2025/11/28

池上香院長 中野島小児科クリニック main

JR南武線中野島駅北口から徒歩3分、商店や集合住宅が立ち並ぶ一角にたたずむ「中野島小児科クリニック」。双子用ベビーカーも入れる院内に足を踏み入れると、待合室には大きな窓から自然光が差し込み、壁にはスタッフ手作りの動物の貼り絵が飾られ、温かみのある雰囲気。同院は池上香院長はじめ、スタッフ全員が育児経験のある女性ばかり。2015年の開業から10年たち「子どもも家族も安心して頼れるクリニックでありたい」と、幅広く小児科医療に取り組んできた。インタビューでは、患者や医療への思いや今後の展望まで、池上院長が笑顔で答えてくれた。

(取材日2025年9月18日)

幅広く小児疾患や育児の悩みに対応

医師としての歩みをお聞かせください。

池上香院長 中野島小児科クリニック1

父が当院の近くに整形外科のクリニックを開業していました。子どもの頃から医師が夢だったわけではないですが、進路を決める際、就職氷河期だから資格を身につけようと考えた時、医学の道に進んだのは、やはり父の影響です。大学は日本医科大学に進みました。小児科を専門に選んだのは、医療が専門化し、細分化する中で、ジェネラリストでありたいと思ったからです。大学卒業後は、国立成育医療研究センター周産期診療部新生児科で研鑽を積んだ後、日本医科大学小児科学教室の助教を経て、留学する夫とともにアメリカのマサチューセッツ州、ボストンに渡りました。帰国後は総合相模更生病院小児科を経て、開業に至りました。この場所に開業したのは、父の意向もありますが、市営住宅も近いのでファミリー層が多く、小児科のニーズがあると思ったのも大きいですね。

診療内容と、どのようなお悩みでの受診が多いかを教えてください。

風邪、水痘、おたふく風邪などの感染症や胃腸の不調、喘息、アレルギー疾患、結膜炎、夜尿症や便秘など、子どもに多いお悩みや疾患、健診、予防接種、育児相談や離乳食・栄養相談など、多岐にわたります。また当院ではアレルギー疾患の診療にも注力しています。アトピーは体質によるところが大きいですが、小さいうちから丁寧にケアしておけば、後天的な作用による発症はある程度抑えることが期待でき、乳児湿疹や乾燥による肌荒れの悪化が引き金になる場合もあるため、体の洗い方やスキンケア指導も行います。また、5歳以上を対象にスギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の患者さんには治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」にも対応。健診では発育の確認だけでなく、母乳育児に関するご相談も可能ですので、お気軽にご相談ください。そして小児科ではありますが、発熱してご家族で受診した場合など、可能な症状ならば成人の患者さんにも柔軟に対応します。

医師もスタッフも全員が育児経験があるそうですね。

池上香院長 中野島小児科クリニック2

お子さんの急なご病気のときはもちろん、事前に予定している予防接種でも、クリニックを受診するのは大変なことで、不安なはずです。インターネットに情報があふれているからこそ、正しい情報がどれかわからなかったり、かえって心配になる方もおられると思います。そんなとき、専門家として適切な対応をすることに加え、スタッフが実際の育児経験に基づいてアドバイスしたり母親目線で寄り添うことが、患者さんにとっては安心感につながると思います。私も同じ子を持つ親として、当院を受診するお子さんやご家族の気持ちに寄り添い、少しでも不安な気持ちを和らげたいと思い、日々、診療にあたっています。

患者の思いに応え、安心して受診してもらうために

診療の際に、どのようなことを心がけていますか。

池上香院長 中野島小児科クリニック3

相手が思っていることを最大限くみ取り、とにかく丁寧に、できる限り求めていることにお応えすることを心がけて診察しています。そして、受診の発端となった症状だけでなく、症状を引き起こしている背景まで含めて対応していきたいです。医療には、診断や治療はもちろん、患者さんやご家族のお話を伺うことで根本的な原因の解消を図ったり、悩みをお聞きすることで心を軽くする行為も含まれると思うんです。それから、受診したお子さんの不安を取り除くことも大切にしています。例えば、子どもにとって特に注射は怖いものなので、予防接種のときは少しでも威圧感を与えないようにするなど、気配りを忘れません。

設備面でのこだわりを教えてください。

お子さん連れで受診するのは大変で、兄弟姉妹も連れて来院することも多いですから、入り口で靴を脱がずにスロープからベビーカーのまま入室できるよう、バリアフリーにこだわりました。診察室もトイレもベビーカーで出入りでき、トイレにはおむつ台を設置しています。また、小児科は感染症の患者さんが多いので、クリニック正面右手に発熱症状など、感染症の疑いがある方のための隔離室直結の入り口を作りました。院内全体で消毒や換気を徹底していますが、隔離室は換気も別経路になっています。内装に関しては、診察室は顔映りを考慮して白を基調とした壁紙を、待合室は病院のキャラクターとして描いてもらったキリンをイメージして黄色ベースの壁紙を選びました。

ホームページに英語表記のページを設けるなど、設備面以外でもバリアフリーを進めているようですね。

池上香院長 中野島小児科クリニック4

アメリカで出産を経験し、現地の小児科も受診しましたが、違う文化圏で医療機関を受診するのは、言葉や制度も考え方も違うので大変でした。帰国後に勤めた病院は外国人の患者さんが多く、私と同じように戸惑う姿を目にしました。自分が苦労した経験を生かし、外国人の患者さんも広く受け入れていきたいと考え、当院では英語表記のホームページを設けています。外国人が日本で医療機関を受診するためにネットで情報収拾しても、日本語のホームページが読めなかったり、受診しても言葉が通じるか不安があったりすると思うんですよね。ワクチン接種のお知らせも、行政から届いた日本語の封書が読めず予定どおり接種できていない人もいます。当院では、ホームページからもなるべく情報をお伝えし、安心して受診できる体制を整えています。

地域のかかりつけ医として患者の成長を見守りたい

開業から10周年を迎えられたそうですね。

池上香院長 中野島小児科クリニック5

開業して10年、多くの地域の患者さんと向き合う中で「開業して本当に良かった」と感じています。勤務医時代は異動が多く、患者さんと長く関わることが難しかったのですが、今では乳幼児期から成長を見守ることができ、親しみを持って診療にあたれています。昨年、私自身が子宮頸がんを経験し、改めて予防医療の大切さを実感しました。子宮頸がんは予防できる病気であり、HPVワクチンや検診によって発症リスクを大きく減らすことができます。もちろん子宮頸がんに限らず、ワクチンや病気に対して不安を感じる方も多いと思いますが、そうした不安こそ、まずは医療者に相談してください。患者さんと一緒に考え、納得できる選択をしていただけるような医療をめざしています。

現在、取り組んでいることや今後の展望をお聞かせください。

当院はかかりつけ医として、地域の子どもたちの健康を継続的に見守る体制を整えています。また発達障害に関するご相談にも対応しており、地域みまもり支援センターや発達・相談センターなどと協力して患者さんやご家族のサポートを行っています。なかなか難しいですが、患者さん一人ひとりのニーズをくみ取って診療できるようにしたいですね。それから、患者さんが受診しやすい環境づくりにも力を入れています。例えば、なるべく待ち時間を減らすために予約システムを導入していて、一般診療は朝7時から順番に受けつけています。予防接種や健診もウェブ予約が可能で、当院のメッセージアプリの公式アカウントから予約確認もできます。今後はオンライン診療の導入や心理士の先生による育児相談等も行っていく予定です。また大学病院の内分泌の専門家や循環器の専門家による診療も行っており、低身長・肥満・思春期早発症などの専門的な相談にも対応しています。

最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

池上香院長 中野島小児科クリニック6

地域のかかりつけ医として、気軽に頼れるクリニックでありたいと思っています。「こんなことで受診していいのかな」と思わずに、少しでも心配なことがあったら、気軽にいらしてください。平日は18時半まで、土曜日も午前中は診療しているので、フルタイムで働いている方も受診しやすいと思います。また、体調だけでなく、育児で疑問に思うこと・不安なこともあるかと思います。私自身も子育てには苦労しているので、偉そうなことは言えないですが、できる限りお聞きし、医師として、育児経験者として、お答えさせていただきます。

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