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小宮山 学 院長の独自取材記事

ありがとうみんなファミリークリニック平塚

(平塚市/伊勢原駅)

最終更新日:2019/08/28

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丹沢山系大山を水源とし、平塚市中心部を流れる鈴川。そのほとりに「ありがとうみんなファミリークリニック平塚」がある。院長の小宮山学先生は、その朗らかな人柄と家庭医療専門医としての豊富な診療経験により、地域からの信頼を集める。院内は「自宅や小学校のような場所をイメージした」ことから、木の優しい香りと、明るい色使いで、心を落ち着かせてくれる。診療については、小児から高齢者まで患者のニーズ、地域のニーズに応じて、外来と訪問診療の両方で行っている。訪問診療では、患者の思いと生活に重きを置き、「看取り」に力を入れ、患者のQOL向上に努めている。地域の人々の健康と幸せに真摯に向き合う小宮山先生に、診療への思いなど、たっぷり語っていただいた。
(取材日2015年10月8日)

木の香りが心を落ち着かせる、小学校のようなクリニック

木の香りと明るい雰囲気が、小学校のようですね。

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そうですね。自宅や小学校のイメージを意識しました。実際に、子どもの来院は多いです。夕方には、キッズスペースで宿題をしている子どももいます。いわゆる病院という雰囲気にはしたくなかったんです。パーソナルメディカルホームという、患者さんにとっての医療面での戻るべき場所という概念があります。このクリニックを自宅のように、親しみを感じてもらえればと思っています。患者さんには、「きれいで、温かみがあり、いい意味で病院らしさがないね」と言われたので、狙い通りになったかな、と感じています。

クリニック内のレイアウトなど、こだわった点はありますか?

動線には気を配りましたね。診察室は2つあり、看護師の作業がスムーズとなるように、工夫しました。特に、外来スタッフの導線上に事務室をおいて、全ての職員がお互いの動きをわかるようにしました。あと、処置室に出入り口を作ったのも、救急搬送時の動線を考えてのこと。出入り口が1つだと、待合室を通って、搬送しなくてはなりません。処置室から、すぐに救急搬送できるようにしました。あと、医療用の棚や診察室の机、レントゲン室の蓄光する壁紙など、こだわっています。細かいところは、開業準備の時間に、多少の余裕がありましたので、いろいろな病院に行き、家庭医の施設を見学して、参考にさせていただきました。

どのような思いで、クリニック名を付けたのですか?

多くの人にアドバイスを聞いて付けました。コンセプトが大事だと言われたので、まずは、感謝の気持ちを軸にしてキーワードを掲げたいと思い、「ありがとう」は決まりました。そして、家庭医の診療所なので「ファミリー」を、地域への思いを込めて「平塚」を、「ありがとう」は、誰への言葉なのか、ということで、「みんな」へという思いで、「ありがとうみんなファミリークリニック平塚」となりました。よく、クリニック名が長いとつっこまれたり、間違えて覚えられたりもするのですが、それも特徴として覚えてもらえるのでよいかなと思っています。まずは、家庭医を知ってもらう、とっかかりとなればいいな、と思っています。

家庭医とはどのような医療を提供するのですか?

2019年から専門医制度が変わり、総合診療専門医という名前になりますが、家庭医は医学的なことを言うと、よくある病気、よくあるケガなど基本的な健康問題の専門医のこと。日常的な病気、ケガを診るということです。例えば、カゼをひいて、内科を受診したとき、ついでに、転んでケガしたところや、水虫なども、一緒に、診るというのが家庭医です。予防的な診療も大切なことで、喫煙者なら、禁煙治療を勧めますし、小さな子どもなら、母子手帳を見せてもらい、予防接種の状況を確認して、アドバイスをしたりします。

家庭医を志した経緯をお聞かせください。

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私が学生の時期、1990年代後半は、医学部を卒業すると、8割から9割の医師が大学病院に残り、医局に入るというキャリアプランが一般的でした。私は進路に悩んでいて、そんなときに病院見学に行きました。そこで知り合った先生から、専門化・細分化する診療科を横断して、総合的に患者さんを診るスキルや臨床を学べると教えてもらい、その病院でトレーニングしたいと思うようになったのです。当時としては、そのような医師を養成する数少ない病院の1つだった、舞鶴市民病院で1年間トレーニングしました。その後、出身大学である東京医科大学の関連病院で呼吸器内科医として、勤務していたのですが、医師としての経験を積んでいく中で、このまま呼吸器内科医師としてやるのかと、日々の仕事、自分の適性、やりたいことなどを見つめ直し、やっぱり総合的な診療をやろうと決意し、亀田総合病院で家庭医を養成する研修を受け、学びました。

患者が気づかない健康問題をキャッチアップして、適切な医療を提供する

診療の際、家庭医として、意識していることは?

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目の前の病気だけでなく、将来の健康に向けた診療を心がけています。風邪で受診した患者さんでも、家庭医として、予防的なアプローチに一歩踏み込んでいきます。その人が気づかないような健康問題をキャッチアップして、適切な医療を提供するということを強く意識していますね。よく、小学校の先生に例えてする話ですが、1人の担任の先生がすべての基本的な教科を担当し、かつ、生活面や集団生活などの基本的なところも指導していきますよね。私たちもよく、家庭環境にも気を配ります。生きていく力を形づくることを大切にしている点、それが小学校の先生と似ていると思います。家庭医は、病気、健康のことを中心に、診ますが、家族背景、その人の哲学、どう生きていきたいのかというところまで、普段の会話の中で、情報を拾い集めて、その人なりのオーダーメイドな健康を提供しています。例として、腰が痛いという患者さんがいたら、レントゲンを撮り、骨に異常がなければ、湿布を処方して安静にし、経過を見るということがありますよね。家庭医としての専門性の高いアプローチは、よく話を聞き、生活の中に、原因がないかと意識を向けます。すると、お姑さんの介護が大変で腰を痛めたとわかります。それならば、お姑さんに介護保険を導入して、本人の介護負担を減らしたり、腰に負担のかからない介護方法をヘルパーさんから指導するようにと連絡をとってあげることができます。そういう観点で診察し、ケアマネジャーらと連携し、繋がっていることで、適切なアプローチ手段を選択できるわけです。家族、地域社会、人種、宗教なども健康に影響を及ぼしますから、さまざまな背景を要因を考えて、適切な手段で、治療するということです。

訪問診療についてお聞かせください。

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訪問診療をやっているのは家庭医に限りませんが、医療が必要だけど、動けないという人、例えば、高齢で足腰が弱く通院できないけれど、治療や薬の処方が必要な人が訪問診療の適応になります。このクリニックの特色として、「看取り」を挙げることができます。人生の最期を医療の中で迎えるのか、生活の中で迎えるのかで、QOLがまったく違ってきます。やはり、生活の中で最期を迎えることが自然で、家族にとっても、最後までやりきったっていう思いを得られ、残った方の充足感は病院より圧倒的に高いです。そこに大きな違いがあります。また、がんの終末期に痛みをコントロールして見送ってあげることもあります。自宅で終末期の痛みをコントロールすることはさほど難しくはないのですが、それができる医師は少ないです。訪問診療では、生活の中に、医療があるということが際立ちます。主は生活で、従が医療。今起きてる現象を切り取って治療するという医療のあり方は、とても大切なことで、その重要性はこれからも同じです。しかし、患者さんの状態が、特に最期を迎えるという段階においては、医療よりも、本人の思いや哲学、生活に重きを置いた方が、トータルとしてのQOLが高くなります。訪問診療は生活の文脈を大切にし、訪問看護、ケアマネージャー、訪問介護、福祉用具など、チームで支えようというものです。

価値観の変化に合わせた医療を提供したい

なぜ開業を決めたのですか?

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自分の思う医療を提供したい、地域医療の専門医となりたいという自分の思いに気づいたからです。この場所で開業したのは、偶然なんです。開業する前の数年、この地で家庭医としてやってきたので、地域医療のネットワークが出来てきていました。各方面から講演会の依頼があったり、市の取り組みにも携わるなど、地域の医療に深く関わっていますので、今まで繋がりのあった平塚でやりたいという思いがありました。

お忙しい毎日ですが休日はどのように過ごしていますか?

休みの日も仕事していますね。院外の活動もしていて、例えば、4、5年ほどスカイプとウェブ会議で研究していたり、学会関係でも仕事をお願いされることもあります。他にも、勉強会の準備など、仕事の時間外にやらなきゃいけないことも多いので。でも、それはやりたいことなので、仕事が趣味みたいなものです。学校の講演会も定期的に行っています。地域への啓発活動は、広い意味で地域の健康を診ることですから。学生時代は芝居をやっていたこともあり、今でもたまに見に行くことはありますよ。

今後の展望についてお聞かせください。

目先のことでいうと、新たな見識を学ぶということはありますね。それと、大きな意味では、高齢社会になって、医療の役割そのものが、患者のニーズとともに変わってきます。今、認知症が増えていますが、私の意見としては、認知症は病気ではなく、老化の1つの形態だと考えています。これまでは、病気を治して、長生きすることがQOLを高めることでしたが、高齢社会になり、価値観が変わってきています。その変化に合わせた医療を提供したいと考えています。

読者の方々にメッセージをお願いします。

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最初は、内科医、小児科医だと思ってもらっても構いません。普段の診療の中で、これも診てくれるんだ、これも相談にのってくれるんだ、と知ってもらい、少しづつ、家庭医としての認識が広がっていくのが自然かなと考えていますので、とりあえずは何でも相談してほしいですね。この症状、痛みは何科に行けばいいの、と考えず、親戚のお医者さんに、医療相談するくらいの気持ちで来ていただければと思います。

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