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早坂 啓伸 先生の独自取材記事

ありがとうみんなファミリークリニック平塚

(平塚市/伊勢原駅)

最終更新日:2019/08/28

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平塚にある「ありがとうみんなファミリークリニック平塚」は、2015年開院。地域住民の健康を担う、総合診療と訪問診療を行うクリニックだ。早坂啓伸先生は、オープン当初から小宮山学院長とともに診療にあたっている。幼い頃から地域に密着した医師、いわゆる「町医者」をめざしていたという早坂先生。数々の人生の転機がありながら、その意志が揺らぐことなくキャリアを重ね、現在に至っている。仕事について話すその目が輝いており、毎日が充実していることが伝わってくる。優しい雰囲気でありながら情熱あふれる口調で丁寧に答えてくれ、「患者さんの人生のすべてのステージに寄り添えることが医師としてのやりがい」と語る早坂先生に、これまでの歩みや医療にかける思いをたっぷりと聞いた。
(取材日2018年11月1日)

診療科にとらわれず、総合診療を行う医師をめざす

こちらで働くようになった経緯をお聞かせください。

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大学を卒業後、総合診療ができる医師をめざして福島県でトレーニングを積んでいました。トレーニングが終わる頃、関東で行われていた総合診療を行う医師が集まる勉強会に参加し、このクリニックの院長である小宮山と出会ったのです。当時、私はトレーニング後の新天地を探していました。小宮山が当時勤めていたクリニックでも総合診療を行うことができる医師を探していたので、そのクリニックで勤務することになったのです。その後、小宮山がクリニックを開院することになりました。そのとき、「一緒にやろう」と声をかけてもらい、2人でスタートしたのです。

そもそも先生が医師を志したのは、なぜでしょう。

私が生まれ育ったのは地方の医療過疎の町でした。「医者がいないのなら、自分がなればいい」と思ったのが、医師を志したきっかけの1つです。いわゆる「町医者」をめざしていたんですね。ただ、医学部にいた6年間、「君は何科の医師になりたいの?」と、繰り返し聞かれていたので「町医者になるのは難しいのかな」と感じていました。卒業を控えて、専門科を具体的に意識する時期になっても決めることができず、医師としての最初の2年間の研修が始まりました。その病院で出会ったのが、臓器別に診療をするのではなく、幅広い分野の診療を心がける総合診療科でした。私がなりたいと思っていた医師の姿が、そこにあった。そのとき何科の専門医というのではなく、「総合的に診療を行う医師」という生き方があることを知ったのです。

総合診療の考え方について教えていただけますか。

2

患者中心の医療を実践することです。患者さんの言いなりになるとか、希望をすべてかなえてあげるということではありません。患者さんの背景や感情的な部分なども踏まえた上で、病気について医学的な評価をし、対処していくのです。現在の医療は、「風邪ならこの治療」、「がんならこの治療」というように、一対一で治療の内容が決まってしまうことも多いのですが、実際はそんなに単純なものではありません。患者さん自身の考え、信教、仕事、家族構成、実際に実現可能なのかなど、その患者さん固有の事情をできる限り考えながら、その方にとって何が最も良いのかを考えて実践する。それが患者中心の医療です。

知り合いの医師という感覚で、気軽に相談を

開業から3年、どのような変化を感じますか。

3

家族ぐるみのお付き合いが増えたと思います。お子さんを連れてきた親御さんが来るようになったり、あるいは訪問診療をした患者さんが亡くなった後に、その方のご家族が外来通院してくれるようになったりと、1人の患者さんを診ると、そのご家族が受診するということが増えた印象があります。ですから、患者さんを診ると、そのご家族の顔が浮かぶようになりました。ある子が受診したときに、「あれ、そういえばおじいちゃん、昨日来てたな」と(笑)。1人の患者さんだけでなく、その方を取り巻く家族もサポートするというのが私たちの目的の一つです。その点では、目標に近づいていると思います。クチコミでご近所の方をご紹介いただくことも多いので、地域ぐるみのお付き合いをさせていただいていると感じますね。

地域のコミュニケーションが減っているといわれているのに、うれしいことですね。

そうですね。ある患者さんから、「知り合いに医者なんていなかったから、相談できてよかった」と言われて、すごく的を射ているなと思いました。欧米では、まず、かかりつけの医師を受診して、必要に応じて専門医へ、というのが当たり前になっています。ところが日本では何かあったら「これは何科の問題だろう」と、患者さんがインターネットを検索したり、知人に聞いたりして、病院の専門科にいくしかない。でも、結局症状が改善しなくて、本当にその科で良かったのだろうかということもあります。ですから私たちを「医者をやっている知り合い」くらいの感覚で、医療面の相談相手として気軽に利用していただきたいですね。

診察の際に心がけていることはありますか。

4

一番は継続性ですね。「エピソードを超えた診療」というのが総合診療を行う医師の特徴の一つです。例えば風邪で受診されたら、風邪という1つのエピソードだけでなく、その方の過去に何が起きて現在に至っているのかを意識します。風邪以外に他の健康問題をたくさん抱えている方もいらっしゃいます。2ヵ月前に風邪で来られた患者さんが再診した時に前回の風邪はどのように治っていったかを確認する。1回のエピソードを、その次、その次にと、ずっと持ち越していく、それが継続です。ですから私たちは他院での受診も含めて、これまでの受療行動を常に意識します。

患者の意思を共有し、人生の全ステージに寄り添いたい

先生は、どんな時にやりがいを感じますか。

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その方の人生の、どのタイミングであっても寄り添っていけるのが、かかりつけ医のやりがいだと思います。ですから訪問診療にもやりがいを感じています。なぜなら、その人の背景が見えるからです。以前、外来への通院が難しくなり訪問診療をすることになった患者さんがいました。私は患者さんのカルテに家族や趣味など、その人らしさを示す情報を記載しているのですが、その方は「趣味:読書」とありました。初めて自宅にお伺いしたとき居間の壁、ほぼ全面に本棚が置いてあり、まさに本に囲まれた生活を送っていらしたんです。それがこの方の人生、生きざまなんだと思いました。ただ、私が在宅医療だけにしないのは、その瞬間だけを診たいのではないからです。生まれたての赤ちゃんも診たいし、子どもたちも、中高年も、お年寄りもみんな診たい。医師になったのも、そのためです。

今後、地域のかかりつけ医としてどのようなことに取り組みたいとお考えでしょう。

ACP、アドバンス・ケア・プランニングを普及させたいです。ACPとは、自分はこれからどういうふうに過ごしたいかという意思表示の過程を話し合うことですが、それを診察の中で行って、その方の10年後、20年後、30年後の治療プランに生かしたいと思っています。診察中でも、意識して聞いていると話の端々にACPに関係する情報がある。それを共有しておくと、万が一のときに「あのとき、ご本人はこういうふうに考えていたな」というのが、反映されます。私は病気になったとき、あるいは身体機能や意思決定能力が衰えたときに、その方の価値観や意思がうまく反映する社会になったらいいと思っていて、それを地域で普及させたいと企んでいます(笑)。町医者のレベルで、どれだけできるかはわかりませんが。

では最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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皆さんには、信頼できるかかりつけ医を見つけてほしいです。「こんな症状があるけど、何科に行けば良いかわからない」ということを、よく耳にします。実は胸痛1つとっても、消化器なのか循環器なのか、外科なのか整形外科なのか、その判断は医師であってもとても難しく、患者さんにはさらに難しいと思います。ですから、そういうことを相談できる先生がいるだけで、日常での安心感や生活の質が格段に上がるのではないでしょうか。自分のことをよく知っている医療者が身近いると、やはり心強いですよね。病歴だけでなく、予防接種を受けたかどうか、必要な健康診断の情報提供など、健康を丸ごと引き受けてくれる医師を、ぜひ見つけてほしいと思います。

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