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田村 朋子 院長の独自取材記事

みなみ内科ライフケアクリニック

(広島市南区/南区役所前駅)

最終更新日:2022/08/01

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「みなみ内科ライフケアクリニック」は広島市南区を走る国道2号線沿いに建つビル、産業文化センターの12階。待合室の大きな窓には広島市街のパノラマ眺望が広がり、安芸の宮島も望める。院長の田村朋子先生は糖尿病治療を専門とし、広島大学病院や広島鉄道病院などで研鑽を積んだのち2015年に開業。糖尿病治療に取り組む患者や、内科全般の幅広い症状に対応する。ライフケアクリニックという名称に「診療を通して患者さんの人生を応援したい」という信条を託したという田村先生に、医師をめざしたきっかけや患者の健康になる力を引き出す治療のあり方を聞いた。

(取材日2022年6月16日)

患者の悩みに寄り添い、幸せな未来をめざす医療

広島市街が一望できる、すてきなクリニックですね。

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ありがとうございます。これほど高層階にあるクリニックは珍しいかもしれませんね。ここは先代の院長先生が内科をされていた場所です。私も非常勤で診療していた時期があり、こういう場所で働けたらすてきだなと思っていたら、院長先生が勇退されるにあたり引き継ぐお話をいただき、2015年に開業しました。糖尿病の治療に取り組む患者さんには長く通院していただくことになりますから、癒やしの空間でありたいですね。診察室の絵を毎月かけ替えて患者さんに楽しんでいただいていますし、待合室に置いている胡蝶蘭は、花の世話が上手なスタッフが毎年、咲かせてくれるんですよ。患者さんと一緒にこの景色を見ながら、幸せな未来に向かいたいと思っています。

先生が医師を志したきっかけを教えてください。

私の母が姉を出産する時に医学的なトラブルがあり、姉は残念ながら生まれてこられませんでした。それ以来、母は医療不信になってしまったんです。母は医者にかかりたくないという思いから予防医学を勉強し、家族が病気にならないよう食事や生活習慣に気を遣ってくれました。おかげで私はあまり医療と関わらずに育ちました。私は生物や宇宙にも興味があったのですが、その関心が人体にも向かうようになり、病気で困っている人の体の中で何が起きているのかを知りたくなったんです。それに母は具合が悪くても病院に行きたがらないので、それなら私が母の主治医になろうと思いました。ですから私の原点は、母が診療を受けたいと思うような、患者さんの心の痛みがわかる医師になりたいという気持ちなんです。

医師として勤務しながら大学院でも研究されていました。

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はい。広島大学病院での研修医を経て勤務した島根県の病院は、他の病院に比べて医師が多くなかったので、診療科を超えて幅広く診療をカバーする必要がありました。私もそういう経験をする中で、骨折された患者さんに自覚のない糖尿病が見つかるケースがよくあり、糖尿病を放置していると骨折しやすくなるのだろうか……と感じていたんです。当時はまだ糖尿病と骨折は関連があるとは言われていませんでしたから、研究してみたいと思い、広島大学の大学院で取り組むことにしました。誰も研究したことないテーマだったので大変でしたが、興味があったのでやりがいがありましたね。何年もかかりましたけれど、恩師に導いていただき学位を取得することができました。

コーチングを取り入れ、患者の治療意欲を高める

大学院での研究をきっかけに糖尿病治療を専門にされたのですか。

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実は、その前から関心はあったんです。研修医時代の恩師が糖尿病診療のエキスパートとして活躍されているのを見て、あんなふうに頑張りたいと思ったことが理由の1つです。また、糖尿病の治療は薬を処方するだけではなく、食事や生活習慣とも関わりが深いですから、主婦として培った感覚や情報をフィードバックできるんじゃないかと思いました。生活の中に運動を取り入れるヒントや、治療食だって工夫すればカロリーを抑えておいしくできますよ、という提案をしていきたいと考えています。「今の季節は、こんな食材が手に入りやすいですよ」なんて情報も患者さんにお伝えしています。

糖尿病診療にコーチングを取り入れていらっしゃいます。

そうなんです。コーチングと出会ったのは、娘たちが受験の時に通っていた塾です。親は子どもに「勉強しなさい」と言いがちですが、塾の先生たちは生徒のモチベーションを引き上げて、勉強するように導くのが上手でした。このコーチングマインドは医療にも取り入れられると思ったんです。糖尿病の患者さんの中には、食事制限のストレスで心が折れてしまう方もいらっしゃいます。そういう患者さんの心を立て直し、励ますのにコーチングを生かしています。例えば、上司との関係がうまくいかなくて、やけ食いしてしまうという方がいたら「どうせ無理だと諦めずに、できることを一緒に考えましょう」とアドバイスします。考え方や、ものの見方を変えてみることも提案しながら、患者さんの人生や生命に寄り添う治療をしたいですね。

患者さんがめいらないように励ますのも大事なことなのですね。

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はい。スポーツでも良いコーチは「もっと練習しろ」とか「気合いが足りないぞ」とかは言わないものです。私がコーチングの名手だと思う大学陸上部の監督がいるのですが、その監督は走っている選手に「格好いいぞ!」、「ベストタイムだ!」と声をかけてらっしゃるんですよ。選手はきっと気持ちいいと思います。私も患者さんと一緒に走るコーチでありたいですし、そのためには「血糖値が高すぎますよ」と言うよりも、血糖値をコントロールして健康を維持すると、こんなことができますよ、という未来にフォーカスしていきたいです。例えば、お嬢さんのいる患者さんには「10年後は成人式です。その時、健康でお嬢さんのすてきな振り袖姿を見たいですね」というように。症状を改善するのはもちろんですが、患者さんの人生がより良いものになるように応援したいと思っています。

患者との対話を重ね、健康な人生を応援する

印象に残る患者さんのエピソードはありますか?

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体調不良で来られた女性患者さんなのですが、話を聞くとご主人との関係にストレスを感じていらっしゃる様子でした。この患者さんにはリフレーミングと言って、ものの見方を変えてみることを勧めてみました。「一緒に幸せになろうと誓い合った仲ですから。ご主人の良いところを見直してみたら?」とアドバイスしたんです。これがご夫婦の関係を再構築するきっかけになったようです。また、糖尿病の患者さんが生活習慣を改善し数値が安定すると、やはりうれしいですね。一人ひとりの患者さんが持っている、健康になる力を引き出したいと考えています。

一般内科において、最近、目立つ症状はありますか?

子育て中のお母さんの体調不良が増えているのを感じます。仕事も育児も家事も頑張り過ぎて体が悲鳴をあげ、だるい、疲れが取れない、ふらつきなどに悩んで来院されるのです。このように病気とは言えないけれど体調不良がある状態を未病と言いますが、不調の改善が期待できそうな漢方薬を処方したり、「私はこんなふうに家事を手抜きしましたよ」とお話ししたりします。完璧でなければいけない、というこだわりから解放してあげたいですね。そして「頑張ってますね、無理しなくていいですよ」というふうにほめてあげます。私も経験がありますが、育児や家事は誰も褒めてくれないですからね。でも、お子さんはいつか「ありがとう」と言ってくれます。私もそうでした。だからその時までお母さんたちには元気でいてほしいんです。

糖尿病診療では漢方も取り入れられています。

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漢方は患者さんにとって、どんな時にどう使うべきなのかわかりづらいと思いますが、糖尿病診療にも有用なのです。実はそれを知っていただくためにも「フローチャート 糖尿病漢方薬」という本を執筆しました。漢方に精通されていてとても尊敬している先生からお声がけいただき、ありがたくお受けしました。漢方が糖尿病治療においてどう適しているのか、できるだけわかりやすく表現していますので、この本を通して理解を深めていただければうれしいです。

最後に読者へ一言お願いします。

私たちは患者さんのお話をよく伺うようにしています。旅行が好きだという方には「インシュリン注射を携帯しないで旅行がしたい」というように目標を持っていただくことで、治療に取り組む気持ちを高めていただきます。良いことは一緒に喜びますし、残念なことは私も悔しい思いです。そうやって患者さんに寄り添っていきたいですね。健康は何よりの財産です。やりたいことにチャレンジできる、幸せな人生のために一緒に健康づくりをしましょう。

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