簗詰 友美 院長の独自取材記事
ゆみレディースクリニック
(鹿児島市/いづろ通駅)
最終更新日:2024/03/08

天文館・御着屋交差点近く、郵便局の2階に「ゆみレディースクリニック」はある。院長の簗詰(やなづめ)友美先生を筆頭に、看護師、事務員などスタッフは全員女性で、幅広い年代の女性の健康をサポートしている。診療領域も幅広く子宮頸がん検診などの婦人科検診や、月経不順、月経痛、更年期の悩み、デリケートゾーンのトラブルやリンパ浮腫のケア、20週前後までの妊娠の診断、医療脱毛まで対応している。休日には3人の子どもたちとバドミントンを楽しむという簗詰院長に話を聞いた。
(取材日2023年12月27日)
女性ならではの共感力で、心と体に寄り添うクリニック
医師をめざした理由と、開業までの経緯を教えてください。

きっかけは、祖母の病気です。変化していく祖母と接するうちに、人生を最期まで人間らしく謳歌するための医療に携わりたいと思ったのです。島根大学医学部で学ぶうち、直接患者さんと関わりながら、内科的・外科的なアプローチの両方ができ、出産の瞬間に立ち会える産婦人科に魅力を感じました。卒業後は鹿児島大学産婦人科に入局し、その後も転勤で都城や奄美大島、鹿児島医療センターなどで勤務しましたが、子育てや家のことが忙しくなったタイミングで退職しました。個人病院にも勤務しましたが、一人の患者さんを長く継続して診ていきたいと思い、2015年に開業しました。多くの女性が集まる百貨店にも近く、バスのターミナル的な場所がすぐそばというこの場所に決めたのも、気軽に相談に来ていただきたいという思いからなんですよ。
診療で大切にしていることを教えてください。
同じ女性として患者さんの気持ちに共感し、悩みに寄り添うことです。すべての病気を患者さんと共有することはできませんが、共感できることはあると思っています。私自身、学生時代は重い月経痛や月経不順、不正出血などに悩んでいました。今思えばホルモンバランスの乱れによる機能性月経困難症です。今もし同じような患者さんがいれば、治療の選択肢として低用量ピルの処方を提案します。患者さんの中にはピルとは避妊薬だと認識している方もいますが、必ずしもそうではありません。低用量ピルには避妊を目的として自費のもの、月経困難症や子宮内膜症に伴う疼痛の治療を目的とした保険適用のものがあるのです。月経痛などの月経困難症への低用量ピルの服用は若い世代を中心に広まりつつあります。治療法を先入観で判断せず、検討してほしいですね。
患者さんに説明する際に心がけていることは何ですか?

当院では疾患の特徴や症状について書かれたパンフレットをお渡しし、お話しするようにしています。医学的な知識を口頭で伝えるだけではわかりにくいですからね。その上で患者さんの現状・既往症・ご希望を伺い、選択肢をお伝えします。例えば、更年期障害の場合、糖尿病の既往がある方や乳がんの方では、そもそもホルモン剤は使用できません。こうした補足情報を書き加えながら、治療法を限定することなく説明するようにしています。
がん治療後に発症しやすいリンパ浮腫もケア
「リンパ浮腫」の治療にも力を入れていらっしゃいますね。

リンパ浮腫とは、がんの術後に発症しやすい合併症です。婦人科系のがんの術後に多く、手術でリンパ節を取り除いたり、放射線治療によってリンパの流れが停滞することが原因といわれています。せっかくがんが治ったと思っても、リンパ浮腫によって日常生活に支障が出る方もいます。それを少しでも軽減し、快適な生活のお手伝いができればと思っています。発症時期には個人差があり、手術直後から発症することもあれば、時間が経過してから発症することもあります。少しでも足の痛みや違和感があれば、すぐに来院することをお勧めします。リンパ浮腫は一度発症すると治りにくいのですが、ケアによって進行を抑えることは期待できます。早めにケアを始めることが何より大切です。
こちらにはリンパ浮腫のケアを専門にしているスタッフがいるそうですね。
リンパ浮腫ケアを専門的に学んだスタッフが在籍しています。個人クリニックではあまりいないと思います。私は開業前、がん治療に従事する中で、合併症に悩む方を多く見ました。当院でもそうした方に少しでも寄り添いたいとの思いから採用しています。提供しているのが「用手的リンパドレナージ」というマッサージです。リンパ液の流れが滞っている部分に脇道を作り、正常に機能しているリンパ節にリンパ液を誘導するための手技です。当院では1回60~90分、自由診療で行っています。美容を目的としたエステでも「リンパマッサージ」「リンパドレナージ」などのメニューを目にするかもしれませんね。しかし、これらはリンパ節がないような状況を想定していません。医療用途は根本的に違うものです。
子宮がん検診に力を入れていらっしゃるのですね。

子宮がんには、「子宮頸(けい)がん」と、更年期に多い「子宮体(たい)がん」があります。子宮体がんは不正出血がなければ、更年期から注意が必要な病気です。でも、子宮頸がんは一度でも性交渉の経験があればリスクがあり、10代で発症するケースもあります。そのため早期発見が何より重要です。特に若い世代にがん検診の大切さを知ってもらいたいですね。子宮頸がんにはワクチンがあります。副作用が大きく報じられ、「積極的な接種勧奨」はストップしていましたが、2022年4月に再開されました。しかし、いまだに認知が進んでいません。さらに、定期接種の対象年齢でありながらワクチン接種の機会を逃した平成9年度から平成18年度生まれの女性を対象に「キャッチアップ接種」が現在行われています。忘れずに接種していただきたいですね。
悩みや不安は一人で抱えず、気軽に相談を
幅広い世代の方が来院されているそうですね。

20代から40代までさまざまです。最近は中高生など若年層の患者さんが特に増えています。推察するに悩みを相談しやすくなったからではないでしょうか。良い傾向ですね。診察ではまず、例えば更年期の疑いがある方であれば、ホルモン採血で甲状腺に異常がないか検査を行います。加えてリウマチなど別の疾患である可能性を否定するため、関節痛や手指の痛みなどがあれば整形外科や膠原病内科、動悸や血圧が不安定な人には循環器内科などを受診してもらいます。治療に関しても、症状に個人差があることからケースバイケースです。更年期の症状はホルモン補充療法を用いる場合も多いですが、当院では症状に合わせて漢方薬の処方から入ることもできます。
更年期の症状に個人差があるのはなぜでしょう?
年齢を重ね、卵巣機能の働きが低下しエストロゲンの分泌が減少、ホルモンのバランスが崩れて、さまざまな不調につながります。症状の個人差として一つ考えられているのがエストロゲンと似た働きをするエクオールです。エクオールは大豆などに含まれるイソフラボンと腸内細菌の働きによって体内で作られる成分のこと。このエクオールを作れるかどうかには個人差があり、日本人女性の約50%に及ぶ人しか作れないとされます。そしてエクオールを作れない体質の人は更年期症状も出やすい傾向があるといわれているのです。エクオールを作れる体質かどうかは簡単に調べることができます。エクオールを作れる人なら、1日あたり豆乳1杯、もしくは納豆1パック程度食べれば十分、作れない人はサプリメントで補うことなどをお勧めします。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

開業して感じたのは、女性器の悩みを相談できず、放置し、つらい思いをしている方が多いこと。女性の体は常に変化していくものです。こうした悩みに限らず、生活に支障が出るのであれば、気軽に相談してください。また、夏休み後の9月は、特に子育てのストレスが重なって不正出血が出るお母さんが増えたりもします。「わかるわかる、忙しくなるよね~」とお話ししながら相談に乗りますよ。当院では、必要に応じて、その都度適切な医療機関を紹介できますし、万一悪性の病気が疑われる場合には、必要な検査をできる限り迅速に行います。婦人科のかかりつけ医として、活用していただけるとうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはリンパ浮腫に対する用手的リンパドレナージ/6600円(1回90分)
VIO脱毛(初回)/2万5300円
VIO脱毛(2回目以降)/2万2000円
両脇脱毛/5000円