なぜ起こる? どう治療する?
アレルギー疾患
百合が丘すみれクリニック
(川崎市麻生区/百合ヶ丘駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
日本に限らず、世界的に先進国の間で増加傾向にあるというアレルギー疾患。乳児期から発症する場合もあれば、30代、40代になって発症するケースも珍しくない。花粉症などは今や国民病といえるほどの規模に広がり、天気予報で花粉情報が流れるのが今や当たり前になっている。人から人へ感染するわけでもないのに、誰もがかかる可能性がある身近な病気であることから、メディアに取り上げられる機会も多いが、意外にもその原因について勘違いされている部分があるという。アレルギーを引き起こす原因とその治療法、セルフディフェンスについて、「百合が丘すみれクリニック」の松浦健太郎院長に話を聞いた。
(取材日2016年3月23日)
目次
花粉症も気管支喘息もアトピー性皮膚炎も、別々ではなくすべて同じ原因の疾患と捉えることが大切。
- Qアレルギーはなぜ引き起こされるのですか?
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A
人間の体には、外から体内に入り込む有害な物質を防御するメカニズムが備わっています。その防御機能が、有害ではない特定の物質に対して過剰反応するのがアレルギーです。例えば花粉症で言うと、体に入ってきた花粉を撃退しようと過剰に反応した結果、くしゃみや鼻水といった不快なアレルギーの症状が出てくるわけですね。アレルギーの原因物質をアレルゲンと言いますが、例えば花粉症のアレルゲンは植物の花粉で、気管支喘息のアレルゲンはダニやホコリなどです。人によって、また症状によってアレルゲンは異なりますが、実は細胞レベルで見ると同じことが起きていて、元をたどるとそうした反応が起きる原因は体質にあると考えられています。
- Qアレルギー疾患にはどのようなものがありますか?
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A
多いのは、やはりアレルギー性鼻炎・結膜炎の花粉症。その他、気管支喘息、蕁麻疹(じんましん)、アレルギー性の副鼻腔炎、食物アレルギーなどいろいろありますが、「気管支喘息があると花粉症にならない」などと思い込んでいる方が意外といらっしゃいます。でも、アレルギー疾患は体質によって起こるもので、人によってたまたま強く症状が気管に出たり皮膚に出たりするものであり、複数の疾患にかかっているケースもあって当然です。ご自身で花粉症はないと言っていても、診察すると鼻炎があることも珍しくありません。ですから、花粉症でも気管支喘息でも、個別の疾患ではなくアレルギー体質という全体の疾患として捉えることが大切なのです。
- Qこちらではどのような治療を行っているのですか?
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A
花粉症なら花粉症だけを診るのではなく、鼻の粘膜や呼吸器まで総合的に診て治療していくのが当院の基本です。その上で、花粉症では、初期予防治療を重視しています。症状に合わせて内服薬や点鼻薬をお出ししますが、舌下免疫療法という舌の裏に薬を滴下する治療法の導入も検討中です。気管支喘息に関しては、必要に応じてレントゲンでの肺の検査、専用の機械での呼吸器機能チェック、採血によるアレルギー検査などを行い、症状の重さや生活スタイルに合わせて飲み薬、吸入薬、貼り薬など適切なものを処方します。吸入薬は使い方により効果が十分に出ないこともありますが、当院は院内薬局ということもあり、直接ご指導させていただいています。
- Q日常生活で気を付けられることはありますか?
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A
規則正しい生活で体の負担を減らすことと、できるだけストレスを発散させて心の負担を減らすことが大切です。もちろん、血液検査でアレルゲンを特定して、できるだけ取り除くのも効果的。花粉症なら外出時のマスクやメガネ、食物アレルギーならアレルゲンとなる食材を控える、気管支喘息ならこまめな掃除などです。ホコリがたまりやすいので、古い書物をしまい込んだり必要なければ処分したりするのもいいと思います。ただ、あまり神経質になりすぎるとストレスがたまり、かえって症状を重くすることになりかねません。アレルギー対策に汲々とするよりも、ご自宅ではなるべくのんびりとすごすことを心がけましょう。