松浦 健太郎 院長の独自取材記事
百合が丘すみれクリニック
(川崎市麻生区/百合ヶ丘駅)
最終更新日:2024/11/11
百合ヶ丘駅よりバスで5分の住宅街にある「百合が丘すみれクリニック」。地域の子どもから高齢者までの3〜4世代にわたって親しまれているクリニックだ。2024年には近隣に移転し、診察室を2部屋に増設。待ち時間が短縮され、よりスムーズな受診が可能となった。松浦健太郎院長は常勤の女性医師とタッグを組みながら、発熱や生活習慣病をはじめとする内科一般から、呼吸器・アレルギー疾患、小児科、小児耳鼻咽喉科、訪問診療などまで幅広く、それぞれの専門性を生かしながらきめ細かな診療の提供に努めている。「自分の家族を診る目線で患者さんと接することを大切にしています」と話す松浦院長に、診療へかける想いを聞いた。
(取材日2024年2月21日)
4世代の家族全員のプライマリケアを担うことが目標
こちらは、どのようなクリニックですか?
内科と呼吸器内科、アレルギー科、小児科、小児耳鼻咽喉科を標榜していますが、プライマリケア、つまり診療科目にとらわれず、小さなお子さんから高齢者までどのようなことでも相談できるホームドクターとして、気軽に立ち寄っていただけるようなクリニックをめざしています。私は、血液内科の知識もありますので、貧血などを専門的に診ることができます。また、訪問診療も行っています。お子さんに関しては、風邪やアレルギー、喘息、鼻炎など幅広く診療しています。例えば、鼻の症状に対しては内科と耳鼻科の両方の視点から治療できるので、便利に利用していただければと思います。必要な時には、近隣の大学病院などを紹介することも、もちろんしています。地域のご家族が3〜4世代で一緒にかかっていただいていることも多く、お孫さんの診察のついでに、おばあちゃんを診させていただいたりもしていますね。
院長の他に、医師がもう1人いるそうですね。
勤務医時代からの知り合いの、遠藤先生という女性医師が一緒に診察しています。遠藤先生は一般的な内科に加えて、呼吸器内科とアレルギー科が専門です。喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患、アレルギー疾患の患者さんは遠藤先生に主に担当してもらっています。その他の症状には私というように、それぞれの得意分野に応じて診療できるところが当クリニックの特色ともいえますね。女性の医師、あるいは男性の医師が良いという希望にも応えることができます。実は、当クリニックの「すみれ」という名前は、遠藤先生が以前院長をしていた「中原すみれクリニック」からいただいた名前なんです。優しい響きがイメージに合っていると思っています。
最近、移転したと伺いました。
移転したといってもすぐそばですので、患者さんは今までどおりにご利用いただけると思います。移転前は、医師が2人いるのに診察室が1つしかなく、それが患者さんをお待たせする原因にもなっていました。現在は基本的に二診制で診察していますので、それだけ待ち時間も少なくなってきています。待合室の広さはそれほど変わっていませんが、処置室が少し広くなって、防音室も設置しました。以前は聴力検査をする時は、辺りが静まってから来てもらって行っていましたが、現在は通常の診察時間内に聴力検査ができます。これまでも行ってきましたが、腹痛や頸動脈の動脈硬化などに対する超音波検査も、より積極的に活用したいと考えています。
咳喘息などにも専門知識を生かして対応
力を入れていることはありますか?
咳喘息の治療です。咳は夜眠れない原因にもなり得ますし、講義や映画館で咳をしてはいけなかったり、新型コロナウイルス感染症の流行で電車に乗っている時に咳をすると嫌な顔をされたりすることもあり、心身ともに負担の大きな症状です。喘息のように薬での治療が難しい病気や、風邪だと思っていても違う疾患であることも少なくありませんが、適切でない薬を服用して長引いてしまっている患者さんは意外と多いように思います。原因を突き止めて適切に治療をすることで、咳に苦しんでいる患者さんの少しでも早い回復につなげたいと思い、診療にあたっています。
こちらではBスポット療法に注力されているそうですが、これはどのような治療なのでしょう。
別名「上咽頭擦過治療(EAT)」とも呼ばれ、上咽頭炎に対して行われる治療です。上咽頭とは鼻腔の一番奥の突き当り、口蓋垂の裏側にあたる部分で、奥まった場所にあるため目で見ることはできません。鼻や口から入ってきた細菌やウイルス、ほこりなどが付着しやすい場所で、それらの原因によって炎症が起きている状態を上咽頭炎といいます。治療では、塩化亜鉛などの消炎剤を染みこませた長い綿棒を鼻や口から入れて、直接上咽頭にこすりつけて炎症の消炎を図ります。喉の腫れや痛み、咳、たん、鼻水、鼻詰まりといった風邪症状や後鼻漏(こうびろう)が上咽頭炎の主な症状ですが、中には頭痛や肩・首の凝りを訴える方もいます。喉の奥の違和感や風邪の症状が長引いてお困りの方は、一度Bスポット療法を試してみるといいかもしれません。
スムーズな受診のためにいろんな工夫をされているとか。
はい。二診制を採用し、あとは予約の取り方も工夫しています。インターネットでの当日順番予約を導入していますが、当院は小さなお子さんから高齢者まで幅広い年齢層の方にご来院いただいていることもあって、当日順番予約を最優先にすると、高齢の方などインターネット利用が困難な患者さんが予約なしで来院された場合、長くお待たせしてしまいかねません。そのため、現在は朝の9時から30分間と午後の診察開始から30分間は、予約を入れずに受付順で診察をしています。高齢者は朝早く受診する人も多いので、うまく活用していただけているようです。3〜4世代を診ていくのですから、お子さんも大切ですし、高齢者にも優しいシステムにする必要があると思っています。予約時は私と遠藤先生で希望する医師を選んでもらえるようにもしているんです。
誠実に患者の立場から診ることを大切に
診療の際に心がけていることはありますか?
常に自分の家族と同じように診ることを心がけています。気になる症状があるから医療機関へ足を運んだのに、大したことはないと冷たい対応をされてしまうと、悲しい気持ちになってしまいますよね。私は、つらい人には何とかしてあげたいと思いますし、特に体調が悪ければより一層つらいでしょうから、より優しい気持ちで接したいです。また、専門分野に特化せず、総合的に診ることも大切にしています。内科についてはどのような病気でも一通り診られるように経験を積んできましたが、生活習慣病で受診している患者さんが膝の痛みを訴えるのであれば、専門外だからと断るのではなく、エックス線撮影をして痛みを緩和するための薬を処方するなど、できる限りの対応をするようにしています。とにかく誠実に、患者さんの立場から診ることを大切にしています。
ところで、先生が医師を志したきっかけを教えてください。
私自身が小さい頃から病気がちだったんです。小学2年生の時には川崎病で入院したこともありました。川崎病は、多くは4歳以下で発症するのでちょっとまれなケースでしたね。その時の主治医がとても頼れる先生で、子ども心に格好いいなとも思っていました。また、両親が歯科医師でしたから、医療を身近に感じていたことも大きな理由です。両親の知り合いにも医師が多かったので、困ったことや心配なことがあると頼れる安心感がありました。このように、周りに素晴らしい医師がたくさんいて、私もそんな医師になりたいと憧れて医療の道に進むことにしました。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
小さなお子さんから年配の方まで、通院できなくなった方は訪問診療を行いながら、すべての世代を診ていくことが目標です。少し大げさですが、私の医師人生をこの地域に捧げる意気込みで取り組んでいますので、それを地道に続けていきたいです。厚生労働省が昨年公表したデータによると、麻生区は男女ともに平均寿命が全国で最も長く、長寿日本一なのだそうです。それに貢献できるよう、生まれた時から100歳、110歳、120歳の方まで診ていくという方針を今後も引き続き掲げていきます。お子さんのこと、ご自身のこと、高齢のご両親のこと、なんでも気兼ねなく相談してください。どのような症状でもまずはお話を聞き、当院で診られない場合は適切な医療機関に紹介します。当院は近隣の保育園や幼稚園の園医や小学校の校医もしていますし、身近な町のかかりつけ医として地域の役に立ちたいと思っていますので、気軽にご利用ください。