骨折しやすくなる骨粗しょう症
進行予防には早期の骨密度検査が鍵
アサコ整形外科・リウマチクリニック
(豊中市/少路駅)
最終更新日:2024/11/11
- 保険診療
骨粗しょう症とは、骨の強度を示す骨密度が低下したり、骨質が劣化したりすることで骨がすかすかになり、強度が低下する疾患だ。骨粗しょう症になると、日常のちょっとした動作や転倒でも骨折しやすくなる。骨折部位によっては生活の質が著しく低下し、特に高齢者であれば寝たきり状態になるリスクも高い。にもかかわらず、「国内で1000万人以上の患者さんがいると推定されながら、実際に治療を受けている方は少ないのが現状です」と「アサコ整形外科・リウマチクリニック」の朝子晃憲院長は警鐘を鳴らす。同院では開院当初から骨粗しょう症の検査・治療に注力し、リハビリテーションでは専門知識を持つスタッフがチームでサポートを行う。今回は朝子院長に、この病気の注意点や、同院で取り組む骨粗しょう症治療の特徴について話を聞いた。
(取材日2024年10月17日)
目次
生活の質の低下を招き、寝たきり状態になるリスクも。骨折する前に検査を受け、いち早く必要な対策の開始を
- Q骨粗しょう症で現れる症状や、気をつけるべきことはありますか?
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A
ご高齢の方で骨粗しょう症が進行すると、身長が縮む、背中や腰が曲がるなどの症状を伴うことがありますが、若い方の場合はほぼ自覚症状がありません。骨が成長し完成する若い時期に偏食や無理なダイエットを繰り返すと、しっかりとした骨が形成されず、骨粗しょう症が起こるリスクが高くなるので気をつけていただきたいですね。また、カルシウムの吸収を促すビタミンDは、日光を浴びることで体内生成される割合が多く、食事からは必要量の2~3割しか摂取できないため、極端に日差しを避ける生活もお勧めしません。この他、カルシウムの吸収率が低下する糖尿病や腎臓病などの方、病気の影響で痩せている方も骨粗しょう症への注意が必要です。
- Q受診のタイミングを教えてください。
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A
少し前までは、骨密度が低下して骨粗しょう症になっているのに気づかず、骨折してから受診される方がたくさんいらっしゃいました。しかし、1回でも骨折すると、再骨折を繰り返す「骨折スパイラル」と呼ばれる状態に陥るリスクがあるので、早めに一度検査を受けていただきたいです。積極的に骨密度検査を受けることで、自分の骨の状態を知り、必要に応じて改善のための取り組みを早期に始めることが大切です。当院のある豊中市をはじめ多くの自治体で、40~70歳まで5年ごとに骨粗しょう症検診を受けられます。それ以外で自分から検査を受けるとある程度費用がかかるので、助成のある自治体の検診を活用していただきたいですね。
- Q骨粗しょう症ではどのような検査や治療を行うのですか?
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A
近年は、脊椎と股関節の骨密度が測定できる「DEXA(デキサ)法」と呼ばれる方式を用いて、骨密度を測定することが推奨されています。これは精度の高い骨密度の測定法の一つで、測定の結果、骨密度に問題があると考えられる場合は、さらに血液検査で骨代謝を調べます。骨代謝とは、古くなった骨を壊して新しい骨を作るという、本来体に備わっている機能のことです。加齢などによって壊す機能が作る機能を上回ると、骨が次第にすかすかになり、骨粗しょう症が進行してしまいます。骨密度が低下していても骨代謝に問題がない方は、まずは食事や運動などによる生活改善をめざします。一方、骨代謝に問題がある方には薬を使った治療を行います。
- Q早期発見と治療がやはり大切なのですね。
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A
そうですね。自治体の検診が40歳からとなっていることからもわかるように、早くから自分の骨の状態を知り、早めに対策を始めることが大切です。治療をする際に、いつまで薬を続けるのか治療期間を気にされる方や、費用が心配で途中でやめてしまう方もおられますが、生涯薬を続けなければならないとは限りません。定期的に検査を行い、その数値次第では、チェックは継続するものの投薬をいったん中断する選択肢もあり得ます。費用の問題に関しても、ジェネリック医薬品を選んだり、医療費控除や補助を活用したりするなど、継続できる方法を検討していただけたらと思います。くれぐれも自己判断で治療をやめるのは避けましょう。
- Qこちらの骨粗しょう症の検査・治療にはどんな特徴がありますか?
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A
私に加え、骨粗しょう症の専門知識を持つ看護師や理学療法士が一つのリハビリチームとして、患者さんをサポートできることが大きな強みです。例えば、骨折した方に対しては、転倒予防対策として速やかに理学療法士によるリハビリを開始します。また、検査画像の解析については、同じ放射線技師が担当することで評価のばらつきが少なく、より正確な診断につながっていると自負しています。開院以降、スタッフの専門知識の充実度が増し、より熱心に研鑽に励む好循環が生まれており、患者さんにもしっかり説明が行えていると感じます。熱意が伝わるのか、骨粗しょう症検診で要精密検査となった場合、ほぼ皆さん再検査を受けてくださいますね。