矢島 哲郎 院長の独自取材記事
やじまデンタルクリニック
(千葉市稲毛区/稲毛駅)
最終更新日:2024/11/07
稲毛駅から徒歩10分。県道133号線の大通りから1本入った住宅街に立つ「やじまデンタルクリニック」は、矢島哲郎(てつお)院長が大学院生時代に勤務していた「しほデンタルクリニック」を引き継ぐかたちで、2014年に開業。2018年に改称し、現在のクリニック名となった。矢島院長は、もしも自分が患者だったらどんな歯科診療を受けたいか、患者が親族だったらどんな治療をしようと考えるかを念頭に治療法を提案しているそうだ。歯を削って詰める治療においては、自分が作った歯を末永く使ってほしいという思いから、拡大鏡で見ながら丁寧に作業していく。そんな矢島院長に治療をする上で大切にしていることや、これから力を入れていきたいことについて詳しく話を聞いた。
(取材日2022年7月1日)
歯を失わせないことを理念にデンタルIQの向上に注力
こちらで開業された経緯を教えてください。
大学院時代、勉強を兼ねて週に1回ある歯科医院で勤務させていただいていました。それがここの前身である「しほデンタルクリニック」だったのです。他界された先代院長の詩穂先生の遺志を継ぐため、またクリニックを慕ってくださる地域の方々に貢献したいという気持ちが強くあったため、2014年に引き継ぐかたちで開業し、2018年に現在のクリニック名に改称しました。詩穂院長が体調を崩された後の数年間は、もともと私の専門分野である口腔外科だけでなく、一般歯科まで範囲を広げて対応してきましたので、現在はオールマイティーに診療できるようになりました。その時期の経験が、今の自分の診療スタイルにつながっていると思います。
患者さんの層について伺います。
クリニック周辺は住宅が多く、近くには学校や保育園もあるので、小さなお子さんから働き世代、高齢の方まで、幅広い年齢層の方々に来ていただいています。当院は一般歯科はもちろん、予防歯科や矯正歯科など総合的に診療しているため、来院される理由も定期検診とか、痛みが出て噛めないとかいろいろですね。頻繁に通える方や将来歯がボロボロになる可能性の高い方には積極的な治療を、高齢の方など多くは通えない方には少ない来院で済むように現状を維持する治療といったように、患者さんのライフスタイル・年齢・体調などに合わせて提案させていただいています。
先生が大事にしている理念は何ですか?
患者さんの歯を失わせないことを理念としています。しかし、自分の口腔内に興味のない人は、どんなに治療をしても虫歯を繰り返し、一向に状態が良くならない傾向にあります。そのままでは歯を失いかねないので、まずは興味を持ってもらうために「この歯はあと数年で悪くなり、そうなると治療にこれだけの費用がかかってしまいます」などと、現状と将来の予測を説明して、患者さんのデンタルIQの向上をめざしています。デンタルIQとは歯科についての正しい知識を持っているか、口腔内の健康を大切にしているかを示す指標です。デンタルIQが向上して、自ら積極的に定期検診や治療をしに来てくださるようになるとうれしく感じますね。診療の際には一方的に治療を押しつけるのではなく、もしも自分が患者さんの立場だったらどんな治療を受けたいか、患者さんが親族だったらどんな治療を提案するか、そんな視点を持つように心がけています。
小さい頃から歯列や噛み合わせを整えておくことが大事
そもそも歯科医師をめざされたきっかけを教えてください。
父が小児科、母が内科の医師で、私が3歳の時に東京で開業してから、現在も多くの患者さんを診ています。患者さんから感謝されている姿を見るのは、やはり子どもながらにうれしく誇らしかったですね。そして自分も同様に医療関係に進もうと思い、東京歯科大学に入学したのです。大学卒業前にさまざまな科をローテートした中で、口腔外科は親知らずを抜くとか口内炎を治すといった診療内容から、治療結果が見えやすい分野だと思い選択しました。実際に歯科医師となり診療をするようになってからは、治療をしてもまた虫歯ができる患者さんが多いことに強い疑問を抱くように。原因を探り、噛み合わせや歯並びが悪く磨きにくいことに気がつき、治療だけではなくちゃんと磨ける環境をつくることが大事だと思いました。そのため、当院では特に噛み合わせや矯正の治療に力を入れるようになったのです。
噛み合わせの他に、力を入れている分野は何ですか?
健康な口腔環境を長く維持していただける治療、例えばインプラント治療や小児矯正ですね。虫歯や歯周病などで歯を失ってしまった場合、ブリッジにするかインプラントにするか悩む人も多いかと思います。ヘビースモーカーの人にインプラントを入れても予後は芳しくないという症例も報告されているため、その方の生活環境や健康状態も必ず考慮して選ばなければならないでしょう。しかし、インプラントを入れられる環境が整っていれば、機能性や審美性、ほかの歯への影響といった面からも、私はインプラントが第一選択肢と考えています。ただ、インプラントは治療後のメンテナンスがとても重要で、毎日のセルフケアと定期的な歯科クリニックでのメンテナンスを続けていかないと、インプラント周囲炎が起きることもあります。その点についてもっと啓発していく必要がありますね。
小児矯正の分野ではどのような取り組みをされていますか?
成人になってからの矯正は、抜歯して歯が並ぶスペースをつくることが一般的ですが、小児の場合は成長のタイミングに合わせて顎の幅を広げ、抜歯をしなくてもきちんと永久歯が並ぶスペースをつくることが可能です。そのため、小さなお子さんを持つ親御さんには、矯正は見た目が良くなることはもちろん、将来健康な歯を維持するためにも大事ですよとお話しして、早めのアプローチを提案しています。矯正治療だけではなく、小さいお子さんでも精神的にストレスのかからない範囲でできる、口腔筋機能のトレーニングを行うこともありますよ。
末永く使える歯を提供するため、治療の精度を重視
クリニックの感染症対策について教えてください。
新型コロナウイルス感染症が流行する前から、削る際のしぶきを吸い取る装置・口腔外バキュームを各席に常設したり、先進の滅菌器を使用して器具の滅菌を徹底したり、感染症対策はしっかり行っています。その中でも、特に水にはこだわっていますね。水道水も基本的にはきれいに消毒されていますが、時間がたつと雑菌が増えてしまうことがあるので、水を常に衛生的に保つ歯科用の除菌装置を導入したのです。診療中のうがいの時から手術中まで、診療で使用するのはすべてこの水を使っているので、衛生面は安心していただけるでしょう。
今後の展望と目標を教えてください。
最近、この治療をしたら将来どうなるのか、どのような治療をすると歯が長持ちするのかを、もっと知りたいと思っています。一応、統計や研究によりおおよその結果はわかっていますが、自分自身で実際に治療を行い、20年、30年……、ずっと経過を追っていきたいのです。そのためには、患者さんに「これからも通いたい」「長きにわたって診てもらいたい」と思ってもらえるクリニックをめざし、日々研鑽を積んでいこうと思います。現在すべての診療で拡大鏡を使っているのですが、今後はマイクロスコープとオペ室を導入する予定です。この2つがそろえば、私が考える理想の診療環境になり、より緻密な治療が行えるようになるでしょう。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
歯という組織は再生しないので、一度失ったり削ったりした天然歯は二度と元の状態に戻せません。また、1本でも歯を失えば、噛み合わせのバランスが崩れて他の歯に悪影響を及ぼしてしまいます。「少しくらいなら歯がなくなっても生活には支障ない」と思う方がいるかもしれませんが、噛めないと認知症になりやすいなど、歯は他の病気に影響を及ぼす場合があります。健康で長生きするためには、日頃のセルフケアと歯科医院での定期メンテナンスを実施し、歯の健康状態を維持することが重要なのです。痛みが出てから来院すると、場合によっては抜歯をしなくてはいけないこともありますからね。しばらく歯科医院に行っていないということであれば、痛みがなくてもチェックしに来ていただきたいです。早期発見、早期治療が一番ですから。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/33万円~、インプラント治療/検査・診断料:1万1000円、1本44万円~