加藤 賢史 院長の独自取材記事
さとし耳鼻咽喉科クリニック
(名古屋市守山区/新守山駅)
最終更新日:2025/10/03

新守山駅から車で約5分、住宅街の一角にある、ガラス張りの洗練された外観が特徴の「さとし耳鼻咽喉科クリニック」。陽光が降り注ぐ、開放感あふれる待合スペースではリラックスして過ごすことができるだろう。キッズルームやベビールームなどを備えた院内は全面バリアフリー。地域の子どもから高齢者までさまざまな世代の患者が足を運ぶことへの配慮からである。「病気を診るより人を診たい」と話す加藤賢史院長が何より重視するのは、患者とのコミュニケーション。明るく優しく、話し上手な加藤院長を前にすると、病院に苦手意識を持つ小さな子どもでも笑顔を見せてくれそうだ。そんな思いやりあふれる加藤院長に、同院の特徴や医師としてのモットー、今後の展望など幅広く話を聞いた。
(取材日2025年9月10日)
患者のニーズに合わせた柔軟な診療体制
クリニックの歴史と開業までの経緯を教えてください。

2015年に開業したのでもう10年になりますね。偶然ですが、3月3日の「耳の日」に開業しました(笑)。以前は、大学病院や総合病院の耳鼻咽喉科に勤務していましたが、病院の外来は時間や曜日が限られており、患者さんとじっくり話をする時間がないことに歯がゆさを感じていたんです。私は、手術を極めたり、ウイルスを研究したりすることよりも、人と関わりたくて医師になりました。病院勤務では患者さんと関わる時間がどうしても限られてしまうので、もっと近い距離で接したいという思いが強くなったんです。そこで、一番近くで患者さんをサポートしたいと考え、開業を決意しました。
診療の特色を教えてください。
患者さんのライフスタイルやご希望に寄り添うことです。治療方針は私が一方的に決めるのではなく、患者さんやご家族とよく話し合って決めています。例えば、アレルギーのお薬は、お仕事などで忙しく、頻繁に通院するのが難しい方には多めに処方することも考えます。一方で、こまめに通院できる方や、病気の状態をしっかりと診ていきたい方は、少しずつお渡しして通院間隔を短くする。お薬一つとっても、患者さんの生活に合わせた柔軟な対応を心がけています。もちろん、耳鼻咽喉科の医師として、一般的な症状から専門性の高い治療まで幅広く対応できます。しかし、私は病気だけでなく、「患者さん」を診ることが、かかりつけ医の役割だと考えています。専門外のことでも「こんなことで相談して良いのかな?」と思わず、何でも気軽に話していただきたい。そして地域の方々の相談窓口になれたらうれしいです。
どのような年代の患者さんが多いですか?

小さな子どもから高齢の方まで幅広い方に来院いただいています。風邪、中耳炎、アレルギー性疾患などが多いです。子どもに限らず、雑草の花粉症が多いのは一級河川に挟まれた地域性かもしれませんね。近年増えているのは、お子さんの睡眠時無呼吸症候群です。大人は首回りの脂肪が増えて気道が狭くなるのが原因ですが、子どもは扁桃腺やアデノイドの肥大が原因であることが多いですね。気になる方は受診してみてください。また、お子さんが2人、3人いらっしゃると、上の子を通院させるために下の子も連れて行かなければ……という場合も多くて、お母さんは大変ですよね。授乳できる部屋やキッズスペースを設けるなど、できるだけストレスなく過ごしてもらえるように工夫していますので、気軽に来ていただけるとうれしいです。
病気はもちろん「人」を診て患者に寄り添う
医師をめざした理由を教えてください。

実は高校3年の夏まで進路を決めておらず、漠然と「手に職をつけて人に技術を提供する仕事に就きたい」としか思っていませんでした。人とふれあうことが好きで、小学生の時は弁護士かコメンテーターに憧れていたこともあったのですが、文系の人間じゃないので難しいと悟って諦めました(笑)。そこで、理系で人とふれあえる仕事は何かと考えた時に、医師を思いついたのです。耳鼻咽喉科に進んだのは、私は病気を診るよりも「人」を診たいという気持ちが強くあったためです。いろいろな方とコミュニケーションを取ることを、日々の仕事としたいと思ったのです。その点、耳鼻咽喉科は患者さんの年齢層が広く、老若男女さまざまな患者さんと向き合えます。小さなお子さんと話すこともあれば、高齢の方の手術をする機会もある。そんな幅広さが魅力でこの道を選びました。
医師としてのモットーを教えてください。
とにかく、患者さんとよくお話をすることです。診療中はカルテへの入力はスタッフに任せて、私は患者さんとのお話に集中しています。患者さんからも積極的に話してもらえるよう、会話しやすい雰囲気をつくるように心がけていますね。一見関係ないような雑談からも治療のヒントをもらえたり、他の診療科の病気を疑う兆候を見つけたりといったことも考えられますからね。開業から10年がたち、おかげさまで多くの患者さんに来てもらえるようになりました。これからも、患者さんのお話を伺う時間をしっかり取って、安心してもらえるようにしていきたいですね。また基本的なことですが、患者さんには私から進んであいさつをするようにしています。緊張をほぐしてもらうためで、これはスタッフも同じようにしてくれています。
お子さんの診療で心がけていることは?

なるべく「怖がる治療はしない」というのが方針です。通うのが嫌になって、お母さんに無理やり引きずられながら連れて来られるのは悲しいですから(笑)。もちろん、治療なので痛い思いをさせてしまうこともありますが、最後は笑顔になって帰ってもらい、お子さんが進んで「行こう」と言ってくれるクリニックでありたいですね。お子さんの治療の際は、親御さんではなく本人に直接話しかけるようにしています。子どもが自分で症状を話すことによって、自然と診察に協力してくれるようになることも多いものなんです。お子さんが「さとしに行こう」と言ってくれるようになってくれると、すごくうれしく思えますね。
患者が笑顔で帰れるクリニックをめざす
スタッフさんはどんな方が多いですか?

みんな優しく、物腰がやわらかく、患者さんとも自然にあいさつや会話を交わしてくれます。また、難しい医療の話も、患者さんが理解しやすいように、かみ砕いて説明してくれるんです。院内がほんわかと明るくやわらかな雰囲気なのは、彼女たちのおかげだと思っています。私が何も言わなくても、患者さんへのこまやかな気配りができ、次に何をすべきかを考えて行動してくれるので、私はほとんど指示を出す必要がありません。医療人としてのスキルはもちろん、彼女たちは「人として」の温かさや優しさが本当に素晴らしい。私はスタッフに恵まれていると感じていますし、心から感謝しています。彼女たちと一緒だからこそ、安心して診療することができています。
今後の展望を教えてください。
10年、15年後も今の状態を望んでいます。通ってくださる患者さん、そして素晴らしいスタッフに囲まれて、このままの状況を維持できるのが一番。よく「野心がない」と言われるのですが、複数院の運営には興味がありません。自分の目が届かなくなり、一人ひとりの患者さんと向き合えなくなるのは嫌なんです。開業から10年がたち、昔小さかったお子さんが高校生や大学生になり、「もうこんなに大きくなったのか!」と驚くことが増えました。敬語で話してくれた時は、なんだか寂しいようなうれしいような、不思議な気分になります。患者さんの成長を見守れるのは、医師として本当にありがたく、うれしい瞬間ですね。「痛くなくなった」「ありがとう」と言われたくて医師になったので、その喜びをいつまでも感じられるように、これからも初心を大切にしていきます。
読者へメッセージをお願いします。

当院は高齢の方も、お子さん連れの方も通いやすい環境づくりを心がけています。一番大切にしているのは、患者さんに笑顔で帰っていただくこと。今はインターネットで簡単に医療情報が手に入る時代ですが、情報が多いだけに何を信用すべきかわからず、余計に不安を感じてしまう方も少なくないように思います。でも一人で悩んでいるくらいなら、相談いただいたほうが気持ちは楽になるものです。どんなに些細なお悩みでも構いません。安心して通えるクリニックをめざしてスタッフ一同、今後も一生懸命頑張りますのでお気軽にお越しください。