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奥村 克行 院長の独自取材記事

五反田駅前メンタルクリニック

(品川区/五反田駅)

最終更新日:2025/08/28

奥村克行院長 五反田駅前メンタルクリニック main

「五反田駅前クリニック」は、JR山手線・五反田駅西口から徒歩1分、ビル9階に開業した。温かな木の風合いが全面に感じられる院内は、プライバシーに配慮し設計されている。院長の奥村克行先生は、患者をリラックスさせてくれそうな、のんびりと穏やかな雰囲気の持ち主。じっくりと患者の話を聞き、症状だけでなくその人の環境や背景まで考慮して診療に努めている。口調は控えめだが、さまざまな分野への好奇心や探求心が強いという学者肌な一面が垣間見える。そんな奥村院長に、同院の診療についてたっぷりと聞かせてもらった。

(再取材日2025年7月22日)

患者一人ひとりに寄り添う姿勢で治療を継続

開業して10年がたちましたが、開業当初から変わったことはありますか?

奥村克行院長 五反田駅前メンタルクリニック1

患者さんの増加に伴い、在籍する医師の数を増やしました。非常勤として、現在複数人の医師に来てもらっています。そこ以外は特に変わっていないですね。当院の変化というよりは、社会の変化が大きい10年だったように感じます。新型コロナウイルス感染症の流行もありましたし、残業の上限規制やパワーハラスメント防止条例など、この10年でコンプライアンスが重視され、社会が良くなってきたようにも感じます。一時期話題になった社畜やブラック企業という存在が、今は徐々に減ってきているのではないでしょうか。福祉サービスについても大きく変化していると思います。障害者の支援施設や支援システムが充実して、一般企業が運営するグループホームも増えてきました。

患者層の変化についてはいかがでしょう?

開業して以降、現在も幅広い年齢層の患者さんがいらっしゃいます。特に50代くらいまでの若い方が多いです。注意欠如・多動症(ADHD)の治療薬が6歳以上から処方できるため、思春期のお子さまはもちろん、6~12歳くらいのお子さまも当院を受診しています。開業当初は、近隣に住んでいる方や勤め先がこの周辺といった方がほとんどでしたが、今は横浜などの遠方からいらっしゃる方も増えてきました。近くにいろいろな企業があるので、ストレス関連の症状の方は多いです。場合によっては診断書を書いたり、休職を申請したりしますので、そういう時にはその企業の産業医さんとの提携も大切にしています。

診療方針とされている「患者一人ひとりに合った治療方法を」についてお聞かせください。

奥村克行院長 五反田駅前メンタルクリニック2

当院は漢方薬も精神医療に取り入れていますが、漢方と西洋薬、双方にメリットとデメリットがありますので、どういう目的で使用されるかいろいろとお話しした上で、患者さんご自身にどう選ぶか考えていただきます。例えば、同じ目的で使用する薬が複数あっても、薬の種類や体質によって副作用の出やすさは異なります。患者さんの要望も聞きながら、患者さんの状況を見極めて使い分けています。どのくらいで治療が終わる可能性があるとか、こういうリスクがあるとか、医師としてアドバイスをし、治療方法を検討していただきます。患者さんは、しっかりとご自分の考えを持った方や理解力のある方が多いです。僕はコンサルタントのような役割でしょうか。「ちょっとネットでこういうのがあるから見てください」とお話しするなど、患者さんご自身が理解して治療方針を決めることを重視しています。

専門性を磨いてきた医師が複数在籍、病診連携も重要視

診療する上で心がけていることは何でしょうか?

奥村克行院長 五反田駅前メンタルクリニック3

新しい医学情報を常に収集し、標準治療を踏まえた治療を心がけています。当然、患者さん一人ひとりの状況は異なります。私はさまざまな医療機関で経験を積んできましたので、それを生かして一人ひとりに合ったオーダーメイドの診療を行っています。抱えていた気持ちを話すだけでも違うでしょうし、じっくり話を聞いた上で少しアドバイスを出したり、といったことが多いですね。環境に問題がある場合も多いので、上司と相談して職場の環境を改善してもらうということもあります。話を聞いていると、「本当にそんなに働いてるの?」とか、「そんなこと上司がしてくるの?」と思うようなことも多いです。困っている方、どうしたらいいかわからない方も多いですから、対話を繰り返しながら、選択肢を増やし進む道を決めるサポートをしていきたいと思っています。

病診連携も大切にされていると伺いました。

患者さんを治療するだけでなく、アドバイザーのように助言したり、患者さんと相互に意見を交わすことも医師の仕事だと考えています。その際に、地域の資源を最大限に活用するために、医師が情報提供していくことはとても重要なことだと思うんです。住んでいる地域にはどんなサービスがあって、この患者さんには何のサービスが必要なのか。患者さんは、治療を続けながら日常生活やプライベートな時間を過ごしています。患者さんの背景も考慮し、地域ぐるみで包括的に患者さんを支えていくことが重要だと考えます。具体的な例を挙げると、発達障害のお子さんの場合。発達障害の方の行動には、環境設定が深く関わってきます。お子さんの場合は特に社会全体で支えていく必要がありますから、専門的な知識を持ったわれわれのような存在は大切だと思っています。学校や地域にある児童福祉サービスとの連携・紹介などを通じて、お子さんを支えていきます。

現在の診療体制について教えてください。

奥村克行院長 五反田駅前メンタルクリニック4

開業当初は5人で運営していましたが、患者さんが増え、このままだと患者さんに寄り添う診療ができなくなると判断したため、非常勤医師や、診療以外のバックヤード業務を担当するスタッフを増員し、今では20人以上が在籍しています。非常勤医師も複数人在籍しており、それぞれ専門性が高く、女性医師にも来てもらっているため、患者さんの要望や状態に細かく合わせた対応が可能です。バックヤードのスタッフも、僕の知らないところでトラブルを解決してくれています。経験豊富なベテランスタッフと医師がそろっていますので、安心して受診いただける体制が整っているかと思います。

多方面から物事を捉えられるようなアドバイスを

趣味などはありますか?

奥村克行院長 五反田駅前メンタルクリニック5

趣味は勉強です(笑)。小さい時から本が好きで、たくさんの活字を読んでいました。図書館に行ったり、父の本棚にあった歴史小説家の本を読んだりしていました。ある時期からは、いろいろな分野の構造を自分の中に入れていくイメージで、知識を増やすようになりました。教科書や総論を読んだりして、自分の中でアプリやツールを増やしたり集めたりしていくような感じです。構造で捉えるようにして学んでいくと、別の学問でも同じ構造が活用できて、あまり学ばなくても別の分野の構造が当てはまるからわかる、といった面白さもありました。いろいろな分野を学ぶと、一つのことに対して多様な見方ができるようになるということもあります。そしてその見方は、診療面でも役に立っています。

今後の展望についてお聞かせください。

他の科と違い、精神科や心療内科は、「症状が落ちついたから治療終了」とはならない患者さんも少なくない分野です。病状が落ち着いた状態を長期間維持することが目標の方も多くいらっしゃいます。良好な状態を保つためにしっかり時間をかけて付き合っていくこともありますので、長く深くお付き合いできる信頼関係を築いていきたいですね。治療がうまく進まない方が、実は借金があったり、家庭環境に問題を抱えていたりということは珍しくありません。そういった重要なことも、患者さんとの関係がうまく築けていないと、教えていただけないですからね。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

奥村克行院長 五反田駅前メンタルクリニック6

患者さんによっては、ある種の見方しかできないから苦しんでいたり、または、ある種の見方ができないから苦しんでいたりする方もいらっしゃるように感じます。患者さんのお話を聞いて、いろいろな考え方を提示することで、少し自由に物事を考えられるようになるお手伝いができればと思っています。これしかできないからこうする、ということではなくて、いくつか可能性があるけれどこれを選択する、と考えられるほうが気持ちに余裕もできて良い面が多いのではないでしょうか。僕自身、医師として、もっと言えば人間として、学ばなければならないことがまだまだたくさんあると感じています。患者さんが自由に選択肢を見つけられるように知識も経験もアップデートしながらサポートしていきますので、「誰かに話したい」「困っている」とか、心身の不調・違和感を感じたりしたときは、些細なことでも良いので話しに来ていただければと思います。

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