吉本 寛規 院長の独自取材記事
吉本歯科クリニック
(横浜市青葉区/たまプラーザ駅)
最終更新日:2025/09/12

東急田園都市線・たまプラーザ駅と小田急線・新百合ヶ丘駅の中間に位置する人気の住宅街、横浜市青葉区美しが丘。この街に「吉本歯科クリニック」が開業したのは2015年のことだ。院長の吉本寛規先生は、駅前ではない落ち着いた場所で、患者の利便を考えて駐車場を用意したいとこの場所を選んだ。開業当初は土日も診療するフル稼働状態だったが、歯科医師1人体制でもブラッシュアップしたいという吉本院長自身の志や、新型コロナウイルス感染症の流行により、診療日数を抑えることに。その結果、質の高い歯科医療をじっくりと行うスタンスに移行し、意識の高い地域の患者層とマッチした。そんなクリニックの現在と未来について、吉本院長に話を聞いた。
(取材日2023年8月23日/更新日2025年9月5日)
入念な検査と診断をベースに「歯科治療計画」を作成
開業から10年とのことですが、オープンしたばかりのようなきれいな院内ですね。

ありがたいことに、患者さん皆さんがきれいに使ってくださいますし、スタッフもよく手入れしてくれています。開業当初は地域の方に当院を知っていただけるよう、土日や祝日も診療していましたが、現在は日曜日の診療と土曜日の一部を休診にして、院外の勉強会に参加しています。この10年、診察日が減ったり、感染症の流行があったりしたにもかかわらず、それでも歯を守りたいと当院に通い続けてくれる患者さんばかりが現在残っているようです。僕らのほうも、意識の高い患者さんに応えられるように、一人ひとりに時間をかけて治療をするようになりました。ありがたいことに10周年を迎えましたので、より一層患者さんに寄り添った治療が提供できるよう邁進してまいりたいと思います。
治療の流れを教えてください。
初診の患者さんには、まずお口の中を診せていただいた後、全体の状況を説明します。その後に治療の提案をして、ご納得いただいてから開始し、すべて終了した後はメンテナンスに移行します。ですから、当院は「痛いところだけパッと治療してほしい」という患者さんにとっては、ちょっと面倒な歯科医院かもしれません。それでも、できることなら今まで以上に、一人ひとりに時間をかけられる体制をつくっていきたいと思っています。痛いところだけを診るという場当たり的な治療をしてしまと、いずれ同じことを繰り返すことになる可能性が高くなるからです。そうならないためにきちんと検査・診断をし、患者さんの生活状況などバックグラウンドも伺いながら「歯科治療計画」を作成し、治療を進めていきます。
歯科治療計画について、もう少し詳しく教えてください。

歯科治療計画の作成にあたっては、入念な検査が欠かせません。痛いところだけの治療を繰り返しているうちに、だんだん口腔内のバランスが崩れてきて、そのゆがみで顎が痛い、修復物が壊れる、口が開けにくいなどさまざまな悪影響が現れることがあります。特に噛み合わせはパズルのように複雑で、右側が痛いのは左側の噛み合わせの悪さが原因という場合もあるんです。ちょっと見ただけでは診断できないので、一度型を採り、咬合診査をする必要があります。口腔内の状況によっては、CT撮影や根管の精密検査などが必要になることもありますね。歯科治療計画では、保険診療だけでは不十分な場合、自由診療も含めた治療内容を提案しています。また、画像だけでなく立体模型を使って治療をご提案することも。そうすると、治療後の結果がイメージしやすく、やるべきこともはっきりするので、治療費がいくらかかるかなども出すことができます。
適切な診断のために、患者をよく観察し、話をよく聞く
治療後のメンテナンスはどのように進めていますか?

定期検診の意義は病気を早期発見することと、口腔内の良い状態を維持することにあります。歯周病予防の観点からいうと、どれだけ歯磨きが上手でも汚れはついてしまいますから、定期的にお口の中をすっきりきれいにしていただくのが良いですね。また、自由診療になりますが、細かい粒子を高圧の空気と水圧で吹きつけてきれいにするためのパウダーメンテナンスも行っています。セルフケアについては、お口の中を染め出しして、普段使用している歯ブラシで磨いていただき、磨き残しをチェックして指導します。毎回きちんと来院されている患者さんにはプラスになっていると思いますよ。
週末には勉強会に参加されているそうで、先生ご自身も意識を高めているのですね。
新しい技術や知識、昔からあるもので僕の知らなかったことを習得すると、視野が広がります。また、できることが増えると、多くの患者さんを次々と診るのではなく、一人の患者さんと時間をかけて向き合いたいと思うようになりました。セラミックやインプラント、マイクロスコープなど、新しい素材や機械は治療のほんの一部分に過ぎません。一つの治療を完結するために、ここは従来法、ここは新しい技術と全部知らなくてはいけないので、果てしないです。木を見て森を見ずの状態ではトータルの治療はできないので、得意なことを一つに絞るのではなく、すべてにおいて平均点以上をめざして日々勉強を続け、良いものを取り入れていきたいです。
日々の診療で大切にされていることや、心がけていることを教えてください。

歯科医療で大切なのは人を診ることと考えていますので、患者さんの表情や歩き方、身なりも含めて総合的な観察を心がけています。患者さんには、現在のご自身の状況や、これから行う治療のことをしっかりと伝えたいので、できるだけ多くの資料を用意してわかりやすく説明するようにしています。また、それが主訴ではない場合や、患者さんが言わないことでも、気づいた時にはお尋ねするようにしています。既往歴はもちろん、細かいことでも確認しないと、適切な診断に結びつかない場合もあるので、しっかり聞くようにしています。そのようにして診断の精度を高め、常に最善の治療を提供することをめざしています。ただし、お子さんについてはどんな場面でも無理はしません。歯科治療に悪いイメージを持たないよう、治療が無理そうだったら練習だけして帰ってもらうなど臨機応変に対応します。
どんな治療も患者にとっての重要度は同じ
歯科治療にはネガティブなイメージを持つ人もいます。

時間がかかる、痛いといったネガティブなイメージがありますが、一番大きいのは「いつまでかかるか」「いくらかかるのか」わからないという不透明感ではないでしょうか。こうした点については、しっかりと診査・診断をして治療計画を立て、患者さんの希望と擦り合わせることで納得していただけると考えています。歯科治療は“歯の未来”を見据えることが大切です。当院ではマイクロスコープを用いた精密診断・治療を行い、“できるだけ削らず、今ある歯を守る”ことを重視しています。保険診療と自費診療にはそれぞれの役割がありますが、治療の質や長期的な安定性を考えると、自費診療もぜひ選択肢として考えていただければと思います。患者さんの希望に寄り添いながら、納得できる選択肢を一緒に探していきたいですね。
先生ご自身は、今後どのような治療を提供していきたいとお考えですか?
患者さんにとっては、どの治療も重要度は同じです。だからこそ、専門を絞らず幅広く学び、成果を還元できるよう努めています。インプラントや矯正、セラミック修復、ダイレクトボンディングなど、当院で対応できる治療は増えてきました。複合的な治療にも対応できるよう、ゼネラリストとしての技術を磨いています。義歯に関しても、見た目や機能だけでなく、咬合や顎の動きまで考慮した精密な製作を心がけており、患者さんの生活の質向上に貢献できるよう努めています。得意分野に偏ることなく、常に誠実な診断と提案を心がけることで、患者さんが安心して治療を受けられる環境をつくっていきたいと考えています。
最後に読者へメッセージをお願いします。

口の中のことは患者さん自身で気づけないことが多いですよね。そして、医療は人の痛みの上に成り立つ仕事であるからこそ、常に誠実であるべきと信じています。他院で治療ができないと言われたり、納得できなかったりという経験のある方でも、時間をかけて診査・診断をし、幅広い治療方法を提案することで、満足の得られる結果に導けると思います。最新の治療が常に最良であるとは限りませんし、インターネットには不確かな情報も少なくありません。当院ではさまざまな情報をできるだけ患者さんと共有して、不安を解消しながら治療を進めるよう心がけていますので、気になることがあればご相談にいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント/38万5000円~、パウダーメンテナンス/9790円~、咬合審査/5万5000円~、CT撮影/1万1000円~、セラミック治療/4万4000円~、ダイレクトボンディング/2万7500円、矯正/27万5000円~