若尾 純子 院長の独自取材記事
サザン小児科クリニック
(相模原市中央区/南橋本駅)
最終更新日:2026/06/24
JR相模線の南橋本駅から徒歩約2分、れんが調で温かみのある外観の医療モール2階にある「サザン小児科クリニック」は、2007年4月の開業以来、地域の子どもたちの健康を見守り続けている。院長を務める若尾純子先生は、大学病院での新生児治療や離島での小児科診療など豊富な経験をもとに、子どもたちの些細な異常を見逃さないようこまやかな診療を提供する。「お子さんの診療はもちろんですが、親御さんに安心していただくためのコミュニケーションを大切にしています」と話す若尾先生に、医師としての来歴や診療時に心がけていることなど、詳しく話を聞いた。
(取材日2026年6月8日)
子どもと関わる仕事を志して小児科医師の道へ
先生が医師を志したきっかけを教えてください。

私はもともと子どもが好きで、当初は保母さんになりたかったんです。現在で言う保育士さんですね。けれども、大学の保育科を受験するには文系科目が中心になるため、理系が得意で文系が苦手な私では難しいなと感じていました。そこで、理系の学部からでも子どもと関わることができる職業はなんだろうと考えて、小児科の医師をめざすことにしたんです。ですから、はじめから医師になりたいというよりも、子どもと関わる仕事を探して小児科にたどり着いたんですね。そこで杏林大学に入学し、卒業後は杏林大学医学部付属病院の小児科に入局しました。
その後はどのようなキャリアを歩まれたのでしょう?
大学からの出向で墨田区にある賛育会病院で2年務めた後、結婚を機に大阪に移り、大阪市立総合医療センターに勤務しました。さらに、夫の仕事の都合で屋久島でも1年間働きました。離島ということもあって小児科のクリニックというものがなく、島に暮らすお母さんたちが「小児科専門のお医者さんがいるということを知りませんでした」と驚いておられたのは忘れられない記憶です。その後、杏林大学に戻って、NICU(新生児集中治療管理室)で、生まれたばかりの赤ちゃんでケアが必要な子の診療を行いながら、小児科の外来も担当していました。
その後、どのようにして開業に至ったのでしょうか?

もともとこの医療モールでは、内科、婦人科、眼科とともに小児科の開院が決まっていたのですが、小児科の院長に就任予定だった先生が急きょ辞退されることになり、そのご縁で私にお声がけいただいたのがきっかけです。実際に院長としてクリニックを始めてみると、たくさんの患者さんに来ていただけましたし、診療を通して、お子さんだけでなく、お母さん方とお話しする時間も楽しく感じられるようになり、「こちらのほうが自分に合っているな」と思うようになりました。2007年4月の開業ですから、もう20年近くになりますね。院長就任のお話をいただいた頃は、小児科の医師としてこの先どのような道を進もうかといろいろ考えていた時期でもありましたが、このクリニックで診療を続ける中で、その迷いも徐々になくなっていきました。
子どもはもちろん、親も安心できる診療を
患者さんを診療する際に心がけていることをお聞かせください。

お子さん本人をしっかり診療することはもちろんですが、特に小児科の診察では親御さんとの対話が7割を占めると考えています。例えばお子さんの症状が風邪であったとしても、親御さんの性格や症状に対する受け止め方はそれぞれに違います。楽観的な方もいれば少し心配性な方もいて、初診でお話をしながら、まず緊張をほぐす時間が必要な場合もありますよね。同じ内容を説明するにしても、その方に合わせてアプローチを変えながらお伝えするようにしていますし、また親御さんが気づいていないお子さんの症状を引き出すために、話の聞き方もその都度工夫しています。
親御さんに安心してもらうことも大切なのですね。
内科的な言葉でいう不定愁訴にあたる症状ですが、明らかな疾患などがあるわけではないけれど、朝になるとおなかが痛くなったり頭が痛くなったりと不調を訴えて、学校に行けないお子さんがよくおられます。もちろん、起立性調節障害のような疾患が原因のものもあり、その見極めは大切なのですが、例えば学校にいじめっ子がいるといった嫌なことを抱えている結果、頭痛などの症状を訴えることは少なくありません。診察でお子さんの話を聞いているとそうしたことがわかってくることは多いのですが、深刻に悩んでおられる親御さんからすると、お薬が処方されるわけでも病院への紹介状を書いてもらえるわけでもないため、不安が残ったままになることもあります。そうした親御さんに、いかに安心していただくかは大切ですね。
NICUに勤務されていた経験はどのように生きていますか?

やはり新生児の異常を見極める際に、かつての経験が生きています。赤ちゃんは自分で症状を訴えることもできませんから、小児科の先生でも新生児についてはよくわからないという方もいらっしゃると思います。お子さんを自ら産んだお母さんにしても、新生児に触れるのは初めてですから心配も多いはず。杏林大学で小児科の教育を受けていた当時、特に疾患などのない通常の出産や新生児の診察を日々行っていました。若かった当時は正直、何の異常もない子をなぜ毎日診るのだろうと思っていたこともありましたが、正常な新生児をたくさん診てきたからこそ、ちょっとした異変に気づくことができるんです。実際には特に心配のない赤ちゃんがほとんどですが、その中でも万が一異常があった際に感知できるようになったことは、当時の医局の教育方針に感謝しています。
堅苦しくないクリニックで、安心を得てほしい
この地で開業されてから、20年近くになるのですね。

開業した当時は小さいお子さんだったのに、いつしか大人になって自分の子どもを連れてくる方もおられます。親御さん含め3世代にわたって関わっていると、やはり情が湧いてきたりしますよね。お子さんの悩みはもちろんですが、夫婦間や家庭の悩みなんかもお話ししたり、お子さんのほうも「もうすぐ高校生になるし、ここに来られなくなっちゃう」と言ってくれたりして、そうしたやりとりはやっぱりうれしいですね。私自身も、堅苦しくないクリニックでいられることが自分に合っていると感じますし、打ち解けた関係になったほうが診察面でもプラスになると思っています。
診察を続けてこられた中で、時代の変化を感じることはありますか?
今は誰でもスマートフォン一つでたくさんの情報を得られる時代なので、何か気になる症状があればあらかじめいろいろ調べるのが当たり前になっています。そうすると、親御さんとしてはお子さんの状態が心配ですから、どうしても極端に不安をあおるような情報に目が行って、深刻なことが書いてあるページを検索してしまったりするんですよね。こちらが実際に診察をした上で、大丈夫ですよと伝えても、なかなか不安は解消されないこともあります。そういうときにもやっぱり、親御さんとのコミュニケーションが鍵になります。私はお母さんと気軽な女子トークができるタイプなので、向いていたのでしょうね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

ちょっとでも何か気になることがあれば、こんなことで受診していいのかなと悩まずに、軽い気持ちで来ていただきたいですね。もし診察してみて、何もないことが確認できて安心して帰れたらそれが一番ですし、もちろん何か異常があれば適切に対応いたします。安心を得ていただくためにも、ぜひお気軽にご来院ください。

