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鎌田貢壽 院長の独自取材記事

相模大野内科・腎クリニック

(相模原市南区/相模大野駅)

最終更新日:2019/08/28

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小田急電鉄の小田原線と江ノ島線が交わる駅として、箱根、湘南といった景勝地と都心を結ぶ起点としての役割も果たす相模大野駅。近年大規模な再開発を経て、新たな街として生まれ変わったこの地に、2015年新しい健康の拠点として「相模大野内科・腎クリニック」が誕生した。「これまでのキャリアで培った知識や技術を、地域のみなさんが元気に暮らすために役立てていきたい」と語る鎌田貢壽院長は、北里大学病院で39年にも及ぶキャリアを積み、多くの難症例にもあたり、研究成果も挙げてきた腎臓内科学の権威。定年後の活動拠点としてスタートさせたこのクリニックが今後地域で果たしていく役割と、医療への思いなどについて伺った。
(取材日2015年5月1日)

一見難解な先端の研究も、その根底は一人の患者を「診る」こと

開業に至るまでの先生のご経歴から教えていただけますか?

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北里大学医学部の第1回卒業生で、定年まで北里大学病院に勤めました。途中で2年間ハーバードメディカルスクールに留学していましたが、それ以外の期間はずっと北里大学で、臨床と研究に携わり、講師になり、助教授になり、教授を任され……と、すべてを経験してきました。当時は新設の医学部だったので、高い理想を掲げた教員から理想の教育を受けることができました。あまりの厳しさに脱落してしまう人も多くいましたが、食らいついて頑張った人たちが素晴らしい仕事をして、今日の北里大学医学部の評価を築いてくれたのだと思います。私自身、臨床と研究に、開拓者の一人として全力を尽くしてきました。その過程で得られた知識や技術を社会に還元していきたいと考えて当院を開院したのです。

開業に至ったきっかけは?

経験を積んで管理側の立場になると、現場から離れてしまう医師も多くいます。教授になれば、書類の山に囲まれるわけですから。私の場合は、書類は夜に読むとして、夕方までは患者さんと過ごすという勤務をずっと続けてきました。患者さんを診ることがまったく苦痛ではなく、楽しいのです。どんなに難しい患者さんを前にしても、不思議に思うだけ。その不思議な症状に対して、教科書や論文にあたり、答えを見つけるあらゆる努力をすれば、多くの場合は、その症状を起こしている理由がわかります。時にはそれでも理解できない未知の症状を持つ方もいらっしゃいます。そうした方からは次の研究テーマを与えて頂くことができます。患者さんと一対一で接していられる現場の仕事は、とても楽しいと感じています。

患者さんを理解することが治療へとつながるのですか?

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患者さんを治すためには、患者さんの病気を完璧に理解することが重要だと考えています。病気の姿や成り立ちが理解できれば、おのずと今の医学技術でできることが見えてきます。どうしてこの人がこの状態になったのかを理解できればやるべきことは自然に決まってくるのです。開院してまだ1ヵ月ほどですが、すでに珍しい病態を抱えた方が通っていらっしゃいます。教科書的な診断では理解できないような病気の方もたくさん存在しています。一人一人の病気を正しく理解するというのが実践的な医学にはどうしても必要です。私は患者さんを診るのは論文を一通書くのと同じことだと思っています。論文を書くのと同様の態度で患者さんの病態を解析することで、病気を正しく理解することができます。その理解が治療につながり、治癒へと繋がる訳です。

患者を理解し、「伝わる言葉」で伝えることが医師の最重要課題

一つ上の研究を手がけたからこそ、一人の患者さんへの理解が深まるのでしょうか?

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それもありますが、医師は最終的には患者さんのそばに寄り添って、一緒に過ごすべきだと思います。そうでないと多彩な患者さんの一人ひとりを理解することなど到底不可能です! そして、患者さんに対して理解した内容をご本人にお伝えすることもまた大切です。私の外来を覗いていただくと、患者さんとゲームをしているように見えるかもしれません。いろいろな人がいる中で、その人に合わせて「伝わる言葉」を探して伝えるようにしているのです。専門的な言葉で話しても患者さんには理解できませんので、相手に伝わる言葉を用いるべきだと思うのです。自分で外来をやっていても、「あ、今変なことを言ったかな」なんて瞬間もありますよ(笑)。

患者さんに真の意味で寄り添っていらっしゃるのですね?

患者さんは誰も病気になろうとしてなったわけではありません。本人は正しく暮らしているつもりでも、医師の視点から見ると「問題だな」と思うことがあるわけです。その問題を見つけるのは比較的簡単です。どうして病気が成り立っているかは患者さんを数回見れば分かるのですが、問題はそれを患者さんにどうすれば理解して頂けるか。それが最大なテーマになります。わかる言葉できちんと伝えないことには、悪い生活習慣の改善は望めません。医師はつい自分が頭で理解していることを自分の言葉で伝えがちです。私がわかりやすく言っているつもりでも、理解してもらえないことも多いのです。それで、図を作ったり、絵を描いたり、分かりやすくする工夫をいろいろと取り入れてきました。医学は、先人たちが膨大な労力と時間をつぎ込んで完成させたものですが、我々はその成果を読んで理解し、利用することができます。一方、この医学知識を患者さんのために利用するには、患者さんが理解できる言葉に置き換えて説明できなければいけません。これをどこまでやるかは、医師の考えに依存していると思うのです。

患者さんそれぞれの個性に合わせて言葉を探すということですか?

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その通りです。そして、いろんな方に合わせて話すことがまた楽しいと感じられます。この人とはこういう世界のお話、次の人とはこういう世界のお話と。重篤な症状をお持ちなのに決して弱音を吐かない患者さんとお話しした際に、「こんなのエベレスト登頂に比べたらなんでもないですよ。登山は孤独な闘いですが、ここでは先生も看護師さんもいてくれます」なんて言われたことも。医師の仕事が楽しいと思うのは、色んな人の話を事細かく聞く権利があって、患者さんの経験を追体験することができることですね。診察室の椅子に座っているだけで、患者さんから色々な世界を教えていただけるのは楽しいですね。

患者と一対一で向き合って、「本人が治す」ことのサポート役に

どのような患者さんが多くいらしていますか?

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現時点では北里大学にいた患者さんが多く、私が診ていた人の90パーセントはこちらに移っていただけました。長く診ている患者さんは比較的状態が安定した方が多いのですが、初診の方はむくみがひどかったりとさまざまな症状をお持ちです。そこで状態をご説明して「こんなことを頑張ってみてください」とお伝えして1週間もすると、「何年もほかに通院してだめだったのに、どうしてこんなに良くなるのですか?」なんて驚かれることも。医師から言われたことを一つ二つやると結果が出る、そうするとだんだん治療に対して前向きになってくる。医師と患者のコミュニケーションが深まり、仲良くなれるんです。私は患者さんをあまり患者さんとは思っていないんです。一対一で患者と医者という役割を演じているだけで、コミュニケーションは常に人間対人間なんですね。それと、塩分制限など無理強いはいたしません。ただ、ご自身の体がどうなっていて、今後どうなるかを分かりやすく丁寧に説明して、そうしないためにできることにはどんなものがあるかをご提案するだけ。やるかやらないかは本人の選択でいいと思うんです。

患者さん自身が治療を選択するということですか?

その通り。自分の病気について完璧に理解すれば、ある程度コントロールすることができるのが慢性病です。だから、医師は患者さんの病気を理解してどうなっているかを説明する係だと思っています。現状をわかりやすく説明して、今後何が起きるかを想像して、こうしたら一見すると健康な人に見えるほど普通の生活を送れますよというのをアドバイスすることが大切。考えてもみてください、私は1ヵ月に1回、20分しかお目にかからない訳で、それ以外の時間に誰が患者さんの体を管理するかというとすべてご自分なのです。そう考えると医師の役割とは患者さんを治すことではなく、患者さんがご自身で「治す」のをお手伝いすることだと感じます。患者自身が主体性を持って、楽しんで治療に臨んでいただくことが理想ですね。

「楽しんで治療に臨む」ためにはどんなことが必要でしょう?

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私の患者さんは、「今週は塩分制限6gでやってみましたけど数値はどうでしょう?」なんて、ゲーム感覚で楽しんでやっていらっしゃいますよ。そのためにはご自身のやっていることをきちんと理解することが必須。だから、私はすべてのデータを患者さんに返すべきだと考えて、すべてプリントアウトして説明しつつお渡しするようにしています。がん告知を「する」「しない」という時代が長く続きましたが、多くの病気では患者さんに本当の事をお伝えしないと病気をうまく管理できません。人は誰もが有限の時間を生きている以上、死ぬことをゴールと思わず、「今」をどれだけ豊かに生きるかということを重視することのほうがずっと価値があるんです。「死にたくない」とじっとしているのは良くない。日常生活を普通に送って家族と一緒に生活し、喜び悲しみを共有する。それが真の贅沢だと思うんです。長年やってきてそういう境地に至りました。与えられた体の機能を最大限に生かして豊かな時間を送ることができるようにする、それが医療のゴールなんじゃないかと思います。医師は病気を治すと言うよりは、患者さんが豊かな時間を送るお手伝いができれば良いのではないでしょうか。

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