鎌田 貢壽 院長の独自取材記事
相模大野内科・腎クリニック
(相模原市南区/相模大野駅)
最終更新日:2026/06/30
小田原線と江ノ島線が交わる相模大野駅に、患者に寄り添った医療の実現をめざして開院した「相模大野内科・腎クリニック」。鎌田貢壽院長は、北里大学病院で39年にも及ぶキャリアを積み、多くの難症例にもあたり、研究成果も挙げてきた腎臓内科学のプロフェッショナル。「これまで培った知識や技術を、地域の皆さんが元気に暮らすために役立てたい」と、腎疾患の「透析に至らせないための治療」に尽力し、透析やその他の内科慢性疾患の治療などにも対応する。その診療の特徴や、医療にかける思いとはどのようなものなのか、鎌田院長に話を聞いた。
(取材日2026年3月21日)
腎疾患患者の「人生」を守るための診療に尽力
まずご経歴から教えていただけますか?

北里大学医学部の第1回卒業生で、定年まで北里大学病院に勤めました。途中で2年間ハーバードメディカルスクールに留学していましたが、それ以外は北里大学で、臨床と研究に携わり、講師になり、助教授になり、教授を任され……と、すべてを経験してきました。当時は新設の医学部だったので、高い理想を掲げた教員から理想の教育を受けられました。これに食らいついて頑張った人たちが素晴らしい仕事をして、今日の北里大学医学部の評価を築いてくれたのだと思います。私自身、開拓者の一人として臨床と研究に、全力を尽くしてきました。その過程で得られた知識や技術、高度な診療経験を地域医療に還元する場として、2015年に当院を開院したのです。それから10年余りを経て、着実に地域に根づいてきたと実感しています。
ご専門は腎臓内科ですが、こちらではどんな診療をされているのでしょうか。
腎疾患の診療では、透析に至らないように「その手前」で食い止めることを重視しています。単なる「透析の入り口」として関わるのではなく、いかに透析を回避できるか、開始を遅らせられるかが腕の見せどころです。透析を始めると終生にわたって継続が必要なので、患者さんの通院や費用の負担も大きくなります。患者さんのQOLを考えれば悪化させないのが一番なのです。もし透析に至った場合も、当院で引き続き対応可能です。透析導入を入院なしで行うなど、負担がかからないよう配慮しています。腎疾患は自覚症状がほぼないまま進行することが多く、不安を抱える方も多いと思います。まずはご自身の状態を正しく知ることが大切。正しく理解し管理すれば、長く安定した生活を送ることが期待できます。病名や進行の程度、治療の進め方がわからない方は、一度ご相談ください。
現在の診療体制について教えてください。

北里大学で私とともに診療・教育に携わってきた医師が在籍しており、腎臓内科で講師を務めた後、現在は薬理学に移って研究を続けている娘も当院の診療に関わっています。また、血液内科で診療准教授をしている息子も、腎臓病に合併する血液疾患の治療にあたっています。クリニックという枠組みの中でも、誰が見ても一定水準以上の、専門性の高い医療を安定して提供することをめざしています。
「患者を理解し、伝わる言葉で伝える」が最重要課題
患者さんと接するときに大切にされていることは何ですか?

患者さんを治すには、その方の病気を完璧に理解することが重要だと考えています。病気の成り立ちが理解できれば、おのずと今の医学技術でできること、やるべきことが見えてくるからです。医師は、最終的には患者さんのそばに寄り添い、一緒に過ごすべきだと思います。そうでないと患者さん一人ひとりを理解することなど到底不可能でしょう! そして、医師が理解した内容をご本人にお伝えすることも大切です。私の外来をのぞいていただくと、患者さんとゲームをしているように見えるかもしれません。いろいろな人がいる中で、その人に合わせて「伝わる言葉」を探して伝えるようにしているのです。
患者さんに真の意味で寄り添っているのですね。
誰しも、病気になろうとしてなったのではありません。本人は正しく暮らしているつもりでも、医師から見ると問題だと思うことがあるわけです。その問題を見つけるのはわりと簡単で、多くの場合患者さんを数回診ればわかります。しかし最大の課題は、本人にどう理解していただけるかです。わかる言葉で伝えないことには、生活習慣の改善は望めません。しかし、わかりやすく言ったつもりでも、通じていない場合も多いのです。そこで、私は図や絵を用いるなどさまざまな工夫を取り入れてきました。医学知識を患者さんのために利用するには、患者さんが理解できる言葉に置き換えて説明できなければいけません。これをどこまでやるかは、医師の考えに依存していると思います。
その人の個性に合わせて言葉を探すということですか?

その通りです。それがまた楽しいと感じます。以前、重篤な症状をお持ちなのに決して弱音を吐かない患者さんとお話しした際に、「こんなのエベレスト登頂に比べたらなんでもないです。登山は孤独な闘いですが、ここでは先生も看護師さんもいてくれます」なんて言われたことも。医師はいろいろな人の話を事細かく聞くことができて、診察室の椅子に座っているだけで、患者さんの経験を追体験できるのも楽しいですね。
患者と向き合い、「本人が治す」ためのサポート役に
どのような患者さんが多くいらしていますか?

最近は他院からの紹介や、診断や治療に難しさのある患者さんが増えてきました。大学病院時代からの患者さんも多く、中には30~40年診てきた方もいます。付き合いの長い方は状態も安定傾向にあり、お互いの性格や生活背景まで理解した関係が築けていると思います。中には透析に至るまでの経過を診た方もいて、人生に寄り添うような形で診療を続けている実感があります。一方、初診の方はさまざまな症状をお持ちです。そこで、その時の状態をご説明し、「こういったことを頑張りましょう」とお伝えします。一緒に取り組んでいく中で、体調の変化に伴い、治療に前向きになる方も多いように感じます。実は、私は患者さんをあまり「患者さん」と思っていないんです。医師と患者という役割を演じているだけで、人間対人間ですから。
治療ではどんなコミュニケーションを意識されているのでしょうか。
塩分制限など無理強いはいたしません。ただ、今の体の状態や今後の見通しを丁寧に説明して、悪化させないためにできることをご提案するだけ。やるかどうかはご本人の選択だと思うんです。自分の病気を完璧に理解すれば、ある程度コントロールを図れるのが慢性病です。だから、医師は患者さんの病気を理解して、わかりやすく説明する係だと思っています。健康な人のような生活を送れるようアドバイスすることが大切です。私は1ヵ月に1回、20分しか患者さんにお目にかからないわけで、それ以外の時間に体を管理するのはご本人なのです。そう考えると医師の役割は、患者さんがご自身で「治す」ことができるようお手伝いすることだと感じます。主体的に楽しんで治療に臨んでいただくのが理想ですね。
楽しんで治療に臨むにはどんなことが必要でしょう?

「今週は塩分制限6gでしたが数値はどうでしょう?」なんて、ゲーム感覚で取り組むと良いと思います。そのためにはご自身のやっていることをきちんと理解することが必須です。私は検査データをすべてプリントアウトして、説明しつつお渡しするようにしています。がんの告知をしない時代が長かったですが、病気を治すためには、患者さんに真実を伝えないとうまく管理できません。人は誰もが有限の時間を生きる以上、死ぬことをゴールと思わず、「今」をどれだけ豊かに生きるかを重視するほうがずっと価値があるんです。「死にたくない」とじっとしているのは良くない。家族と一緒に普通の生活を送り、喜び悲しみを共有する。それが真のぜいたくだと思うんです。与えられた体の機能を最大限に生かして豊かな時間を送れるように助けるのが医療の役割ではないかと思います。病気を治すというより、元気に暮らすお手伝いができれば良いのではないでしょうか。

