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鴫原 寿一 院長の独自取材記事

上野浅草通りクリニック

(台東区/上野駅)

最終更新日:2021/10/12

鴫原寿一院長 上野浅草通りクリニック main

東京メトロ銀座線の稲荷町駅を出てすぐの場所に位置する「上野浅草通りクリニック」は、2015年4月に開業した。白を基調とした清潔なイメージのインテリアが印象的なクリニックだ。院長の鴫原寿一(しぎはら・としかつ)先生は誠実で朗らかな印象のドクター。慶應義塾大学医学部卒業後、糖尿病および内分泌内科の専門家として総合病院などで診療を続けてきたが、一人ひとりに寄り添った治療を志し、開業を決意したという。同クリニックは、鴫原院長のこれまでの診療経験を生かして、医師、看護師、管理栄養士がチーム一丸となって糖尿病患者の人生を第一に考えた治療を行うことを基本方針としている。インタビューでは、同クリニックが力を注ぐ糖尿病の治療などについて、鴫原院長にじっくりと話を聞いた。

(取材日2019年6月27日)

患者一人ひとりにじっくりと向き合いたいと開業

開業の経緯をお聞かせください。

鴫原寿一院長 上野浅草通りクリニック1

2015年の3月まで台東区の地域中核病院である永寿総合病院に勤めていました。自分の専門分野は糖尿病ですが、糖尿病は薬さえ飲めばすぐに回復する病気ではなく、患者さんが長く付き合っていく病気にほかなりません。そこで生活環境や嗜好などの背景を把握し、きちんと向き合える環境が必要だと感じていて、同じ台東区内のこの場所に糖尿病の外来を中心とした内科クリニックを開業したのです。総合病院に勤めていた頃は多忙で、患者さん一人ひとりをきちんと診てあげられないというジレンマを感じていたこともありました。現在も総合病院時代の患者さんが来てくださっていて、引き続き診ているケースも多いので、それは幸せなことだと思っています。

クリニックの設計の特徴を教えてください。

狭い待合室に多くの患者さんが待っていると次第に殺伐とした雰囲気になりがちなので、全体の床面積の中で待合室の割合を広めに取っているのが最大の特徴です。たとえお待たせしてしまっても、患者さんにはできるだけくつろいで過ごしてほしいと思っています。内装は清潔感のある白中心の配色とし、床は無垢材のフローリング敷きにしてアットホームな雰囲気も演出しています。

現在どのような患者さんが来院されているのでしょうか?

鴫原寿一院長 上野浅草通りクリニック2

多いのは区や企業の健康診断で糖尿病をはじめとする生活習慣病を指摘されていらっしゃる方と、あとは甲状腺の腫れを指摘されていらっしゃる方ですね。若い方からご高齢の方まで幅広い年代の方がおみえになりますよ。お住まいの地域は台東区が中心ですが、上野の近隣の会社にお勤めの方もいらっしゃいます。この地域の皆さんの医療に貢献したいとの思いは強いですね。

設備の特徴を教えてください。

院内には、血糖値やHbA1c、検尿の結果を数分で出せる糖尿病関連の検査機器をそろえました。これらの機器は院内のファイリングシステムと連携していて、診察室の電子カルテで検査結果のデータを一覧表示できるようになっています。患者さんの検査データをシステムに蓄積していけば、健康状態の推移を把握できるので、体調管理や生活指導にも役立てることができると思います。また現在は糖尿病の合併症の評価もしており、糖尿病神経障害のチェックとして神経電導速度のチェックを行っていますし、動脈硬化のチェックのための頸動脈エコーや脈波電導速度検査(血管年齢検査)も行っています。

管理栄養士が食事指導の栄養相談を行う

診療方針を教えてください。

鴫原寿一院長 上野浅草通りクリニック3

患者さんの考え方を尊重しながら治療を行い、一方的な押しつけはしないことが診療方針です。私のこうした考え方には、研修医・専修医時代にお世話になった先生方の影響が大きいと思います。そのお世話になった先生方は患者さんの人生を第一に考えて治療を実践していた専門家でした。特に1型糖尿病の治療では患者さんは前向きに治療に取り組むようになり、病気が改善に向かうケースを見て、すごいなと感じていたのです。そこで、当クリニックも、患者さんが前向きに人生を楽しみながら、同時に糖尿病をコントロールしていくことを何よりも大切にしたいと思っています。糖尿病の患者さんも適度なスポーツをしたほうが良いですし、実は食べてはいけないものも基本的にはなく、食事の量や食べる頻度を調整すれば済む話なのです。前向きに治療に取り組むことで、糖尿病の改善をめざします。

院内に管理栄養士を配置されているそうですね。

糖尿病治療の基本である栄養相談や運動指導は、私一人ではカバーできないので、糖尿病療養に詳しい看護師・管理栄養士が主体となって行っています。医師の診察だけでなく、こうした専門家が寄り添い適切な食事や生活のアドバイスを行うことで、血糖値のコントロールも期待でき、薬やインスリン注射に頼ることのない生活を取り戻すことも十分可能なのではないかと考えています。

食事指導の特徴を教えてください。

鴫原寿一院長 上野浅草通りクリニック4

栄養相談は具体的な指導を心がけており、実物大の立体の食品模型である「フードモデル」を利用しています。「これが100gのごはんで、約160kcalを摂取することになります」と目で見て実感してもらいやすい指導を実践しています。また、患者さんの意見を取り入れて、長く続けられる方法を一緒に考え提案するようにしています。

先生は内分泌疾患の専門家でもありますね。

甲状腺をはじめとする内分泌疾患に関する専門的な治療ができる医師は多くないので、これも当クリニックの大きな特徴です。甲状腺の病気は、だるい、動悸がするなど、一般的な症状が現れることが多いので、医師がその病気を疑って検査を行わない限り、特定することは困難です。そのため、診断や治療には医師の経験や力量が大きく関わってくるといえます。当院では血液検査や超音波検査のほか、地域のクリニックでは導入の少ない穿刺吸引細胞診も行っています。短時間で終わる検査で痛みも少ないため、患者さんにとって負担が少ないと思います。甲状腺の病気は更年期障害と症状が似ていて判別が難しいため、何か気になることがあれば、お気軽にご相談いただければと思います。

患者に寄り添ったオーダーメイドの診療を追求

先生が医師になろうと思ったきっかけは?

鴫原寿一院長 上野浅草通りクリニック5

子どもの頃から士業などへの憧れがあり、弁護士や教師、医師になりたいと思っていました。士業というと社会貢献的な側面が強い仕事だと思うのですが、広く世の中に貢献できてやりがいを感じられそうなのが医師だという結論に達しました。親や親戚など周りに医療関係者はまったくいない環境でしたが、高校時代にこの道に進もうと決めました。

開業するまでの経緯を教えてください。

大学卒業直前に全身を診られる医師になりたいと、内科と外科で悩んだ末に内科を選択しました。卒業後は、慶應義塾大学医学部内科学教室の研修医となり、最初は4年間内科全般の勉強を行い、5年目の時に慶應義塾大学医学部腎臓・内分泌代謝内科に進んで糖尿病および内分泌疾患を専門にしました。研究面では主に1型糖尿病の研究に従事しました。私が糖尿病・内分泌内科を専門に選んだ理由は、脳梗塞、心筋梗塞といった重篤な病気を予防する上で、その原因ともなる糖尿病の治療が重要だと思うからです。また、研修医時代に1型糖尿病で悩み苦しんでいた若い患者さんとよく話し合い、治療の大切さを知ってもらって病気を改善に導くという貴重な経験をしたことも大きいです。大学の後はアメリカに留学して2年間研究を続けました。帰国後、複数の病院で糖尿病の専門家として勤務し、開業に至りました。

今後の展望を教えてください。

鴫原寿一院長 上野浅草通りクリニック6

まずは、自分の専門分野である糖尿病治療をはじめ、生活習慣病の診療をきちんと確立して患者さんに提供し、効果を上げられるようにしていくのが第一です。オーダーメイドの診療を追求し、地域の人々の健康増進に貢献していきたいと思っています。今後もわかりやすく説明すること、患者さんが何を不安に思っているのか考えながら診療することを心がけ、頑張っていきたいですね。

読者への健康アドバイスをお願いします。

まずは自分の健康状態はどうなのかを意識して健康診断を年に1回は受けてみてほしいと思います。特に糖尿病は初期段階での自覚症状はありませんが、放っておくと失明・神経障害などの合併症や脳梗塞、心筋梗塞にもつながる怖い病気です。後々後悔しないためにも自分の健康について意識することが大事だと思います。甲状腺の病気は、特に女性に多いということが知られています。なんとなくだるい、首が腫れてきたなど症状がある場合は、一度、検査を受けてみることをお勧めします。

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