迅速な診断と大きな安心に役立てる
小児のための腹部エコー検査
寺口小児科クリニック
(大阪市東成区/今里駅)
最終更新日:2022/04/11


- 保険診療
子どもが腹痛を訴え、嘔吐などの症状がある時、詳しいことがわからず、心配から右往左往してしまった経験を持つ保護者は少なくないだろう。特に幼少期の病気は保護者にとって不安が大きいにもかかわらず、子どもの場合自身の状態をうまく説明できないため対処は非常に難しくなる。「子どもが痛みを訴える要因は、病気・心理面など実に多様です。ほとんどの場合は心配ありませんが、中には緊急性が高い病気が含まれているため、見逃さないことが大切です」と話すのは、「寺口小児科クリニック」の寺口正之院長。そこで、同院では患者の安心と健康を守るため「聴診器代わりに腹部エコー検査を使う」ことを実践しているという。子どもの病気の発見に役立つ腹部エコー検査とはどんな検査か、どんな病気に使用するのか、検査のメリットなど詳しい話を聞いた。
(取材日2022年3月17日)
目次
聴診器代わりに行うほんの数分のエコー検査が、迅速で正確な診断と大きな安心につながる
- Q腹部エコー検査とはどういったものでしょうか?
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A
▲初めての検査にも丁寧に説明をしてくれる寺口院長
腹部エコーとは、超音波を腹部に当て、腹部臓器の状態を調べる検査です。お母さん方も妊婦健診の時、おなかの中のわが子の様子を見たことがあるのではないでしょうか? あれと同じ検査だと思ってもらえればわかりやすいのではないでしょうか。おなかに塗るゼリーが少々ひんやりしますが、痛みについて心配する必要はありません。検査はベッドに寝っ転がって行いますので、最初は「何をされるのだろう?」とドキドキする子どもたちもいますが、おなかの中を見ながらお子さんやお母さんとお話ししていると、お子さんも「怖い検査ではない」ということがすぐにわかると思います。基本的に、検査時間もほんの数分で終わりますよ。
- Qどういった症状の時に腹部エコーを行うことが多いのでしょうか?
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A
▲病気の見逃しを防ぐために腹部エコー検査を行う
主に、腹痛や嘔吐を訴えている時に行います。まだ言葉を十分に話せない子どもたちは、自分の病状を細かく説明することはできません。また、自分自身が痛いわけではない保護者も同様です。子どもの腹痛や嘔吐のほとんどは一時的な症状で、大きな心配の必要はありませんが、中には急性虫垂炎や腸閉塞、腸重積など、緊急対応が必要な症状が隠れていることもあります。この場合、病気の見逃しは最悪の事態をも招きかねませんので、迅速に、そして正確に診断することが重要です。検査をして何もなければそれでいいのです。当院に足を運んでくださった患者さんの安心と確実な診断のために、気軽に受けられる検査を提供することが大切だと考えています。
- Q腹部エコーのメリットはどんなところでしょうか?
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A
▲病気の「見える化」で、的確な診断・治療をめざす
医師として経験を積み、問診や触診、聴診で「だいたいこんな病気だろう」という予想を立てることができるようになりました。さらに血液検査を加えれば、より病気を特定するための情報が得られます。しかし、それらは経験とデータによって予測したものです。一方、腹部エコーは病気を可視化することができます。腸内の様子を見れば便秘かどうかよくわかりますし、胃腸炎、小腸・大腸病変、細菌性腸炎などによって引き起こされた炎症の有無もよくわかります。また、治療の進み具合についても確認できます。病気を可視化することによって、より的確な診断・治療をめざすことができる。これが最大のメリットです。
- Q聴診や触診ではわかりにくい病状の初期の診断もできるのですね。
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A
▲両親の不安に寄り添い丁寧な診察を心がける
これまで小児科・循環器科の医師として、重篤な症状を抱えた子どもたちの診療を数多く経験しました。そこでたくさんのエコー検査を実施し、「エコーから病気や状態を読み解くための技術」を身につけることができました。自分のクリニックに腹部エコーを導入してからは、さらに多くの子どもたちの正常所見を見ています。そのおかげで、ポイントを押さえた異常所見がわかるようになり、先天性胆管拡張症、川崎病による胆嚢腫大、カンピロバクター腸炎など、治療すべき病気を発見することも少なくありません。病気には「急変すること」がありますので、油断することなく、今後も患者さんの安心と健康のために腹部エコーを役立てていきたいですね。
- Q聴診器だけでなくエコーでの精密な検査も重要なのですね。
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A
▲聴診器代わりに腹部エコー検査を行うことの大切さを話す寺口院長
やはり「見てわかる」ことは、子どもに関わるみんなにとって大きな安心なんです。実際に検査をしながら保護者の方々にお話しすると、皆さんホッとした表情をされます。大切な子どもが苦しんでいれば、看病をしながら心身ともに疲れます。でも、まずはどんな状態かわかれば、お父さん、お母さんがリラックスでき、子どももリラックスできるはず。ですから、当院ではエコー検査を「聴診器代わり」「患者さんとのコミュニケーションツール」としても位置づけています。特別な準備も必要ないので、診察の流れの中で気軽に行うことができます。「聞く」「触れる」に「見る」を追加して、大きな安心とともに帰っていただければと思います。