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野渡正彦 院長の独自取材記事

すくすくあかちゃんこどもクリニック

(藤沢市/善行駅)

最終更新日:2019/08/28

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小田急江ノ島線善行駅から徒歩6分。閑静な住宅街に位置する「すくすくあかちゃんこどもクリニック」は、2014年10月に開院したばかりの新しい小児科医院だ。敷地内に広い駐車場を有し、院内は明るく居心地の良い待合室、子どもたちが喜ぶアニメキャラクターで彩られた診察室と処置室、受付から直接入れる2つの隔離室など子どもたちへの配慮に溢れている。20数年間、北里大学病院の新生児集中治療管理室で命を守る最前線に立ち、多くの子どもたちの診療に当たってきた野渡正彦院長。優しく穏やかに語る言葉の中に、長年、新生児医療に携わってきた経験量と知識、赤ちゃんと子どもたち、そして子育て中のパパやママへの思いやりを感じることができる。小児科医をめざした経緯、大学病院での経験、今後の展望などを伺った。
(取材日2015年9月3日)

小児科医をめざしたきっかけは小学生のときの長期入院

医師をめざしたきっかけを教えていただけますか?

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小学校5年生のときに急性糸球体腎炎で、藤沢市民病院に2ヵ月ほど入院していたことがあるのですが、今から思えばそのときの経験が医者をめざす大きなきっかけになっていると思います。退院後も中学を卒業するころまで通院していて、当時は「この病気は治らないんじゃないか」とか「悪くなって透析を受けなくてはいけなくなるんじゃないか」とか、常に体の不安を抱えていましたね。入院をきっかけに腎臓とは関係なく熱を出したり、体調を崩すことも多くなって、小・中学生時代は学校も休みがちでした。長く入院している間に年齢の違う友達がたくさんできたことや病気のことで辛い思いをしてきた中で、小児科に対するイメージが何となくありました。医者になるなら小児科医にと決めたきっかけになっていると思います。

長年にわたって一般小児科だけでなく新生児医療を専門としていらしたのですね。

当時の北里大学のシステムは、大学卒業直後から小児科の医局に入り、医者になって5年間は専門を決めず、病棟をまわったり、関連病院へ出向したりして小児科全般を学び、6年目以降にサブスペシャリティを持つという形でした。小児科の中で専門を持つという感じです。一般小児科で診療しながらサブスペシャリティとして新生児医療を専門としていました。医者になって2〜3年目に休日診療所で勤務する機会があるのですが、そこには内科・小児科と標榜している先生もいました。ある程度大きな子どもなら内科で小児科にも詳しい先生が診ることもできますが、生まれたての赤ちゃんだとまったく手が出せないので、小児科が診療することになります。新生児っていうのは、より専門性が高いというのかな。内科では手が出せないっていう部分がありましたし、小さく生まれた赤ちゃんがギリギリ助かって元気になることも多いので、やりがいがあると思ったことが、新生児医療を専門に選んだ理由ですね。

大学病院ではどのような子どもたちを診ていらしたのですか?

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NICU(新生児集中治療室)で産まれたばかりの赤ちゃんの蘇生や呼吸循環管理などの救急医療をしながら、退院した赤ちゃんの発育、発達のフォローをしていました。元気で退院して何事もなく過ごすお子さんもいますが、500グラムで生まれたり、いろんな奇形を抱えているお子さんだと後々問題が出てくることも多いので、院内の新生児未熟児の外来で定期的に検診をしていって、ある程度大きくなるまで診ていましたね。

新生児集中治療室での厳しい現実と開院

大学病院を辞められて開院されたのは2014年ですが、このタイミングで開院された理由は?

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新生児医療ってやっぱり大変なんですよね。生まれた赤ちゃんが呼吸していないっていって蘇生したり、数十秒を争うような緊急事態でバタバタしている状況です。当直で徹夜して次の朝から普通に夜まで働くことは、いつまでもやれないだろうという思いはありました。ちょうど後輩達が育ってきて、10年違いの後輩がNICUを引き受けてくれることになり、かなり負担をかけてしまいましたが、辞めることができました。小児科の中でも新生児とかNICUの医療はさらに大変なので、やってくれるドクターが少ないんですね。本当だったらもっと早い時期に開院したかったのですが、なかなか辞められなかったというのが現実です。もともと医者になったのは小児科医になるということでしたし、頭の中で描いていた小児科っていうのは、外来でゆっくりとしっかりと話をするイメージだったので、開院してそれを実現できている感じです。

診療の中で大切にしていることは何ですか?

お母さんの話をキチンと聞くということですね。時間をかけてゆっくり聞いてあげたいんだけれども、患者さんが増えてくるとそうもできないという現実はありますが、できる限り話を聞いて説明してあげたいですね。それから大学病院で新生児を診ていたときによく思ったのは、赤ちゃんの気持ちです。内科のドクターなら自分が病気になったり寝たきりになったらどうしようとか、癌になったらどうしようとか想定することで、患者さんの立場で考えるということがあると思うんだけれど、自分が保育器の中に入っていたらどんな気分だろうとか、こんなことされたら嫌だなとか、赤ちゃんの目線で考えることって普通はあまりしないと思うんですね。そういう発想自体あまりないんだけれども、子どもの目線だったり、赤ちゃんの立場だったらっていうことをなるべく考えてあげたいと思っています。

「すくすくあかちゃんこどもクリニック」というのはとても可愛い院名ですね。

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名前のせいか、新生児を専門としているせいか、患者さんは生まれて間もない子から乳児が圧倒的に多いですね。一度、小学生の子どもを連れてきたお母さんに「こんな大きい子診てもらえますか?」って聞かれたことがあります(笑)。小児科だと中学生ぐらいの大きい子が来ると、なんとなく浮いてしまうような雰囲気はわかるんだけれど、ここは小学生が来るとちょっと珍しい感じを与えちゃうみたいですね。開院後も市内にある吉田クリニックと、メディカルパーク湘南という2つの産婦人科の非常勤医として、生まれて間もない赤ちゃんの検診、新生児チェックに毎週行っています。どちらの医院でも多くの赤ちゃんが生まれるのですが、産科の先生や助産婦さんとも顔見知りなので、お母さんに「退院したらここへ来てください」というつながりもできます。産婦人と連携することで赤ちゃんを生まれた直後から診察して、生後2ヵ月から始まる予防接種をして、最初からその子の育っていく様子を全部診ていきたいというのは開院前から考えていました。

子育てはのんびり、ゆっくりと焦らずに

先生は猫検定3級をお持ちだとうかがったのですが、動物がお好きなんですか?

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猫検定3級は自慢ですね(笑)。水道橋にある日大の校舎まで試験を受けに行きました。1級を取るには獣医師レベルの知識が必要だと聞きました。3級は検定の本を見て予習すればだいたい取れるみたいですよ(笑)。家では2匹の猫とゴールデンリトリバーを飼っています。開院してから歩かなくなったので、奥さんから「歩いた方がいいよ」と言われて犬の散歩は必ずしています(笑)。本当は犬をここにも連れてきたいんですよね。セラピー犬に育てようかと思っています。

セラピー犬はこれからの展望のひとつでもあるのでしょうか?

そうですね、セラピー犬は実現したいことのひとつです。後はベビーマッサージかな。生後3ヵ月〜1歳半頃の赤ちゃんにお母さんの手でマッサージしてあげて、赤ちゃんと親の絆を深めるというものです。この間、ベビーマッサージをやっている知り合いにここを貸して実施したのですが、今後も続けていきたいと思います。ここは診察室が2つあるので、二診の外来をやっていきたいという思いもあります。もうひとりドクターがいてくれれば、時間をかけて患者さんの診療をすることができますからね。在宅医療もやりたいことのひとつです。重症心身障害児と呼ばれる寝たきりのお子さんは、大学病院に集中してしまいます。人工呼吸器を使ったり、チューブで栄養をあげたり、大学病院でしていたことが最近はベッド数が足りないなどの理由によって、在宅でお子さんの管理をするご家庭が増えてきています。ただ、人工呼吸器をつけたまま通院するのは大変なので、そういうお子さんを在宅訪問で診療して、少しでもサポートできたらいいですね。このクリニックも赤ちゃんと同じでまだ1歳にもならないので、ようやくつたい歩きといったところでしょうか。まだ一人では歩けない状態なので、これから一人で歩いたり、走ったり、いろいろなことができるようにしたいと思います。ここじゃないとできない特色を出していきたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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気軽なクリニックなので、遠慮せずに小さなことでも相談してください。子育ては「のんびり、のんびり」っていうのかな、そんなに焦らずに「こうしちゃいけない」とか「こうするべきだ」っていうのはないので、心配なことは抱え込まないで相談してほしいですね。当院の名前を考えたとき、「すくすく」でなく「ぽれぽれ」っていう候補もあったんです。スワヒリ語でゆっくり、のんびりみたいな意味があって……、まあちょっと奇抜なのでやめちゃったんですけどね(笑)。お母さんには90点、100点の子育てなんて必要ないってよく言うんですよね。60点、70点で十分なので、そんなにがんばりすぎないでと。小児科医で精神科医でもあるウィニコット先生が「good motherの必要はない、good enough motherであれ」と言っています。要するに程よい母親がいちばんいいんだよって言っているんですね。余裕がないと子育てが楽しくなくなってしまうので、ある程度余裕を持って子育てができるようなサポートができたらいいなと思います。

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