賀嶋 絢佳 院長の独自取材記事
りんごクリニック
(杉並区/八幡山駅)
最終更新日:2026/04/15
八幡山駅から徒歩2分ほどの場所にある「りんごクリニック」。呼吸器内科を専門とする賀嶋絢佳先生が院長を務める同院は、通院が難しい患者に向けた訪問診療をメインとしたクリニックだ。大学病院で勤務を始めた当初から同院で訪問診療に携わっていた賀嶋院長。在宅医療の現場と、状態の悪くなった在宅患者を受け入れる大学病院双方の役割を経験した後、患者の生活に寄り添う医療に重点を置くため、2025年に同院の院長に就任。「訪問診療をする中で、患者さんお一人お一人の人生の重みを感じます」と話す賀嶋院長に、クリニックの特徴や診療にあたって大切にしていることなど、詳しく話を聞いた。
(取材日2026年3月19日)
患者の一生に寄り添う訪問診療
こちらのクリニックの特徴を教えてください。

当院は訪問診療をメインとしたクリニックで、通院することが難しい患者さんを対象に、介護施設やご自宅に伺って内科症状の診察を行っています。訪問診療でどんなことができるのかをご存じない方もまだ多いと思うのですが、心電図検査や血液検査、場合によっては点滴や酸素吸入なども在宅の診療で行うことができるため、日々の状態の管理にご利用いただければと思います。われわれだけで判断が難しい場合や、CTなどの検査が必要な場合には、大学病院などにご紹介いたします。私自身、もともとは呼吸器内科を専門にして大学病院で勤務しており、ご自宅や介護施設から誤嚥性肺炎などで運ばれてくる患者さんの診療をしばしば担当していましたので、受け入れる病院側とのスムーズな連携を心がけておつなぎします。
外来診療にも対応されているのですね。
はい。訪問診療で出向いていることが多いため、夕方以降が主体となるのですが、外来診療でも内科の診察を行っています。学校帰りや会社帰りなどに体調不良があれば、駅からも近いクリニックですので、ぜひご来院いただければと思います。お電話でご予約いただければ、その日ごとに時間を合わせて診療いたします。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、発熱症状を伴う疾患のための外来もありますので、お気軽にご相談ください。
先生はどのようにして訪問診療に出会われたのでしょうか?

臨床研修を終えて大学病院に勤務し始めた1年目から、週に1度くらいの頻度で当クリニックに派遣されて来ていて、訪問診療を行っていたんです。ですから、大学病院で呼吸器内科に従事し始めるのと同時に、訪問診療にも携わるようになったんですね。大学病院で、ご自宅や介護施設からの患者さんを受け入れる側と、訪問診療で患者さんを大学病院にお送りする側、双方の立場を経験しながら医療に従事する中で、在宅患者さんの一生の最期に付き添って向き合うことのほうが、私には向いているんじゃないかと考えるようになりました。大学病院での勤務にもやりがいを感じていましたが、呼吸器内科を専門にする医師として自分ができることはある程度、上限までやったのではないかと考えてもいました。ちょうどその頃、当院で訪問診療に携わった期間も長くなってきて、院長にならないかとお声がけをいただいたので、訪問診療を自分の主軸にすることを決めました。
病気を診るだけでなく、生活全体に目を配る
訪問診療を依頼する際、目安となる症状、状態などありますか?

訪問診療と聞くとなんとなくハードルが高い気がして、依頼しにくいと感じる方も多いと思います。例えば、定期的に診察が必要な基礎疾患がある方で、家の中では生活できるけれど、医療機関まで出向くのが体調的に難しい方は、訪問診療を選択肢に入れてみてはいかがでしょう。ご家族の方がクリニックまで連れていけないケースも多いと思いますし、無理をしてぎりぎりまで通院を我慢した結果、入院が必要になることも考えられますので、まずはご相談ください。定期的に診察をして、必要に応じて処方箋を出すといった通常の内科の診察は、介護施設や在宅で訪問診療を利用することでも可能なのだと知っていただけたらうれしいですね。
訪問診療にあたって心がけていらっしゃることを教えてください。
訪問診療は、その方の病気を診るだけではなく、普段の生活全体に目を配ることが大切です。好きな食べ物や趣味のこと、こんなぬいぐるみやキャラクターが好きといったことも含めて寄り添いながら日々、診療をしています。患者さんは、病気とは関係なく機嫌のいいときも悪いときもありますし、常にさまざまなことを把握しながらコミュニケーションを取るようにしていますね。ちょっとした雑談の中で、患者さんが以前されていたお仕事や多様な経験などもお伺いするので、お一人お一人の人生の重みを感じることができます。そうした瞬間に、訪問診療だからこその奥深さを感じます。
患者さんのご家族とのコミュニケーションも大切ですね。

そうですね。ご家族も含めて関わらせていただくことが多いですから、しっかりコミュニケーションや連携を取ることが大切です。場合によっては、例えば患者さんが認知症になった際に、ご家族がその状況をすぐには受け入れられず、時間をかけて関わりを重ねる中で、少しずつ現状を受け入れていくというケースもあります。また、介護施設に入居されている患者さんの場合、私たちが訪問診療に伺った際の健康状態や気づいた様子などを、できるだけご家族にお伝えしておくことで、いざ状態が悪くなったときにもご家族が準備しやすくなると思います。そういった積み重ねは、今後も大切にしていきたいですね。
訪問診療も外来診療もバランス良く
スタッフの方々との連携についてもお聞かせください。

訪問診療では私と看護師さんが一緒に患者さんのもとに伺って、協力しながら診療を行っています。同時に、介護施設での訪問診療に際しては、患者さんたちの日常的なケアをされている施設のスタッフの方々との連携も重要になります。患者さんによって、どのくらいの状態ならば医師を呼ぶべきかなどは異なりますから、施設のスタッフさんや訪問看護に入られている方々ともコミュニケーションを取って、そうしたことを確認しています。患者さんの状態がいつ悪くなるかは予測できません。当院では、診療時間外でも電話を受けられるように体制を整えています。こちらの迷惑になるからと遠慮をせず、緊急時には連絡していただければと思います。
今後の展望についてお聞かせください。
八幡山周辺や近接自治体にお住まいの方々の中には、在宅で往診が受けられるということ自体を知らない方もまだ多いと思います。月に2回の定期的な訪問診療、また体の状態が悪い場合は追加の往診も行いながら、お体のことを内科の面から管理をしていく体制があることを、さらに周知していきたいですね。また、当院は外来診療も行っていますので、そのことも知っていただいて、訪問診療と外来診療、どちらもバランス良く行っていきたいと考えています。外来診療専門のクリニックと比べると日々の外来診療時間は短くはなりますが、午後の時間帯にぜひご利用いただければと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

訪問診療を検討しておられる患者さんの中には、体調の悪さだけでなく、不安事などを抱えておられる方も多いと思います。そういった、通常はなかなか医師には言いにくいことなどもぜひお伝えいただいて、お一人お一人に寄り添った診療をしていきたいと考えています。なるべくお薬を飲みたくない、どのように過ごしたいなどの個人的な希望などもくみながら、できる限りの医療を提供していきたいと思いますので、ちょっとした心配事も含めて、ぜひご相談ください。

