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水野 良児 院長の独自取材記事

りんごクリニック

(杉並区/八幡山駅)

最終更新日:2022/11/01

水野良児院長 りんごクリニック main

京王線八幡山駅から徒歩2分の場所に位置する「りんごクリニック」。診療の9割ほどが訪問診療という同院に、2022年9月水野良児先生が新たに院長に就任し、患者に寄り添うクリニックとして24時間体制で治療を行っている。加速する高齢化の中、地域の暮らしを支える存在であり続けるため、今後は施設への訪問診療のみならず個人宅への訪問も増やしていくという。残りの人生を自宅で苦しまずに過ごせるようサポートしたいという水野院長に、これまでのキャリアを生かした治療とそこに懸ける想いや在宅医療の在り方、今後の展望などについて語ってもらった。

(取材日2022年10月3日)

生涯現役であり続けるために選んだ第三の人生

こちらのクリニックに院長として赴任した経緯を教えてください。

水野良児院長 りんごクリニック1

当院自体は開院して7年が経過しておりますが、代替わりをして私が院長に就任したのは2022年9月です。開院当初は介護施設へ往診することがメインのクリニックだったのですが、それでは十分な医療が提供できないと判断し、2022年4月よりもともと経営していた企業から独立し、24時間対応できる現在の体制に切り替わりました。私自身の医師としてのキャリアは45年くらいで、以前は長い間大学病院に在籍しており、その後個人のクリニックに移り、定年退職後の現在こちらで院長を務めることになりました。ずっと現役で働いていたいのでここから第三の人生がスタートするぞと、身が引き締まる気持ちで今過ごしています。

大学病院時代には何を専門とされていたのでしょうか。

東京慈恵会医科大学附属病院では小児外科にいました。昔から手先が器用でプラモデル作りも得意だったので、早い段階で自分には外科が合っているのではないかと思っていたのです。医師として勤務し始めた時、外科の中でもいろいろな診療科を回ったのですが、そこでたいへんお世話になった先生がとてもいい先生で、その影響で小児外科に進みました。小児外科時代は、体重1kg前後の子どもも診るので、手術室は低体温にならないようサウナみたいな気温のもと、手術自体もかなり慎重さが求められていました。当時は24時間オンコールで働いており、かなり忙しい毎日でしたが、患者さんからの「ありがとう」という言葉がうれしくて、それをやりがいに働いていましたね。

外科から在宅医療の現場へ。ガラッと環境が変わられましたね。

水野良児院長 りんごクリニック2

外科は手術がメインと思われがちですが、術前・術後の診療や難しい手術の場合、ご家族に丁寧な説明をする機会も多かったので、そこで培った対話術は今も生きています。高齢の方はどうしても意思疎通がしにくい場合があるので、そんな時は相手が興味のある話を上手に引き出してあげると、自然と笑顔になり会話もスムーズに行えます。また、大学病院での小児外科を経験した後、個人のクリニックにも10年弱在籍しており、内科や外科、皮膚科、泌尿器科、整形外科など幅広く診療をしていたので、その経験にも助けられています。今は平均年齢が80~90歳の患者さんを診ているので、抱えている病気はたくさんあります。診療の際は、以前からの疾患に対して本当にこの薬が必要なのかを再検討し、患者さんの負担を減らすようなるべく薬ばかりに頼らない治療もめざしています。

連携を重視した、みんなで築くチーム医療

1日のスケジュールについて教えてください。

水野良児院長 りんごクリニック3

基本的には月曜から金曜まで、クリニックから車で40分くらいのところにある数ヵ所の施設へ2週間に1度定期的に訪問しています。1日に20~30人くらいの患者さんを診察しており、医師は私のほかに非常勤の先生が3人います。循環器系や呼吸器系などの知識を持った先生もいるので、総合的に診療できるのが強みですね。私は基本的に日中、若手の先生は夜間対応や土日を中心とし、看護師も1人残って緊急時にも備えた24時間体制を組んでいます。当院では連携を大事にした「チーム医療」を掲げているので、1人にだけ任せるということは決してせず、カルテも共有し合い、全員が一丸となった診療体制を心がけています。外来も受けつけていますが、緊急往診が優先になってしまうので、基本的には固定通院されている患者さんを中心に今は行っています。

急な対応とはどのようなものが多いのでしょうか。

日中の時間帯は、施設の方が患者さんの体調の変化にどう対応したら良いのかわからず、電話をかけてくることが多いですね。「今こういう状態なのですが、どう対応したら良いですか?」という内容が多いので、まずは看護師がカルテにある普段の様子と照らし合わせて一次対応をし、そこで対応できないものは、往診が必要かどうかの判断を下していきます。至急対応が必要であれば駆けつけますが、急を要さない場合は看護師が点滴だけしに行くこともありますし、次の訪問診療まで待つ場合もあります。当然ですが伺えばお金がかかるので、やみくもに往診するわけではありません。何が患者さんにとって一番いいのかを見極めることが重要だと思っています。

外来診療と在宅医療の違いはどういったところにありますか?

水野良児院長 りんごクリニック4

外来診療は基本的に患者さんが来院されるケースしかありませんが、在宅医療はこちらから出向くことがメインなので、大学病院のような急患対応はありません。ただ、急患はなくとも、施設から連絡が入って、夜間に対応することはあります。施設内で患者さんが転倒したというケースが多いのですが、まれにある救急搬送などの場合も、適切な指示ができるよう気を張っています。入所者の方の体調が急変した場合、駆けつけて診療することもありますが、どうしても在宅医療だと十分な設備がないんですよね。大学病院なら即対応、即手術といったことも可能ですが、訪問診療だと点滴や採血ぐらいしかできません。ですので、本当の意味での医療が提供できない点には少しジレンマを感じていますが、最大限患者さんに安心してもらえる対応は準備しています。患者さんの体調が急変した場合、内服で対応したり、総合病院への紹介状をすぐに手配できるようにしたりしています。

患者に寄り添うクリニックとしてめざすこと

日々お忙しいと思いますが、お休みの日はどう過ごされていますか?

水野良児院長 りんごクリニック5

休みの日は健康管理のためにジョギングをしています。昔から走ることが好きなので、2~3kmのジョギングは継続していますね。昔はもっと長い距離を走っていましたが、今は距離やスピードにとらわれるのではなく、持久力をつけることを心がけて走っています。走って汗を流して、シャワーを浴びるだけで、気持ちもリフレッシュできます。あとは、大学時代、水泳部だったのでその経験が今の体力維持にも貢献してくれています。生涯現役を掲げているので、実現するためにも日々の体力づくりは欠かせません。

クリニックの今後の展望についてお聞かせいただけますか?

現在、在宅医療は施設への訪問だけ行っていますが、今後は個人宅への訪問も増やす予定でいます。残りの人生を自宅で穏やかに暮らせるようサポートすることをめざしています。またわれわれ医師のほかに、相談員の設置も検討しています。すでにケアマネジャーのサポートを受けている方もおられると思いますが、医療と連帯できる相談員をこちらで設置して、皆さんがご希望される満足できる医療を提供したいと考えております。また当院の理事長が精神科を専門としているので理事長からもアドバイスをもらいながら、肉体的、精神的な両側面から、あらゆるケアをしていきたいと思っています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

水野良児院長 りんごクリニック6

体調に不安がある場合、在宅医療で何とかできることも多いので、ぜひ気軽に当院へご相談ください。高齢になると通院自体が困難になる場合もあるので、そういった方たちの手助けになればと思っています。実際、日本でも在宅医療は増えてきています。現在100歳以上の人口は9万人を超え、社会の高齢化はますます加速していきます。長生きすればおのずと病気も増えていくので、在宅医療を通じて体に眠っているほかの疾患も見つけられるかもしれません。高齢者の皆さんが常に健康診断を受け、自身の健康状態をチェックできているわけではないので、疾患が見つかったときにはもう手遅れということだけは避けたいです。われわれが日々の健康状態を管理し、何かあれば早期の段階で発見できたらいいなと思っています。これからも患者さんに寄り添うクリニックであり続けたいですね。

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