おいしい食事を最期までサポート
対話を重視する訪問歯科診療
まるやま歯科クリニック
(目黒区/学芸大学駅)
最終更新日:2026/02/13
- 保険診療
病気や障害などの理由で、通院が困難な患者の口腔ケアや歯科治療を行う訪問歯科診療。口腔内を良い状態に保つだけでなく、老化や病気の後遺症によって低下した摂食嚥下機能の改善・維持をめざすのも訪問歯科診療の目的の一つだ。「最期まで自分の口でおいしく食べるということは、患者さんにとって生きがいや人生の喜びにつながります」そう語るのは、自身も父親の介護経験を持ち、在宅療養支援歯科診療所である「まるやま歯科クリニック」の丸山妙子院長。その経験をきっかけに、介護を必要とする患者やその家族を支えたいと考え、訪問歯科診療に力を入れている。訪問先で行う嚥下内視鏡による検査技術や、口腔リハビリテーションに関する知識を深めてきた丸山院長に、訪問歯科診療の重要性や同院が行っている治療の特徴について、詳しく話を聞いた。
(取材日2026年1月14日)
目次
嚥下内視鏡検査をもとに、摂食嚥下機能回復をめざす口腔リハビリテーションや食事に関するアドバイスも実施
- Q訪問歯科診療とはどのようなものですか?
-
A
▲ポータブル歯科用エックス線を用いることも
ご病気や加齢で通院が難しい方や、自宅・施設での療養を余儀なくされた方のもとへ歯科医師や専門の歯科衛生士が赴き、お口のケアや歯科治療を行います。高齢の方に限らず、生まれつき障害のあるお子さんや脳卒中の後遺症がある方、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症といった神経難病を抱える方など、さまざまな患者さんが訪問歯科診療を必要とされています。体調やお口の状態に応じて訪問回数は異なり、1~2ヵ月に1回のこともあれば、ほぼ毎日伺う場合もあります。当院では、歯を削るためのポータブルユニットやポータブル歯科用エックス線検査装置をそろえていますので、ご自宅や施設でもクリニックとほぼ同等の治療が可能です。
- Q治療のほか、口腔機能改善などにも取り組まれているそうですね。
-
A
▲口腔リハビリテーションや食事のアドバイスも行う
人は年齢とともに噛む力や飲み込む力が衰えてきます。脳梗塞や認知症、パーキンソン病などの患者さんの中には、病気の影響で摂食嚥下機能が低下してしまう方もいます。こうした方にはお口のリハビリテーションを通じて口腔機能の改善・維持を図っています。その際に重要なのが「嚥下内視鏡検査」です。直径約3ミリのファイバースコープを鼻の穴から挿入し、飲み込む際の喉の動きを直接見る検査です。食べ物が正しく食道に流れているか、むせてないか、誤嚥が起きていないか、とろみ・刻み等どの形状の食事、姿勢が適切かを診ます。これをもとに口腔リハビリテーションの計画を立てることで、誤嚥性肺炎を予防することが望めます。
- Q訪問歯科診療に力を入れている理由を教えてください。
-
A
▲「口の健康が全身の健康につながる」と語る丸山院長
私自身、約20年にわたって実父の介護を経験しました。その時のことが訪問歯科診療に興味を持つきっかけとなったのは間違いありません。昔と比べて今は訪問歯科診療も一般的になり、相談窓口も増えましたが、それでも困っている方はたくさんいらっしゃるのが現実です。また、お口の健康は全身の健康と深く関わっています。歯周病が認知症や糖尿病を悪化させることについては、広く知られるようになってきました。何より、いくつになってもおいしく食事ができることは、生きる楽しみにつながります。歯科医師として、そして介護を経験した身として、訪問歯科診療を通じて患者さんやご家族の力になれたらと思っています。
- Q患者さんやご家族とのコミュニケーションで心がけていることは?
-
A
▲患者だけでなく家族にも寄り添うのがモットー
患者さんを自分の家族に置き換えて、「もし自分だったら、どのような診療をしてほしいか」を考えるようにしています。また、たとえ認知症などで認知機能に問題がある方でも、患者さんの気持ちや不安にきちんと耳を傾け、コミュニケーションによって信頼関係を築くことを心がけていますね。ご家族に関しては、世の中にはいろいろな人間関係があり、家族のかたちもそのご家庭によってさまざまです。そのため、訪問歯科診療に伺うことが決まったら、初めに患者さんのご家族や患者さんを取り巻く環境を確認します。そして、ご家族が患者さんに「どのような生活・最期を送らせてあげたいか」を伺い、その気持ちに寄り添えるよう努めています。
- Q訪問歯科診療の利用方法を教えてください。
-
A
▲家族の口の状況について、画像を用いて丁寧に伝えている
まずは利用している介護施設や地域のケアマネジャーにご相談ください。近くで訪問歯科診療を行っている歯科医院があれば、直接ご相談いただくこともできます。お口の中については、介護するご家族や施設の職員の皆さんだけではケアが難しい場合が多く、さらには十分な知識と経験を持つ歯科医師でなければ改善点がわからないことも多いのです。口腔リハビリテーションによって、胃ろうからお口でのお食事に戻せたり、少しずつ会話が増えたりといったことが望めます。「年だから」と諦めずに、いつでも訪問歯科診療をご利用ください。

